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今日は行くぜ!怒涛の直球コース忘年会

「今週土曜に忘年会しようと思ってるけど」

そんなお誘いが来たのは12月初旬。連絡してきたのは大学時代の友人だ。

「混むからコースにしてって言われてるんで来れるなら早めに教えてくれ」

昔からメッセージは業務連絡調の友人。付き合いが長くなったり仲良しになればなるほど交わす言葉はそっけなくなる不思議。

「お前好きそう」というコメントと共に送られてきたURLを開いてみるとお店は神楽坂にある「酒ト壽」というところ。古民家風の内装に魚がメインのいい感じの居酒屋さんのようだ。
言葉はそっけなくてもさすが我が旧友。私が魚食いで和食好きなのをわかってらっしゃる。


「うまそうね。ちなみに...どのコースにする予定?」

お店には3つのコースがあった。

「マサが一番高いのにしようぜって言ってるけど」


にゃるほど。
あの頃のオレらなんて、ビールケースをひっくり返してぺらっぺらの座布団を敷いた椅子に、オシャレと汚いの攻防戦みたいな足場板を並べたテーブル、何割なのかも怪しい酎ハイで、永遠におかわりできる塩昆布キャベツを貪り食っていたというのに。
いやはや我々も大人になったもんだ。

しかし、せっかく気合を入れて予約をしようとしているところに水を差したくはないが私は一番高いコースとやらに一つ懸念があった。品数である。

酒ト壽の最上位のコースはその名も「壽の真髄 今日は行くぜ 宴会【直球】コース(全11品)」とのこと。名前がすごい。
ちなみにその下のコース2つはスライダーコースとか変化球コースではなく、普通に【壽】コースと【福】コース。
直球コースの気合の入り具合(?)がうかがえる。


ただでさえいつも珍味みたいなものをちまちま食べてる胃袋弱小の私に果たして11品という数の料理は食べられるだろうか。コースって...どういう感じ?一人一皿来ちゃう感じ...?
コースの概要を読んでつい不安になり聞いてみる。

「なるほど...ところで、マサとあとは誰が来るの?」

いるよね。飲み会とか遊びに誘った時に自分が行くか行かないかを表明する前に誰がいるのとか何人いるのとかどこ行くのとかいちいち聞いてくるめんどくさいやつ。まさに今の私である。

「あとソウタが確定。でもお前入れてこのまま4人かな多分」

返事をする前にすでにカウントされてしまっていたが、メンツを聞いて一安心。みんなしっかり食べしっかり飲む力強いメンバーだ。
これなら私がちょっとくらい食べきれなくても彼らが快く平らげてくれるはず。お店に申し訳ないことにはならないだろう。
であれば直球コース、せっかくだしいってみようじゃないか。


そうと決まれば、私には併せて参加したい催しがあった。
もつにこみさんのアドベントカレンダーである。


私にとっては決して安くはないコースでの居酒屋忘年会。
アドベントカレンダーにいくつかあるうちのテーマ「美味しかったお店」の記事、ここに行けば書ける気がするぞ!
そんなちょっとした下心(?)もあって、私は忘年会に参戦することにした。


17時に集合し、早速始まった飲み放題付き2時間の直球コース。12月の週末だけあって、次の予約が19時から入っているという。
それを聞いた我々はよし!もりもり食ってさくさく飲むぞ!!と気合が入る。

ちなみにお飲み物のメニューはこんな感じ。

お酒は+料金でもっと日本酒が選べたりするプランもあるみたい。そこまで日本酒に明るい人がいなかった私たちはまぁ2時間だしそんなに色々あってもねということでノーマルメニューを選択。

まずはおそろいのマルエフで乾杯。
最初にテーブルに現れたのは、毛蟹のコールスロー。

あっよかった。みんなで食べるスタイルだ。
少人数で居酒屋に行ってコースで食べるって私の普段の生活ではなかなかないので、いまいちどんな感じなのか想像できていなかったが、ここでやっと「あぁ、コースってそういうことね」みたいな気持ちになる。
実は「神楽坂」「一番高いやつ」「全11品」というワードだけでなんとなくビビっていたのはみんなには内緒。

安心して早速到着した毛蟹のコールスローをみんなでつついてぱくり。
カニ、うまぁ〜。なんじゃこりゃ。

私の人生の中でのコールスロー遍歴を申し上げると、小学生の時に一度だけ食べたケンタッキーのコールスローしか前例がないので、当たり前やろがいとどつかれそうではあるが無論今まで食べたコールスローの中で一番うまい。
なんだったらこんなにコールスローを食べる機会がないのであれば、いっそこいつに私のコールスロー処女を奪われたかったと思うくらいうまい。
いや、ケンタッキーのコールスローも美味しいんだけどさ。
毛蟹入れられちゃったらもうそんなん色々と話が変わってくる。同じ武道だからって剣道と弓道で戦わせてるようなもんである。


初手のコールスローで感動しているうちに続いて現れたのは、たらこの旨煮。

近くで見ると集合体恐怖症の人がいたら軽く悲鳴を上げそうなビジュアルだが、これまた味がしみしみでうんまい。さすがうま煮。うま煮なんて間違ってもうまくないわけがない。
百発百中でうまいと言わしめる煮物、それがうま煮である。
毎日が防衛チャンピオンみたいなもんだ(さっきから何と戦っているのか)。もう尊敬に値する。

