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最高だった札幌一人旅

札幌国際短編映画祭での作品の上映に立ち会うという大義名分で、札幌に一人旅に行ってきました。

行きは北海道新幹線・はやぶさ13号のグランクラスに乗りました。長距離のグランクラスでの旅は夢でもありました。まだ東京から函館までしか通ってませんが、東京から札幌まで繋がったら、そこそこ長い時間の新幹線の旅になるので、飛行機で海外に行くようなワクワク感がさらに増す気がしています。

グランクラスは満席で、中高年の方々ばかりでした。グランクラスはお酒が飲み放題なので、みなさんガンガン飲んで盛り上がってました。私は考え事をしたかったので、赤ワインを一本だけ飲みました。小瓶ですけどね。

軽食はDEAN & DELUCA

新函館北斗駅から札幌までは、特急・北斗13号のグリーン車に乗りました。北海道の中での移動なのに4時間近くかかるんです。北海道って大きいですよね。グランクラスに乗ったりグリーン車に乗ったり、そういうのはシガーバーに行くようなオジサンがする事だと思ってましたが、私もいつの間にか50歳になってました。カウンターだけのおでん屋とか、カクテルが名物の銀座のバーとか、そういうところに出入りしていてもいい歳なんですよね。怖気づくこと無くチャレンジして行きたいと思います。

渋いグリーン車

札幌に着いてすぐにホテルにチェックインしました。実は出発の前日にホテルの場所を調べてたら、まるで別の場所のホテルを予約してた事に気が付きました。私は札幌駅前のホテルを予約したつもりだったんですが、電車に乗って20分ぐらい離れた場所のホテルを予約してたんです。渋谷駅前のホテルを予約してたと思ったら溝の口駅前のホテルを予約していた、みたいなものです。田園都市線で例えてすみません。

大慌てでホテルを予約し直しましたが、前日の夜なのでキャンセル代は80%でした。新しいホテルは札幌グランドホテルというちょっと高めのホテルにしました。たぶん、ホテルに滞在している時間が長いと思ったからです。すごく安いビジネスホテルもいっぱい空いてましたが、昼間にビジネスホテルにいるのは結構キツいんですよね。窓の向こうが隣のビルの壁とかだと、絶望感しかありません。シングルルームなので大きな部屋ではありませんが快適な部屋ではありました。

夜、どこかのお店に一人で入ろうと思いましたが、思い通りには入れませんでした。それに関しては別のnote(有料)に詳しく書いてます。

夜の札幌

翌日、札幌国際短編映画祭のアワードセレモニーがありました。札幌国際短編映画祭にリアル参加するのは4回目ぐらいだったかと思います。主要な賞はすでに発表されていたので、私の作品が対象でまだ発表されてないのは国内作品の最優秀賞だけです。ですが、今回の『白滝』という作品はノミネートされただけでも事件で、賞を取るとかそういう種類の作品ではないのです。あと、これは経験から言うんですが、私が作った作品が国内の映画祭で賞を取ることは無いんです。

賞を取る作品というのは、それ相応の「格」を持っています。例えば今回参加したのが札幌国際フルーツ祭だとしましょう。そこで賞を取るのは、メロンとかブドウとかイチゴとか、ちょっとヒネリが入っても完熟マンゴーとか、そういうフルーツが賞を取るんです。今年のフルーツ祭を代表するフルーツを決める訳ですから。

そういう意味では私の作品はドラゴンフルーツとかランブータンとかアケビとか、そういうフルーツと同じポジションにいるんです。私の作品が賞を取るためには、100年に一度のアケビである必要があるんです。あるいは、1つ100万円のドラゴンフルーツになる必要があるんです。

そんな自虐的な例え話はどうでもいいとして、国内最優秀作品は天野大地監督の『見知らぬ人の痛み』という作品が受賞しました。アワードセレモニーの直後に上映があったので見ました。ものすごく良く出来た作品で驚きました。まさに一等賞という作品でした。フルーツで例えると夕張メロンでしょうね。もっと国内でも知られるべきだし、海外の映画祭でも十分に戦える作品だと思いました。

実は『見知らぬ人の痛み』の上映の直前に天野監督が私のところに来て「平林さんのnote読んでます。短編映画の作り方、読んでます。」と言ってくれました。なんと!私の書いてきたnoteが微力ながら賞に影響してるかも知れないじゃないですか!もしかしたら、まだ見ぬ私の「教え子」がどこかにいて、これから賞を取るんじゃなかろうか!などと、ひとり悦に入っております。

