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大きな家を探している男の人は‥

先日、バドミントンが始まる前に、ある人がおしゃべりを始めた。
知り合いが私達が住むこの団地で、大きな家を探しているので、手伝ってあげてるんだという。

みんなで聞いてみると、知り合いは69歳の男性で、3年前に連れ合いを亡くして一人暮らし。
家だけでなく、結婚相手も探しているそう。
しかも、50代の女性がご希望。
長男家族は、同じ市内で暮らしている。
趣味もあり、お金はいっぱい持っているんだって。

" 一人なのになんで大きな家を探してるの?"
まだ元気なので、これから10年くらいは新しい結婚相手と暮らして、その後、長男夫婦を呼び寄せて一緒に暮らしたい。そのために大きな家を探してる。

"ふ~ん、それで長男は賛成してるの?"
いや、今のところ、父親が引っ越しすることに反対しているらしい。
"そりゃ、そうだろうよね"

"え〜ぇ、でもさぁ、50代の女性が見つかったとして、その女の人にしたって、大きな家に住んだら、掃除が大変でしょ? お手伝いさんみたいじゃない? "
" いくらお金があったって、勝手に使える訳ないしな。"

"長男夫婦にしたって、今だって一緒に暮らしてないのに、10年後なんて言ったら、自分達だって面倒見てもらいたい年になってるよね。奥さんは絶対に嫌って言うに決まってる!"
" もし、その人が結婚したとしたら、義理の母まで面倒みるってこと? そりゃ無理だろ。"

家探しを手伝っているというバドミントンの仲間の人は、
でもさ、その人が亡くなったら、大きな家と財産、みんな貰えるんだよ! だって。
"そんなお金いらないから!"
"金があるなら、豪華な有料老人ホームに入って、そこでガールフレンドを見つけるとか? 俺ならそうするわ "
"私の実家、弟家族と父が一緒に暮らしてたんだけど、弟が病気で亡くなってしまって、そしたらお嫁さんは孫を連れて出て行って。
今は90すぎの父が一人で暮らしてるから、私達が世話をしに行ったり、大変! 息子が先に死んじゃうこともあるんだよ" 
などなど
ひとしきり、ワイワイガヤガヤとみんな思ったことを喋べりまくり。

そんな話を聞いて、思い出したこと。
主人のお姉さんの嫁ぎ先は、その旦那さんの兄弟が多い家だった。でも土地持ちで、兄弟みんなが地元で家を建てて貰っていた。
盆暮れはもちろん、お祭りなど、近所に住む人、仕事で遠くに行っている人たちも帰ってきて、いつも人が大勢集まっている家だった。
自営業の仕事の他、大人数の布団やご飯の用意で義姉さんは大変だったと思う。

普段、愚痴を言わない義兄があるとき、私に愚痴ったことがある。
" 兄弟達は帰ってきたときは、俺なんか恥ずかしくて言えないような優しい言葉を年寄りにかけて、年寄りもそれを聞いて気持ち良くなって、よく来たよく来たと喜んでいる。
日頃一緒に暮らしている俺らが病院に連れてったり、世話をするのは当たり前と思って、年寄りからも、兄弟からも感謝の言葉もない。
当たり前のように飲み食いして幾晩も泊まって、元気でね!と年寄りに優しい言葉をかけて帰っていく。
あいつらは良いよなあ。
みんなが帰ったあと俺、時々虚しくなるわ。"
一緒に来る兄弟の連れ合いの愚痴も聞こえてきそうだが、それは置いておいて。

いつも楽しそうにしている義兄が、心の中ではこんなことを思っていたのかと、あのときはびっくりしたり、気の毒に思ったものだ。

そう言えば、大きな家探しを手伝っている人は次男で、実家は長男が継いでいると言っていた。
家を探している人も多分同じような立場の人で、長男が家を守っていて、帰ったときは、親によく来たよく来た、と喜んでもらっていたのかな?
だから、年をとったら息子と一緒に住んで、面倒を見てもらうのが当たり前と思っているのかな?
一緒に暮らすことの大変さを知らない幸せな人なんだろうな、きっと。

私の周りでも、親と一緒に暮らしたことのある人は、子供に迷惑をかけたくないから一緒に暮らしたくないよね、という人が多い。
自分は一緒に暮らしたいと思っても、子どもの家には自分が住める部屋がないんだよね、という人もいる。
子どもの家に行ったけど、うまく行かなくて、自分の家も処分して行ったので、部屋を借りて一人暮らしをしている人の話も聞いた。
親と一緒に暮らして見送ったあと、家と共に残ったお金を兄弟で等分に分けるように迫られた人の話など、お金のトラブルもよく聞く話だ。

年をとって一人で暮らすことは、思ってもいないことが起こるということ。
自分の思うようにはいかないこと。

そんなことを思うと、私には、大きな家を探しているこの人は、自分の人生設計が思うように進まなくなった時、どんなふうに方向転換をしていくのかしら?
お金がいくらあっても、全ての幸せが手に入るわけではないことに、いつ気がつくのかしら?と気になるところだ。

他人事ながらモヤモヤが残る話で、楽しい話ではないけど、この時代でもこんな考え方をしている男の人がいて驚いたことから、私の周りで起こったり、聞いたりしたことに思いを飛ばし、感じたことを残しておこうと書いてみました。

読んで頂いてありがとうございました。









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