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HINEMOS 12銘柄完成までの道のりと今後の商品開発について

こんにちは、HINEMOSを造る杜氏(とうじ)の湯浅です。
創業時から製造に関わること全般に携わっていて、酒質の開発や設計、生産管理、工程管理、品質管理などを日々やっています。

 

最近は、頼れる蔵人に製造の現場はほぼ任せて、PCの画面とにらめっこする時間が多くなってきてました。お酒に触れる時間が少なくなって少し寂しいですが、人が育つ姿を見るのが最近の楽しみです。

【プロフィール】
・新潟大学農学部卒業後、静岡県の志太泉酒造にて5年修行
・若干27歳で、神奈川県の酒蔵、井上酒造の杜氏(酒造責任者)に抜擢。
・就任2年目に、全国新酒鑑評会にて金賞受賞
・日本に約150名程度しかいない清酒専門評価者の1人
・小田原に移転した森山酒造場の12代目としてHINEMOSの製造を担う。

 

さて、今回はHINEMOSを造っている私から↓こんなことを語りたいと思います!



12銘柄完成までの道のりと苦悩

HINEMOSは「すべての時間」という意味で、時間をコンセプトにした日本酒です。
6:00pmから5:00amのそれぞれの時間に寄りそう12銘柄の日本酒を展開しています。


 

その味わいは多様で、スパークリング日本酒からキリッとした辛口酒、貴腐ワインのような濃厚な甘口酒からライトな熟成酒など幅広く、12銘柄すべて飲むと自然とすべての日本酒が楽しめるというような設計にしてあります。

HINEMOS誕生の詳細秘話はこちらのnoteで

ブランド誕生当初から12銘柄すべてをリリースした訳ではなく、
・2019年4月 REIJI、SHICHIJI
・2019年5月 KUJI、NIJI
・2019年6月 HACHIJI、JUJI
・2020年3月   JUICHIJI、ICHIJI
・2022年12月 SANJI、YOJI
・2023年3月 GOJI

こんな感じの時系列で各銘柄がリリースされました。
特に最初に開発したREIJI、SHICHIJIは強く印象に残っていて、開発の上でのリアルな悶絶がこちらに詳細に書かれています。

そして2023年7月、最後の銘柄ROKUJIがリリースされ、約5年かけて遂に12銘柄が全て揃いました!!

 

酒質開発の苦悩

実は、5年前にHINEMOSが誕生した時、12銘柄それぞれをどんな味わいにするか、という構想は全く描けていませんでした。
完全にコンセプト先行型でした。

酒税法上、日本酒の定義のひとつに次のような条件があります。

米、米こうじ及び水を原料として発酵させて、こしたもの

 

つまり、原材料はお米と水のみ。
この狭い制約の中で、幅を持たせていろんな味わいの日本酒をつくることは非常に難易度が高いのです。

最初のREIJI、SHICHIJIでも大苦戦、さらに6銘柄くらい造った辺りからいよいよアイディアが枯渇します。
あぁぁぁぁ、、あと半分もある、、、どうしよう…


特にラスト4銘柄は大苦戦。朝5時に飲む日本酒とは何ぞや…

HINEMOS 12銘柄を完成させるには、自分自身の成長が必要不可欠でした。

酒質を開発する上で、まずは一般的に良いとされている香りや味わい、製法に関する固定観念を捨て去りました
鑑評会で高い評価が得られやすいお酒ではなく、飲んでシンプルに美味しいものをつくろう。そして各工程の意義を考え、教科書的な製法に固執するのではなく、勇気を持って大きく変えていくことを決意しました。


タンクの中で発酵中のICHIJI

次に、ワインやビールやウイスキーなどのいろんなジャンルのお酒のつくり方を学びました。(たくさん飲みました。)

そして、1年中お酒が造れるという最高の酒蔵環境を活用して、いろんな試作を行ったり、日々の酒造りの中から商品開発のヒントを常に探し続けました。(意外とヒントは足元にあったりしました。)

■冷蔵倉庫の酒蔵の凄さはこちらから

酒蔵設立から約3年。タンクの数は3倍くらいになりました。
開発研究室

そんな感じで5年間、試行錯誤しながらも、その時、その時で自分の酒造りの技術で表現できるものを造ってきました。
今思うと、直近リリースしたGOJIやROKUJIは、5年前の自分の技術レベルでは到底造れなかっただろうなと思います。

GOJIは超低アルの甘酒風日本酒、ROKUJIはドライスパークリング

12銘柄の開発と並行して、いろんな限定ボトルも造ってました。

昨年のクリスマスボトルと今年の母の日ボトル

いろんなお酒を造ってきたことで、表現できる幅が広がり、自分の技術も着実に成長・レベルアップしたなと思います。
それは、チャレンジできる環境があり、信頼し、サポートしてくれるメンバーがいたからこそ実現できました。
決してひとりの力では造れなかったと思います。


