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思考のクセはクセモノ

どんな人にも思考のクセがあるんだと思います。私にももちろんあります。その思考のクセが、なかなかのクセモノだなと思うことがあります。

自分の思考のクセを考えてみると、割と楽観的な方だとは思います。何か問題が目の前に現れた時に「どうにかなる」ととっさに思います。「どうにかなる」なんて言うと、器の大きなドッシリとした感じに思われるかも知れませんが、私の「どうにかなる」は、諦めと試合放棄に近い「どうにかなる」が多いです。そこで戦おうとしません。「どうにでもなれ」が近いのかも知れません。「どうなっても知らん」とも言える気もします。

とにかく、あまり戦おうとしないです。苦労して苦労してやってきた仕事が完成を見ずに途中で終わることがあったとしても、割とあっさりと「そうですか」と言って、気持ちを切り替えちゃう方です。

だからあまりCMディレクターには向いていません。CMディレクターはクライアントや代理店、プロデューサーと喧嘩してまで自分が良いと思うものを作り、評価を得る仕事です。外からの声に甘んじていたら、妥協妥協で角の丸いものしか出来ませんから。

悪い言い方で言うと、「すぐに試合から下りちゃう」とも言えます。麻雀でもすぐに下りちゃうタイプです。CMはクライアントのお金で作ってるんだから、クライアントのやりたいように作ればいいと思いますし、代理店はお金を預かってるんだから、代理店の作りたいように作ればいいと思いますし、プロデューサーはこの仕事を次の仕事につなげたいんだから、プロデューサーのやりたいようにやればいいと思ってしまいます。そういう思考のクセが私にはあります。

この思考のクセの悪い面は、「オレが!オレが!」という仕事を残せない事なんだと思います。仕事の場では、自分が中心にいると思っていないので、常にサポートしている気持ちです。クライアント様、代理店様、プロデューサー様のやりたいカタチになるようにサポートさせて頂きます。というスタンスです。

世の中のほとんどの仕事はそのスタンスが正しいんでしょうが、私がいる「クリエイティブ」などと言い合っている、ハッタリとカマシが必要な世界では、そんな一歩引いた姿勢ではダメなんです。

一方で、そういう守りの思考のクセの良い面もあります。「あの人にお願いすれば現場も穏やかで、ほどほどに良いものを作ってくれる。」と思われるところでしょうか。基本的に試合に「勝つこと」から下りてるから、どんなサインが出てもその通りに実行します。

そして、実は世の中は「勝たなくていい」試合ばかりです。90%以上が勝たなくていい試合なんじゃないでしょうか。「試合を成立させてくればそれでいい」という試合ばかりです。参加することに意義があるんです。オリンピックの精神ですね。世の中がそういう試合ばかりだから、仕事もたくさんあります。

いやいやいやいや!そんな中年おじさんが試合から下りちゃった話はどうでもいいんです。私が書きたかったのは、そんな思考のクセのことではありません。自分で意識すらしていない思考のクセの事が気になるんです。

外からの刺激で、ある感情が生まれ、どうするかを瞬時に判断します。その感情が生まれて瞬時に判断する間に、本当に思考のクセが存在するはずなんです。その0.001秒ぐらいの思考のクセが、その人の人生を作っていると思うんです。

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