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号泣する方法

激務や多忙で感情が無くなってしまう時があります。そして悪い事に、そういう時は本人はそう思ってなかったりもします。本人は目の前の仕事の山との対決だけに集中していたりします。むしろ戦闘的でポジティブとすら思ってしまったりもします。

私は何度もそんな事を繰り返してきました。今も「忙しい!忙しい!」と言ってますが、10年前は今の5倍ぐらいの仕事をしていたと思います。忙しいなんてもんじゃないです。週に何度徹夜すれば間に合うだろうか?と常に思ってる状態です。

そんな事を続けていたら、過労で倒れて死にかけました。だから、感情が無くなっている時は気を付けなければなりません。

なぜ、映画やドラマや小説や漫画、舞台や歌が、ずっと昔から求められているかと言うと、感情を動かしてくれるからだと思います。人間は感情を動かし爆発させることで、ストレスを解消し、活力を得るのです。

そういう意味では、「ベタ」と言われている作品がいかに大事かが分かります。ベタと言われているものは、確実に人の感情を動かす法則を使って作られています。何百年、何千年も前から使われてきた法則です。人々はそのベタを見ることで涙を流し、笑い、怒り、自分の感情をリセットするんです。

余談ですが、私が作る作品は、見る人の人の感情をなるべく動かさないように作っています。そういう作り方をしているので、ポピュラリティが得られないんでしょうね。ほっとけ!

話を戻しますが、涙を流すことは強烈な感情のリセット効果があると聞いたことがあります。事実、涙を流すとスッキリすると思います。

でも、私は映画とかドラマとかも実はあんまり見ませんし、小説やマンガもあんまり読みません。生き物の番組や科学的な本が多いので、感情を揺さぶられることがありません。ライオンの親子の番組なんか見ても、「あ〜、ああいう素材と、ああいう素材を繋いで、いかにも親子が冒険しているように見せているんだな。」と覚めた目で見てしまいます。イカのオスが精子の袋をメスに渡すカタチで交尾をするシーンを見ても泣けないのです。

そんな私ですが、確実に号泣する方法があるんです。

激務の最中だったり、ちょっとメンタルをやられている時だったり、漠然とした不安感がある時に、私は自分が子供の頃だった写真を見るんです。私が持っているのは3〜5歳ぐらいの写真です。モノクロだったりもします。その写真に向かってこう話しかけるんです。

「キミは45年後、ツラいこともあるけど頑張ってるよ。まだ知らないかも知れないけど大丈夫だよ。みんなが助けてくれるよ。心配せずに前に進んで行きな。」と。

これで私の涙腺は崩壊しますね。これを書いている今ですら嗚咽を漏らして泣いています。もう鼻水ズルズルです。ブーッ!

何なんでしょうね。どういう感情が刺激されるのか分からないんですけど、感極まって泣いてしまいます。だからこれは、人がいるところではあんまり出来ないんです。自宅でも子供が部屋に入ってきそうな時には出来ないんです。

私はこれを何度もやっているんで、もう写真を見なくても出来ます。頭の中で想像出来ますから。たまにウォーキングしている時にやるとヤバいです。号泣しながら歩いてるオジサンがいるからです。目から涙をボロボロ流しながら歩いているオジサンがいたら怖いですよね。「競馬でスッたかな?」って思いますよね。

でもこれをやると本当にスッキリします。プールの授業の後みたいな心地よい疲労感といいますか、健康ランドから上がって休憩処の座敷でゴロンと寝転んでいる気持ちよさといいますか、そんな気持ち良さがあります。

本当にスッキリするし、気持ちも前向きになります。下手したら、ちょっとした高揚感、多幸感すら感じる事もあります。脳の中に何らかのホルモンが出ているでしょうね。アブナイですね。

そして、号泣を強烈にするためには、感情を揺さぶるような音楽を聞きながらやるとなお良いですね。ドラマチックで感動的な音楽がいいですね。ピアノとストリングスで歌い上げるような日本語の曲とかだと、間違い無いですね。まあ人によるんでしょうけど。

この方法にも欠点がありまして、気力と体力が充実していて、超弩級のポジティブの時にやっても全く泣けません。それは「いま上手く行っている」からなんだと思います。子供の頃の自分に「キミは大人になってからイケイケだぞ。全く問題ないし心配もない。そのまま育て。」と言っても、感動しないのです。私は比較的にポジティブな状態が多いので、泣けるチャンスはそんなに無いんです。

これは、「いま不調である」から出来るワザなんです。「いま不調である」から「ツラいこともあるけど頑張ってるよ。」というメッセージが効くわけです。子供の頃の自分に言っているようで、実はいまの自分に言っているのです。

それを「オレはいま頑張ってるぞ。オマエはいま十分にやっていると思うよ。」と自分に言ってもダメなんです。そんなのは脳が弾いてしまうんです。脳の検閲でダメ出しをされてしまうのです。脳の検閲官から「はいダメ〜。はい自作自演ダメ〜」と言われてしまうのです。

でも、子供の頃の自分に言う事によって、自作自演感が無くなるのかも知れません。このやり方をすれば、脳の検閲官も感動して、泣きながらハンコを押してくれるのです。しばらく歩いてから振り返っても、検閲官はまだ泣いていて、私に対してサムズアップをしているのです。

以前、小雨が降っている時に、ウォーキングしながらこれをやったことがあるんです。ヘッドフォンでエモーショナルな音楽を聞きながら。涙腺が緩み、号泣へのGOサインが出るのと同じタイミングで、雲の隙間から太陽が差し、目の前にバーっと木漏れ日が広がった事があったんです。もうここぞとばかりに、感極まってやりましたよ。

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