HINEMOSの味わいの魅力

そんな感じで悶えながら完成した12銘柄、他の日本酒と何がどう違うのか?
HINEMOSの最大の魅力はさらりと前述した通り、味わいの多様性にあります。

 

甘口でライトなものから日本酒ど真ん中の商品まで幅広いテイストのラインナップが揃っています。日本酒好きの方から日本酒が苦手という方まで楽しんでいただけます。

ひとつの酒蔵でこれほどバラエティー豊かな味わいを実現できている酒蔵はありません。


全国市販酒類調査から見えるHINEMOSの多様性

もうちょっと深堀して、
・どれくらい多様なのか、
・他と日本酒と比較してどれくらい違うのか

をお話したいと思います。

全国市販酒類調査という国税局の調査報告があります(ネットで見れます)

そこに、市販されている各都道府県の日本酒の味わいのマッピング表みたいなものが掲載されています。

 

色分けして、4つのカテゴリーに分けてみました。
高知は淡麗辛口、岐阜は濃潤甘口、広島は淡麗甘口、長崎は濃潤甘口。
各都道府県それぞれ特徴があることが分かります。
それから、全体的に淡麗辛口のタイプが多く、濃潤甘口タイプは少ないことが見て取れます。
ふむふむという感じ。

さて、ここからが本題。
ここにHINEMOS 12銘柄をマッピングしてみました。
それがこちら。

 

衝撃的です。笑
横軸、縦軸の範囲をこれほど拡張しないと12銘柄すべてをマッピングできませんでした。
自分でもこんなことになるとは思ってもいませんでした。

この図から、HINEMOSはこんな特徴があることが分かります。

・市場のお酒とはかなりタイプが異なる(=個性的
・分布が広範囲(=多様な味わい
・銘柄ごとの距離が長い(=銘柄ごとの味わいの差がハッキリしている

はじめて日本酒を飲む人でもハッキリとその違いを楽しむことができる唯一無二の日本酒ブランドです。

そして、これらのお酒を飲み比べできるミニボトルのセットもあります。

 

多くのカスタマー / クライアントに支持されています。

カスタマーからの声を一部抜粋

お米と水、というシンプルな原材料から、これほど色んな表情・味わいを引き出せるのが、日本酒の面白いところです。
HINEMOSは、銘柄ごとに製法を大きく変えることで個性的かつ多様な味わいを実現しています。


杜氏イチオシの銘柄

それぞれの銘柄に開発の苦労や秘話がたくさんあり、いずれもおススメではありますが、杜氏の私がイチオシするのはJUICHIJI(11時)です。
JUICHIJIは、穏やかさと軽やかさが特徴のスルスルと飲める淡麗辛口タイプのお酒です。

 

実は、この淡麗辛口というのが、僕の酒造りで一番得意とする酒質です。

大学を卒業して、日本酒の世界に飛びこみ、静岡の酒蔵で修行をしていました。
この酒蔵では、淡麗辛口タイプのお酒を主軸に造っていて、僕が学んできた酒造りの原型がここにあります。

厳しい杜氏のもとで学んだ酒造り

一番造ってきて・一番飲んできたのが、この淡麗辛口タイプのお酒で、今でもすごく好きな味わいです。

サラリとして主張が控えめな味わいは、日本食のような素材を活かした素朴な料理にそっと優しく寄り添ってくれます。
そんな控えめで品のある風格に日本的な美しさを感じます。

ただ、JUICHIJIは、HINEMOSの12銘柄という”個性”の集まりの中に入ると、個性がないように見える部分もあります。
でも、このJUICHIJIは、「個性がないのが個性」だと思っています。

HINEMOSの個性的なラインナップに入ることで、よりこの個性が光り輝きます。

淡麗な日本酒を作るのって、実はすごく難しくて、少しでもバランスを間違えると欠点がとても目立ってしまいます。
そういう技術的に難易度が高いお酒を再現良く、安定的に造れることが技術だと思っています。
ここがしっかり担保されているからこそ、型を変えたり崩したりして色んな味わい造りにチャレンジすることができています。

自分にとって大切にしたい銘柄です。

最近は超数量限定で生酒にもトライしました。(初の生酒)

 

■一推しのJUICHIJIはこちらです!!


