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崖の下

ここ一ヶ月半ほど、長モノの脚本を書いていました。長モノと言ってるのは、映画ともドラマとも想定せずに90分程度の脚本を書いたからです。

せっかく書くならと、私の人生と一度も交わることの無かったジャンルである「ラブコメ」にしてみました。一番遠いものに取り組むことが一番勉強になると思ったからです。

そして私が目指したのは「ベタ」です。私は20年ぐらいベタを否定して作品作りをして来たので、ベタな感覚がありません。分かりやすい作品は悪だったんです。難解なほど面白いと思って来ましたから。今でも難解な作品を作るのは好きですし見るのも好きですが、難解に安住していてはこの先の成長は見込めないと思ったんです。

だから、脚本の本を読みながらベタな箱書きから始めました。箱書きというのは、起承転結とか三幕構成とかそういう物語の構成を書いていくことです。「宝の地図を見つけたので、仲間と冒険に出て、ついに宝を発見した。」みたいな構成のことです。

我が家には、大型書店の脚本コーナーに置いてある脚本の本の50%ぐらいはあると思います。だから改めて脚本の本を買わなくてもいいんです。でも、買ったのにほとんどの本を読んでませんでした。なぜなら、脚本の教則本にはベタが書いてあると思っていたからです。

それなのに脚本の本を買い集めていたのは、私の作品のボトルネックは脚本であると自分で分かっていたからなんでしょうね。人の感情を揺さぶって感動させる作品を作ろうとしてなかったので。

こうして「ベタなラブコメを作る」という、私にとっての険しい道のりが始まったんです。

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