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スポーツを憎む女がBリーグを通じてスポーツを好きになった、かもしれない話

スポーツに対しての感情


陰キャでコミュ障で内向的で人見知りで協調性皆無で、そして運動音痴な女がいる。わたしである。

わたしは小学校6年中学高校3年計12年間(大学に体育の授業はほぼないので除外する)の学校教育の過程でスポーツに対するトラウマを植え付けられ、言葉を選ばずに言うなら「スポーツを憎む」女となった。
体育の授業から解き放たれて数年経つ今でも、あの頃を思い出すと苦虫を噛み潰しまくったような顔になってしまう。
・ドッチボールのチーム分け、リレーの順番決めで運動ができるものから選ばれていくあの瞬間。
・衆人環視のもとで走ったり投げたりしなければならない苦痛。個人競技ならまだいいけれど、団体競技なら失敗=死である。指を指されて責められる。
・中学の時ドッチボールでクラスメイトの男子に「邪魔」だと言われたこと、いまだに覚えている。彼はそんな発言わたしの存在ごと忘れているだろうが、わたしだけが覚えている。

スポーツは嫌い。スポーツをする人も嫌い。体育会系の人間たちは(これはもう思いっきり偏見なのだけど)気が強くて、態度がでかくて、怖い。スポーツをやっていた、やっている、と聞くと相手がどれだけいい人であろうとビビってしまう。新卒入社した会社は9割が体育会系で、3ヶ月に一度運動会をやっていると知った時はこの世の全てに絶望し、退職を本気で考えたくらいだ。

そんなわたしは今、Bリーグ観戦なるものにお金と時間と熱意を費やしている。


Bリーグとの出会い

ここ一年でBリーグ観戦を始めた人間の半数はスラムダンクのオタクだと思う。
わたしも例に漏れず、リアルバスケってどんなのだろうなと思い(プロバスケについて知りたいという不純な動機もあった)2023年の春頃、アリーナを訪れた。ちょうど引っ越して千葉県民になったのでまずはアルティーリ千葉、そして千葉ジェッツ。アップの段階でスリーを入れまくっていた大塚裕土選手に一目惚れして、当時バチクソに勝ちまくっていた千葉ジェッツに「強すぎて怖い」と若干引いて帰ってきた。それがはじまり。
この時はまだ宇都宮ブレックスのうの字も、比江島慎のひの字も知らない。

ややあって、W杯が開幕する。
ドイツ戦を見た感想は「やっぱバスケって身長ゲーの欠陥スポーツじゃん……」
フィンランド戦の感想は「バスケって身長ゲーじゃないのかも?」
オーストラリア戦の感想は「やっぱバスケって身長ゲーの欠陥スポーツじゃん……」
ベネズエラ戦の記憶は曖昧。見た後興奮して寝れねえんだよ状態になり、ひたすら比江島慎の動画を見ていた気がする。
そしてカーボベルデ戦。泣いた。スポーツを憎んでいた女が、第4Qで心臓バグバグにさせて必死に神様に祈って震えて泣いた。
そんな日が来るなんて、夢にも思わなかった。


宇都宮ブレックスとの出会い

宇都宮ブレックスというチームと、比江島慎という選手に明確に心奪われた瞬間はなかった。じわりじわりと背後から忍び寄られて、気がつけば全身沼に浸かっていた。

はじめてブレアリに行ったのは2024年2月4日、FE名古屋戦。最多のターンオーバーを叩き出して、フォトゥ神のシュートで劇的勝利を収めた試合。
次はその一週間後、長崎戦。その次はバレンタインの天皇杯。また二週間後に宇都宮に行って……
栃木県の正確な位置すら定かでなかった人間が月に何度も宇都宮に行って、バスケ見て、餃子を食べる。珍事すぎる。


はじめて生で見た比江島さん。かっこよくて狂った。
シュートの瞬間撮影しては「ほう……綺麗なフォームだ……」と安西先生と化した。

観戦に行くたび、スポーツを憎む女に感情が芽生えていった。
悪夢みたいな天皇杯はいまだに悔しい気持ちが残ってる。
栃木県に縁もゆかりもないのにレッツゴーとちぎと応援する。基本声小さくて地獄のようにテンション低い自分が、声を張り上げて誰かを応援できることに自分自身で驚いた。


この人の現役に間に合って本当に良かった。
はじめて声出して応援した日。びっくりするくらい楽しかった。

スポーツ「観戦」って究極の話、他人事だと思う。
自分がコートに立っているわけでもない。客席から見てるだけだ。チームが勝とうと負けようと自分の人生には究極、ひとつも影響がない。ブレックスが負けたところでわたしの年俸が下げられるわけでもない。逆に勝ったところでわたしが勝利給もらえるわけでもない。

他人事なのに、みんな魂を削って応援している。勝ったら飛び上がって喜ぶし、負けたら涙を流して震えるし、大切な選手が怪我したとなったら不安で心配で食欲も消滅する。
他人のことでこんなに心震える瞬間があるなんて、感情揺さぶられる瞬間があるなんて知らなかった。野球もサッカーもバレーもいろんなスポーツをやってる人、見ている人、みんなこんな気持ちだったんだ。

こんなに真剣にスポーツに向き合っていたんだ。

それを知れて本当によかった。その世界に一緒に飛びこめて本当によかった。

V6のライブで行けなかった代々木にまさかバスケで来ることになるとは思わなかった。

社会人になって、もう死ぬまで家と職場の往復だ。新しい世界に触れることなんてないと思ってた。価値観が変わることもないと思ってた。
そんなわたしの視野を広げてくれて、新しい世界を教えてくれたのは宇都宮ブレックスで、比江島慎。
多分マコが「気が強くて態度がデカくて怖い体育会系」だったらわたしの強固な考えが覆ることもなかったと思う。その性格でいてくれてありがとう……

もちろんブレックスだけが新しい世界を教えてくれたわけじゃない。
バスケって身長ゲーじゃん……っていう考えを変えてくれたのは、デケー奴らに負けずに縦横無尽にコートを駆ける富樫勇樹だし、
人とコミュニケーション取り、自分の考えを言語化する大切さを教えてくれたのは辻直人だ。

スポーツに対するトラウマが完全に払拭されたわけじゃない。
野次る観客にビビるし、試合中エキサイトする選手にビビるし。エキサイトするHCにもビビってるし。
でもこうやって、好きになったり苦手になったり、また好きになったりして少しずつ歩み寄って行けたらいいと思う。

自他共に認めるスポーツ嫌いをこんなに熱中させるなんて本当にすごいよBリーグ!
ひとり客でも、そんなにバスケに詳しくなくても見に行けること。会場によってそれぞれ特徴があるMC演出にかわいいマスコット、かわいいチア、うまいアリーナグルメにうまい酒。楽しいが溢れていて、変に敷居が高くない環境がすばらしい。
もっともっと日本のバスケが発展して、わたしの世界を広げてくれた彼らがもっともっと報われてほしいなと思います。


あと大好きなブレックスの選手たちが、どうか頂点に立って笑ってくれますように。
あとセミファイナルとファイナルのチケット取れますように.…;;;


まずは千葉ジェッツ戦!!!!!勝とうね!!!!!!!!!!!!!!


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