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カフェメニューを英訳してみた話。


英語メニューの効果

今年の7月にご近所のお花屋さんカフェ、PlusNaturaさんのカフェメニューを英訳させていただきました。その経緯などはすでにInstagramに書きました(Linkedinブログには英語版もあります)。

Instagramにも書きましたが、今まではコーヒーくらいしか注文されなかった海外からのお客様が、英語メニューを導入してからはスムージーも注文されるようになったと伺って、「あ、海外からのお客様は今まではメニューが読めなくて、今はメニューが読めるから選んで注文するようになったんだ!」と当たり前のことに気が付きました。

ちなみにPlusNaturaさんの日本語メニューはこんな感じです(価格などの情報は2023年7月現在のものです)。

PlusNaturaさんのメニューの1ページ目(価格等の情報は2023年7月現在のもの)

お気づきのようにスムージーは「SMOOTHIE」と英語で書いてあって、写真まで載っていたのにこれまではなぜか注文に至らなかった、つまりそれ以外の情報がわからないと注文する気になれなかったということでしょうか。

ちなみに、メニューの2ページ目はコーヒーの情報が書いてあります。

PlusNaturaさんのメニューの2ページ目(価格等の情報は2023年7月現在のもの)

コーヒーの産地やブランド名、味の特徴など細かに書いてありますが、これも日本語が読めない人からしたら単に「COFFEE」=「コーヒー」で理解が終わってしまいなんとも勿体無い話です。

英訳版メニューを英語ネイティブに見てもらったら

今年は海外からの観光客の方が多く、英訳したメニューはフル活用していただいたようですが、日英翻訳の経験が少ない私としては実際どういう出来だったのか、英語話者の方に率直な意見を聞いてみたいなと思っていました。

そこでオンライン英会話、ネイティブキャンプの英語ネイティブの先生に英訳版メニューを見てもらって意見を聞いてみました。

  • 南アフリカ🇿🇦の先生(30代女性)そのままで十分

  • アイルランド🇮🇪の先生(40代女性)大文字小文字のルールを全体で統一させること。効用の部分は動詞を活用させて。

  • イギリス🇬🇧の先生(40代男性)紅茶派だけどコーヒーが飲みたくなった。

これらの意見を踏まえ、大文字小文字のルールを全体で統一させ、スムージーやハーブティーの効能の部分は動詞を活用させて英語メニュのバージョン2を作成しました。

PlusNaturaさんの英語版メニューの1ページ目(価格等の情報は2023年9月現在のもの)
PlusNaturaさんの英語版メニューの1ページ目(価格等の情報は2023年9月現在のもの)

通じるメニューからかっこよくて美味しそうで礼儀正しいメニューへ

今回のメニュー翻訳に限らず、マーケティング性の強い文章の翻訳は何段階もの工程を経ることがあります。単なる言葉の置き換えではなく、より魅力的な表現になるように、何人かの人の目を通すことで翻訳を磨いていきます。

7月に私が納品したメニューはおそらく「通じるメニュー」でした。しかし実際にネイティブスピーカーの目を通して、スタイルや表現に手を加えたメニューは少なくとも最初のバージョンよりは「かっこよくて美味しそうで礼儀正しい」メニューになったのではないかなと思います。

例を挙げると、コーヒーメニューのひとつ、雲南天空農園のマイクロロット嫌気性発酵の説明には

いつもと違った味わいをお楽しみ頂けます

という表現がありました。私は最初これを「enjoy unusual taste = (いつもと違った味わいをお楽しみください)」と訳していたのですが、ここでは命令法を使わない方が丁寧だし、「unusual」は悪い意味にもとられかねない、と英会話の先生に指摘され、最終的には、

you will enjoy this exotic flavor

という表現に修正しました。和訳するなら「珍しく魅力的な味わいをお楽しみ頂けます」。この雲南の嫌気性発酵のコーヒーは洋酒のような独特のフレーバーがあります。この味のイメージに先生の提案した「exotic」という表現はぴったりでした。この表現を聞いた時、ネイティブチェックの工程をやってみて本当に良かったと思いました。

メニューの英訳承ります

この経験を経て、メニューを英訳する面白さを痛感しました。またPlusNaturaさんのメニューのように細やかに材料や味や植物の効能が書かれているメニューが読まれないことは勿体無いことで、英訳することで読んでもらえるようになって本当に良かったなと思います。

訪日観光客の数は増えています。もしこの文章を読んでいるあなたのお店のメニューがまだ日本語だけで、ぜひなんとかしたいと思っているなら、natsumi.kajii@gmail.comまでメールでお気軽にご相談ください。お力になれるかもしれません。


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