商品づくりは未来を描くところから

「商品はつくるな 市場をつくれ」という本を最近読みました。
麒麟淡麗〈生〉や氷結、キリンフリーなどの数々の超ヒット作を生み出した元キリンビールの商品開発リーダーの和田徹さんの著書です。

長年愛される商品をつくる秘訣が詳しく書かれています。

商品を「もの」ではなく「役割や意味」で考え、
その商品が
・どんな未来をもたらすか
・どう社会に貢献するか
という未来を描くところから商品開発は始まるそうです。

例えば、ノンアルコールビール「キリンフリー」は、飲酒運転の痛ましい事故が世の中からなくなるような未来を描いて生み出されました。
商品開発には壮大なビジョンと壮大な熱量・覚悟が必要であるということを改めて考えさせられる一冊でした。

将来のビジョンの実現に向け、変化を起こす側に回り、市場をつくっていこうとする発想や姿勢が大切です。

HINEMOSも、「日本のために」「世界の日常を変える日本酒を」という未来に対する想いから、生まれたブランドです。

HINEMOSが完成する5年の間に、私も子供が2人生まれ、「子どもたちが生きる明るい日本の未来のために」という気持ちが、ここ最近強くなりました。
10年後、20年後も、子ども達が世界に誇れるようなものを創っていきたいです。

酒蔵の数は減り、日本酒の需要は落ち、杜氏や蔵人たちの高齢化は深刻です。
日本酒を取り巻く話であまり良い話は聞こえてきませんが、我々は日本酒のポテンシャルを信じています。
日本酒って最高に面白くて、かっこ良くて、美味しい。

自分達のつくるプロダクトを通して、日本酒の新しい価値を創造し、日本酒の未来を変え、日本の未来を変えていきたいです。

休日の昼の時間帯に桜の木の下で乾杯しているSAKURAボトルのイメージシーン。
私の描きたい未来はこういう世界です。


今後の商品開発のアイディア

そのために今後、どんなお酒をつくるか?は正直、今はゼロベースの状態です(笑)
ただ、この5年間、いつも「ゼロベース」でお酒を造ってきたので、またここからチャレンジです。 

何となくのアイディアとしては、
・使ったことない酵母にチャレンジ
・お酒とお酒をブレンド(アッサンブラージュ)
・とにかく美味しい乾杯酒の開発
とかをいろいろ考えています。
(アイディア絶賛募集中)

酵母ってたくさんいるんです。

もしかすると、ブレンドって”混ぜるだけ”というイメージを持たれるかもしれないのですが、互いの個性が絶妙なバランスで組み合わさることで、新しい味・香りを生み出すことができます。
「混ぜる」よりも「組み立てる」というイメージです。

多様な日本酒をつくっているHINEMOSだからこそ挑戦できる領域だと思っています。
ワインやウイスキーの世界では、個性を生み出すために至極一般的に行われていて、ブレンダーには高度な技術が必要とされています。


最後に

HINEMOS 12銘柄が完成したものの、今後の更なる価値創造のためには自分自身の成長がまだまだ必要とされています。
楽しむ気持ちを忘れずに頑張りたいと思います!

ただ、商品開発はひとりではできません。
創って(開発して)、造って(製造して)、伝え、届ける必要があります。 一緒に未来を描き、夢と情熱と勇気で新しい時代を切り拓いていってくれる仲間を募集しています!


ポジション①:ToBセールス
法人(高級飲食店・ホテル・旅館 等)への営業、さらにはイベントの企画立案、実行などを担ってくれるメンバーを募集しています。

ポジション②:SV候補/ストアマネージャー
SV候補として、複数のポップアップストアを管理していただくとともに、各ストアの売上最大化に向けた施策・VMDの提案・実行、また、ポップアップの会期中にはストアマネージャーとして現場に入り、売り場の改善・スタッフの育成・チームビルディングを担ってくれるメンバーを募集しています。

ポジション③:ストアマネージャー候補
2024年4月17日にオープンするハラカドの店舗などをお任せするストアマネージャー候補として、ご活躍いただけるメンバーを募集しています。

ポジション④:店舗開発/リテールマネジメント
商業施設へのポップアップストア出店業務全般、新規直営店出店にかかる業務全般をお任せできるメンバーを募集しています。

ポジション⑤:マーケティングアシスタント(アルバイト・業務委託)
弊社が運営するECサイトの運営をサポートしていただくメンバーを募集しています。

ポジション⑥:デザインアシスタント(アルバイト・業務委託)
各種デザインのサポートをしていただけるメンバーを募集しています。

ポジション⑦:ポップアップストアの販売スタッフ(アルバイト)
ポップアップストアにて、時間に寄り添う日本酒「HINEMOS(ひねもす)」を販売するお仕事を担うメンバーを募集しています。

ポジション⑧:オープンポジション
上記募集中の職種の募集要件に当てはまるかが分からない方、株式会社RiceWineで働くことに興味があるという方、日本の伝統的な産業で世界に誇るブランドを創り出す会社で活躍したいという方、または新卒での採用を希望される方はこちらからご応募ください

以上、閲覧頂きありがとうございました!


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