悦ついでに書きますけどね、今まで私がガッツリとスーパーバイザーとして入った作品は結構すごんですよ。佐々木想監督の『隕石とインポテンツ』はカンヌ映画祭の短編部門でパルムドールにノミネートされましたし、米澤美奈監督の『solo』はロカルノ国際映画祭の短編部門でノミネートされましたから。

あ、悦悦してすみませんでした。

受賞した方々と審査員の方々

アワードセレモニーのあと、審査員の石川慶監督の『蜜蜂と遠雷』の上映がありました。私はこの映画を見るのは2回目です。1回目は映画館で見たんですが、本当に感動しました。編集のグルーヴ感がすごいんですよね。下手すると恋愛要素も入れてしまいそうなところ、しっかり硬派な作品になってて好きな作品だったんです。

そしたら、その後に石川監督とお話する機会がありました。同じ企業の同じ様な仕事をしていた事があったり、共通の知り合いがいたり、すごく近くにいた方なんだなとビックリしました。その後のパーティを含めて割とお話をさせてもらって、メチャクチャ刺激を受けました。こういう刺激を受けるために今回一人でもと映画祭に参加したので、まんまと狙い通りに刺激を受けました。

その後、会場を移してアフターパーティというものがありました。映画祭には付き物のパーティですね。そして私が最も苦手なパーティではあるんですが、札幌国際短編映画祭は運営の久保さん、島田さん、本間さんと、ずっと前から知っている方々なので、気負うこと無く参加出来ました。

コロナでずっと行われてなかった映画祭のパーティに参加して、いろんな人と話をして、さらに刺激と元気をもらいました。「これだ!これだ!」とも思いました。私が最近しょんぼりしていたのは、こういう映画祭的な刺激を全く受けてなかったからなんでしょうね。

アフターパーティ

翌日、丸一日映画祭会場に行って、いろんな短編映画を見る予定だったんですが、頭が完全に創作脳になっていたので、スタバで大きめのコーヒーを買ってホテルに籠もり、短編映画のシナリオを書きました。

45分ぐらいで書き殴ったんですが、久しぶりにものすごいシナリオが書けました。思いっきりバットの芯に当てて飛ばすタイプのシナリオですね。(野球をやったこともないしそれほど興味もありませんが、野球に例えて申し訳ございません。)そんなシナリオが書けたんです。

このシナリオはアニメーションにするので、完成までに半年以上かかるかも知れません。自主制作のアニメーションは原画から動かしまで全部自分でやりますからね。フンドシを締め直せばカンヌ映画祭の締め切りである3月に間に合うかも知れませんが。フンドシを締め直すって具体的にどういう事か分かりませんがね。気持ちのフンドシですかね。気持ちのフンドシ?まいいか。

そんな手応えのシナリオが書けたので、『白滝』の舞台挨拶への足取りは軽かったです。『白滝』は唯一のエクスペリメンタル作品だったので、舞台挨拶では実験映画の見方を少し話しました。水族館の水槽を見るように見てくださいと言いました。私は大画面で初めて『白滝』を見ましたが、やっぱり面白かったです。でもこの作品を心の底から面白いと思う人は、そんなにいないんだろうなとも思いました。

上映も終わり、気分を良くして一人でホルモン焼き屋に行きました。小さな店のカウンターで新鮮なホルモンを焼いて食べ、ビールをがぶ飲みするのは最高でした。

次の日は朝から雨でしたが、JALのファーストクラスで帰りました。

左上の入り口からこの飛行機の全乗客が乗ってくる

一番前のど真ん中の席で、馬の群れの先頭を走ってる気分でした。低気圧の中に突っ込んで行くのでまあまあ揺れると言われましたが、CAの方に「でもこの席は一番揺れませんよ!」と言われて、本当に大して揺れた感覚はありませんでした。

CAの方が飲み物の注文を取りに来たのでシャンパンを頼みました。するとギャレーからポン!とシャンパンの栓が抜かれる音がしました。ファーストクラスは5席しか無く、シャンパンを頼んだのは私だけなので、これは私が飲むしか無いのです。私が飲まないともったいないのです。最初の一杯もコップになみなみと注いでくれましたが、結果的になみなみと注がれたシャンパンを3杯頂きました。

でも、東京まで1時間15分で着いちゃうんです。実質30分ぐらいしかのんびりしてる時間はありません。もったいないファーストクラスですが仕方ありません。まあ5万円で乗れるファーストクラスですからね。

こうして私の札幌一人旅は終わりました。こんなに得るものが多い旅も久しぶりかもしれません。刺激という本当に大事なものも得ることが出来ましたし。

次はどこに一人旅に行こうかな。

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