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設備(給水器)

鶏も生き物なので水を必要とします。
鶏に水を飲ませる設備を、給水器またはドリンカーと呼んでいます。

とくに鳥類は、水を飲まなければ腎臓に障害をきたすので、いくら寒くても水は必要です。1グラムのチッソを排泄するのに、ヒトは150ミリリットル必要ですが、鶏は200ミリリットルを必要とします。さらに気温の上昇に合わせて飲水量も増えてゆきます。

受け皿に水を貯めるもの

ケガをした鶏の隔離用の小屋。現在は物置になっている。

タライや雨ドイを使用するもの。雨ドイで自作した事がありますが、鶏が飛び乗って汚したり、壊したりしました。給水や清掃なども含め、何かと使い勝手が良くありません。

ニップル

給水パイプからノズルが出ていて、先端をつつくと水が染み出る仕組みです。ニップル単体や下に小さな受け皿がついたタイプもあります。
主に規模が大きめの養鶏場で使われていて、使用した事がないため詳しくは言及しません。

ラウンドドリンカー

まさとうでは、自動給水式のラウンドドリンカーを使用しています。樹脂製のベル型で、下の折り返し部分が水をためる受け皿になっています。


バネの伸縮を使った仕組みで、受け皿の水が減ると自動で水を補給してくれます。白いタンクの中に水を入れて重量をかけ、バネの反発力とつり合わせます。一部屋当たり3台を設置しています。

養鶏家にとって無視できない疾病にコクシジウム症があります。詳しい分析と対策は「疾病」の稿で述べますが、給水器が樹脂製であることは、コクシジウム症対策において非常に重要です。

凍結対策

給水設備ですから、凍結には気を使わないとなりません。

ポンプの掃き出し側すぐから電熱線ヒーターで主管の凍結防止をしています。サーモスタット付きで外気温3℃から起動します。

減圧弁。メンテナンスを考慮して切り離せるようにしてある
保温テープを巻いていく

主管と給水器の間のチューブは凍結したら予備のチューブと取り替えます。
すぐに作業ができるよう冬季は常に脚立を置いています。

凍結にもっとも弱いのは、給水器のロッドと呼ばれる黄色い部分です。

左が納品された状態、右が対策した状態

通年の紫外線による脱色劣化で強度が落ち、冬季の凍結による膨張に耐えられなくなる、という機序で破損します。
対策として、黒ビニールテープで遮光をして劣化を防止します。
テープが重なり合う部分があると、引っかかってバネの伸縮を妨げます。
スライド部分は、スキ間も重なりも無いようにキッチリ巻きます。仕上げに保温のタオルを巻きますが、遮光の役割もかねて通年で巻いたままです。
凍結対策だからと言って、冬季ばかりが対策ではありません。
そのうえで、冬場は中央の1台の通水を止めて凍結時の予備としたり、天候によってポンプの元栓から水を止めたりして、対応しています。
露出した部位の凍結は仕方ありません、破損さえしなければ良いのです。

費用

受水槽付きポンプは中古品を頂きました。買えば160,000円とのお話でしたが、今なら300,000円程度かかります。ベル型給水器の本体単価は4,000円、6台で240,00円。給水回路の途中に設置する減圧弁が15,000円。電熱線ヒーターは20mで15,000円。塩化ビニルパイプがVP管外径26㎜4mで800円、5本で4,000円。それにパイプの継ぎ手類が1,000円程度かかりました。
電気系統の工事費と部品代が、別途かかりますが省きます。
電気料金は夏場が400円程度で、冬場が4,000円程度かかっています。
まさとうでは夏場に電撃殺虫器をしようしていますが、それ以外の点灯はしないので、ほぼポンプとヒーターの駆動にかかる電気料金と考えても差し支えありません。

素人施工

電気系統は資格がないのでプロに任せましたが、給水設備は自分で施工しました。ラウンドドリンカーは、直接ポンプにつなぐと水圧が強すぎて水が飛び出してしまうので、途中に減圧弁をかませて調整しなければなりません。タンクとポンプからでたパイプを屋根まで立ち上げ、減圧弁をかませて長手方向に渡します。渡したパイプに穴を数か所開けてから、それぞれに給水器をつなぎます。初めて試運転した時には、ポンプがすぐに停止し、給水器から水が出てきませんでした。何回やりなおしても水が出ず、水道工事を営む友人に見てもらうまで2時間程度でしたでしょうか。
見た瞬間「これ減圧弁?なんでこんなトコについてんの?」
施工を一か所で楽に済まそうとして、減圧弁をポンプのすぐそばに、つまりパイプを立ち上げる前にかませていたのが原因でした。高い所に水をあげるのだから圧力が必要なのに、その手前で減圧してしまえば水が上がらないのは当然です。その当然が分からない素人の悲しさを痛感した瞬間でした。



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