忍者ラブレター
目の前をクナイがかすめる。
またか。
ここ数日間、俺は1人の忍につけ狙われている。
ただ、敵というわけではない。
同僚の「くノ一」に求愛され続けているのだ。
このクナイにも当然恋文が括り付けられている。
内容は毎度同じく
「貴方の強さに惚れた。結婚してくれ」
といったものである。
もちろん、色恋にうつつを抜かしている暇はない。
今はとにかく、自分の腕を磨き、任務を成功に導くのみだ。
ただ、気になる点が一つ。
この女の業務成績が素晴らしいのだ。
忍術の腕前に関しても、男どもに引けを取らない。
まあいい。
こんなことを考えていても時間の無駄だ。
集中せねば。
◇◇◇
「どうだった? 今回の男は」
「水遁の術が抜群にうまいわ。いつも見つけるのに苦労するの。まあ、私のアプローチには無関心だったけど」
「それは残念。でもまたいい技術を盗めたんじゃない?」
「そうね。それより聞いて! あの上忍の半蔵さんって格好よくない?」
「また別の男を狙うの? 流石、変わり身がはやいわね」
(410字)
お題「忍者ラブレター」
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