そしてうま煮に拍手喝采しているといつの間にかテーブルにいらっしゃっていたのはこちら。

「えっ、これはなに?いつの間に?」

「え?海老」

「海老だろ」

2人から声が上がって得られた情報は海老のみ。1ミリも聞いてなかった私と情報量一緒なのだが。

「いや、何海老の何よ...」

「あんま聞いてなかったけど頭から尻尾まで食べれるって言ってたよ」

なるほど。4人ともちゃんと聞いていなかったという失態。
先に出てきた2品に夢中だったというのもあるし、おつまみはもちろん久しぶりに会う仲間との話に花が咲きすぎて早々に盛り上がってしまったとでも言っておけば聞こえがいいだろうか。

そしてここからがもう、のんびりゆっくり食べているとテーブルが溢れてしまいそうなくらいのまるでノックのような直球コースだった。

海老をがぶりと食べていると次に現れたのは、大きな貝殻の下が勢いよく燃えている貝の浜盛り焼き。

色々な貝が入っている中、無事大好物の牡蠣をゲット。ほほほ。さりげなく自分の好きなものを死守する末っ子。

このあたりでいつの間にか頼んでいた2杯目のビールをみんな飲み終え、日本酒へ。福島の末廣と石川の天狗舞を2合ずつ頼む。


そうこうしているうちに刺盛が登場。
刺身よりもわさびの特盛加減にビビりながらも「あ、俺、生の貝はダメー」なんて声を聞いて好物のつぶ貝を率先して食べる。コリコリうまうま。
みんなで食べるとこういう時お互い幸せになれるからいいよね。


続いて到着したキンメの煮付けは一人一皿。
もうこのあたりで私的には大満足なのだがコースはまだまだ続く。

末廣と天狗舞を飲み終えて、次は千葉の甲子と秋田の一白水成。最初はすっきりめがいいね〜なんて言っていたものの、結局こうやって銘柄が並んでると色々味わってみたくなる不思議。


刺身を食べ終えるかどうかくらいのところで更に黒鯛の姿盛りが登場。マジか。
大満足なんて言っていた割に鯛が来ちゃったもんだから煮付けを傍らに置きつつぱくり。
ほぇ〜〜!やっぱり鯛、うま〜!大好き。

さらにここで揚げ物、煮貝、だし巻きが続々と並ぶ。


「あ、だし巻きは俺が食べたかったから追加で頼んだ」

予約した友人が言う。ひょえ〜。プラスアルファで頼んでおったとは。
3人がさらさらと目の前のものを食べ進む中、もう完全に遅れを取った私は、とりあえずMyタスクであるキンメの煮付けをちびちび食べながらお酒を飲み「いやぁ若いもんはやっぱりよく食うねぇ、見てて気持ちがいいよ」みたいな親戚のおじさんポジションに。

次なるお酒は山形の住吉と和歌山の車坂。
6種飲んでみてあれが好きだったこれが飲みやすかったなんて、日本酒に詳しいお偉いさんや先輩などがいないのをいいことにいっちょ前に各々感想を述べ始める。


最後にあら汁とトロタクが来て食事はこれで〆。(怒涛すぎてあら汁撮り忘れ)
テーブルにずらりと並んだアテを思い思いに食べながら、飲み物のラストオーダーで最後の2種類、奈良の千代と兵庫の櫻正宗を頼み、日本酒メニューも無事コンプリート。
みんなで頼むからできる贅沢なテイスティング飲み。


いやぁ、とっても美味しかった。
非常に美味しかったのではあるが、もう、料理のスピーディな到着と大満足の品数に一つ一つ味わってゆっくり浸るというよりは怒涛の美味しい祭りを溺れるように楽しむという感じだった。

いつもはお風呂上がりに一人飲みか、2〜3人で飲みに行って好きなものをちょっとずつ頼むことが多いため、今日はかなりパワフルで私的にはとても忘年会っぽい宴だった。
君たち、いっつもこんなに食べてるの...?どうりで学生時代よりどっしりしてるわけだ。
直球コース、美味しかったです。腹パン。


そしてやっぱり久しぶりに会う大学時代の友達との時間はすごく楽しかった。中高生の時の青春!みたいな感じともまたちょっと違う、大人と子どもの間くらいの最後の学生時代を共にした仲間。
私の場合は住んでいる場所のせいもあるけれど、結局未だに度々会う友達というと大学の友人が多い。

それぞれ結婚したり子どりができたり、毛量を心配をしだしたりお腹が出てきたり、色々変わったことはあるけれど、会えばあの時と同じような調子でくだらない会話で笑い合える。
来年こそはスノボ行こうぜなんて言ってたけど、人任せ精神が多い似た者同士たちが集まっているので果たして実現するのやら。
でも、来年もこんな風にまた集まれたらいいな。


というわけで、もつにこみさんのアドベントカレンダーに参加させていただき「美味しかったお店」のレポートを書いてみました。

アドベントカレンダー、参加するのが初めてでびくびくしながら登録させていただきましたが、日に日にカレンダーがうまっていくのを見るのもなんだかわくわくしたし、参加しているみなさんの記事を毎日読むのも面白い!

今年は創作大賞のベストレビュアー賞にもつにこみさんが選ばれ、たくさん書いていらした感想文の代表作として、私の応募作についての感想文(なんかややこしいな)がピックアップされていて、本当に自分のことのように嬉しかったし、なんだかもつにこみさんと縁深くなった年だなぁと勝手に思っておりました。
だから、ありがとうの気持ちも乗せて、アドベントカレンダーに参加したかったのです。

もつにこみさん、ありがとうございました!
この企画を通じて知ったクリエイターの人にも出会えたのでアドベントカレンダーフレンド(っていう?)のみなさんのnoteもこれからちょくちょく読みにいかせていただければと思います。
以上、12月19日担当日野でした。

サポート、嬉しいです。小躍りして喜びます^^ いただいたサポートで銭湯と周辺にある居酒屋さんに行って、素敵なお店を紹介する記事を書きます。♨🍺♨