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面白い作品て何だろう?

作品を作る時に、見る人、観客を意識して作るのと、意識しないで作るのでは、出来る作品がまるで違って来るのは、当たり前のことだと思います。

特に映画を作る時に、観客を無視した作品を作るのは映画への冒涜だ、ぐらいに言う方々もいます。でも、誰にも見せるつもりのない映画が作られてもいいと思いますし、そういう姿勢で作られた作品の方が面白いんじゃないかとすら思います。

観客を意識して作る時に陥りがちなのが、理解されるかな?伝わるかな?面白がってくれるかな?という心配。利益を生まなければならない商業映画ではそこが最優先されるのは当たり前の事ですが、「作品」として映画を作る時に、観客を意識しすぎると、観客の既視感に合わせる作品になってしまう気がします。モチーフやテーマは新しいんだけどフォーマットがベタ、みたいな印象と言いますか。

既視感に合わせるというのは、一般的に観客がわかるであろう映画文法で映画を作るということです。会話シーンでは喋っている人物の顔を映してあげる。泣いて欲しいシーンには泣きたくなる音楽を入れる。起承転結、三幕構成、勧善懲悪、ハッピーエンド、みたいな、映画をわかりやすくする方法で映画を作るという事です。

少し話はズレますが、「面白い映画を作る」「アートじゃなくてエンタメ作品を作る」という言葉を聞くことがありますが、イメージフォーラムでやっている様な、少し難しい映画を「面白い」と思う人達もたくさんいます。その難解さが「エンタメ」なのです。この映画は何を言いたいんだろう?もしかして何かのメタファーが隠されているんだろうか?と考えさせられることが「エンタメ」なのです。

『ニーチェの馬』とか『神々のたそがれ』とか、心の中ですごいすごいと思って観ていましたが、一般的にはストーリーがよくわからない退屈な映画とみなされてる気がします。あんなに面白い映画なのにです。大事件が起きないヨーロッパ映画なんかも、すごくおもしろいです。

もっと話をズラしますが、カメラやレンズの新商品が出る時に、発表前にリークされてくる情報で、一喜一憂し、発表されたらすぐに買ってレビューを書く人がいます。カメラ業界は間違いなく確信犯的に、スペックをエンタメとして扱っているし、ファンもそれを望んでいます。エンタメにはいろんなカタチがあるんです。

そして、「面白い」や「エンタメ」は、最終的には受け手が決めるものなんだと思います。極端に言えば、作り手側が声を大にして言うことではない気がします。もっというと、それは「アート」という言葉に関しても言えますが。河原で拾ったただの石にも宇宙を感じるのが人間ですから。これに関してはあらためて書こうと思います。

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