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映画祭に決まらない

私のところには映画祭に関するいろいろな相談が来ます。「映画祭に参加するんですが何を準備したらいいんですか?」とか「どの映画祭に出せばいいか分からないので教えてください。」とか「映画祭にエントリーしてもなかなか決まらないんです。」などなどです。

映画祭のエントリーに関する相談はとても多かったので、詳しくnoteの記事として残しておきました。いろいろ検索していたらこの記事にたどり着きましたと言われる事も多いんです。

映画祭にエントリーしたことがある人にとっては当たり前の事しか書いていないので、無料の記事として公開しています。精神性とかそういう事ではなく単なるハウツーです。でも私が20年ぐらい考えてやってきた精神性の方は、有料の記事にして公開しています。

これこそ若者のために無料で公開するべきと思われるかも知れませんが、「イワシの頭も信心から」と言われるように、お金を払って読むからこそ真剣に読むんです。そしてせっかくお金を払ったんだから実践してみようと思うんです。プラシーボ効果ですね。そういう意味では10万円にした方がいいんですが、持ち前の心の弱さが出てしまい1000円にしてしまったんです。

とは言え、この「短編映画の作り方」は「映画祭に選ばれる方法」という記事ではありません。さすがに私も「映画祭に選ばれる方法」なんてタイトルで記事を書くことは出来ません。人と比べて相対的に多く映画祭に選ばれているかも知れませんが、その成功体験から共通項を抽出して再現してみせることは不可能だと思うからです。

そして成功体験というのは厄介なもので、多くの人がその成功体験から抽出する成分を間違えてしまうんです。

例えば映画祭の場合「私のセンスが認められたんだから、私が作りたいものを100%の濃度で作れば映画祭に選ばれるはず。事実、映画祭に選ばれた3本は私が作りたい事を100%の濃度で作った作品なんだから。」という成分を抽出してしまう可能性があるんです。

実際に映画祭に選ばれた3本の作品の共通項が「自分のやりたいことを100%の濃度でやった作品」かも知れませんが、映画祭が私の作品を選んだ理由は絶対にそこではないんです。当たり前のことですが、映画祭は私が私のやりたいことを100%やっているかどうかなんて気にして選んでません。客観的に作品しか見てないでしょうし、100歩譲ってその作家の文脈を参考程度に見ているんだと思います。絶対に「私が私のやりたい事を100%やっているから」などという理由ではないんです。

ちなみに文脈というのは、最近大きな映画祭に選ばれている人であるとか、有名な監督の教え子だとかその系譜にあるだとか、有名人が監督だとかそういう事です。あるいは原作が世界的な作家であるとかそういう事です。

私も20年ぐらい映画祭にエントリーしてきたので、成功体験も失敗体験もたくさんして来ました。そして確実に分かっているのは、再現性のある成功の法則など無いということです。

一方で再現性のある失敗の法則はあります。その作品の価値を言葉で言い表せない事です。ハッキリしているのは「言葉では説明出来ないんだけど、これは選ばれるべき作品である。」などという理由で選ばれることは無いんです。いや、実際にはあるかも知れませんが無いと思ってた方がいいんです。

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