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京都タワーにまだ大浴場があった頃

京都タワーにまだ大浴場があった頃、半日だけ京都で過ごす時間を得ました。「何をしようか」。ひとまず駅前でレンタサイクルを借りて町へ繰り出します。

向かった先は、祇園。細い路地を選んで進めば、趣のある町家や老舗の店々が軒を連ねています。表通りとは対照的な静寂と風情に、今更癒されました。

祇園会館の大きさに今更驚き、円山公園の緑に今更心を弾ませ、知恩院の威容に今更圧倒され、平安神宮に至る一本道に今更心を吸われました。

裏通りばかりの京都を満喫した後、旅人ばかりの湯船に身を沈めて、あの日、思いました。「5月の京都は、自転車に限る」と。

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