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花屋の看板に

花屋の看板に、今日が母の日と知らされる。何かにせっつかれる思いで、その人に電話をする。特別なプレゼントも、心のこもった言葉も用意していない。

ただ、母の日という日に電話をする。その事実をもってすべて察しろ、という態度を彼女にとがめられず、2人、ぎこちもなく他愛もない話をする。

思い出した様子で、だけど満を持して、彼女は、兄にカノジョができた話を切り出す。「2年も黙ってるなんて」と怒って見せつつ、その声は、弾んでいる。

「まぁ、別に悪いことしてるわけじゃないし」と、変な取りなしをしつつ、彼女の手放しの喜びように、私は、兄が贈ったプレゼントの大きさを知った。

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