イライラする挨拶代わり
細切れの朝日がさしこんでくる。
あいつはいつもの様に私に近づいてくる。
「&%☆〜」
相変わらず、何を言っているのかさっぱりわからない。
寝ぼけているとはいえ、毎朝これだと流石に参る。
あいつにとってはこれが挨拶みたいなものなんだろうが、イライラする挨拶代わりだ。
仕方なく、奴の宇宙人ごっこに付き合ってやる。
「&%☆〜 &%☆〜」
精一杯の皮肉を込めて、その宇宙語を2回も繰り返し真似する。
あいつは、私に微笑を向ける。
「&%☆◎ △÷$」
もう乗ってやらないからな。
しかし、こいつの満足げな顔を見ていると、心にも羽が生えたような気分になる。
そうだ。
私はこいつのことが嫌いではないのだ。
今日が始まる。
窓いっぱいの朝日がベッドにさしこむ。
目を覚ますと俺は、あいつの所までよろよろ歩き、いつもの挨拶をする。
「おはよ〜」
一瞬の間のあと、返答がある。
「オハヨー オハヨー」
俺はその小さな目にゆっくり微笑みかえす。
「おはよう、ピーちゃん」
今日が始まる。
(410字)
お題「イライラする挨拶代わり」
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