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自信と謙虚のちょうどいい落としどころ

12~3年くらい前、まだ私が駆け出しイラストレーターだった頃、イラストの売り込み方で、仲間内でちょっとした論争になったことがあります。それは「自信を持つべきか?謙虚になるべきか?」という話。

自信を持つべきか?謙虚になるべきか?

発端はイラスト仲間のKちゃんの「ひよ子さんは、編集さんにイラストを見せるときに、もっと自信をもって見せた方がいいと思う。卑屈になってると、イラストもよく見えないよ」という言葉でした。

しかし編集さんのひとりからは「大して描けもしないくせに偉そうにしてるのは逆効果だ」という声も聞かれ。

確かにどちらの言い分も納得できますよね。

「自信を持つべきか、謙虚になるべきか」。そこから壮大な私の思考の旅は始まったのでした。


当時は東京住まいで、周りに気軽に質問できるような編集さんが何人かいたこともあり、率直にいろんな人に聞いてみましたが、結論は出ませんでした。

ケースバイケースだし、卑屈なのはよくないけど、謙虚なのは好感が持てる、偉そうなのはよくないけど、ある程度描けてるなら自信を持つべきだ、というのが多かった意見。当然といえば当然ですね。


厚顔な人が勝つってホント?

その後いろんな人に出会い、その人それぞれの自己アピールを見て来ました。イラストレーターだけでなくライターも写真家もデザイナーも。

態度だけでなく、営業に行くべきタイミングについても考えさせられました。粗削りでもある程度作品が溜まったら堂々と見せに行くべきだ、という考えもあれば、いや、即戦力になれるレベルまでは営業を控えるべきだという意見も。

感じたのは「売れる人とは、厚顔なくらいの人が多いのかもしれない」ということ。とはいえ「偉そうにすれればいい」という意味ではありません。

「私はできる」と前に出られる人と「自分なんてまだまだ」って引いちゃう人だったら、やっぱり前に出る人の方が仕事につながりやすいし、「得」だ、ということです。

でもそのためには「そこそこのレベルであること」という条件が付きます。

その「そこそこ」ってどれくらいよ?というのは、その人の環境によって捉え方は違ってきます。

独学で作品をつくってる人の中には、他の人の作品と比べたことがないので、傍から見れば「え?」っていうような作品でも堂々と見せられたりする人もいるんですね。

反対に、多くの人と交流して周りが上手い人だらけだと、そこそこ上手くても「自分なんて」って謙遜して見せるのをやめちゃう人もいるわけです。

もちろん、周りがドン引きするくらいひどい作品なのに自信満々だったら、ひんしゅくを買うのは当然。自信なさげな方が印象が良いでしょう。

でももし、その2人がどちらもそこそこ上手かったら、やっぱり堂々と見せる人の方が勝ちに行きやすい。自信なさげにしていると相手も不安になってしまうかもしれないのです。

つまり「ちょっと厚顔なくらいな方がいい」というのは「周りを気にしすぎない方がいい」ということなのですね。


作品が語れないうちは、自分で語るしかない


そんなわけで、最低限のレベルに到達していたら、自信をもって堂々と見せるほうが断然いい、というのがひとまずの結論です。

問題は自分の作品が「最低限」に達しているかどうか。そこを見極めるのが難しい。そして「最低限」に達していたとしても、そこがスタート時点。その先がとっても大事なんですよね。

イラストに限らない話ですが、そこまで詳しくないことでも「私できます!」ってどんどん発信して行く人は最強です。

少なくとも「私より詳しい人はいっぱいいるし」なんてもじもじしてるよりは、チャンスをつかむ可能性は高いと思います。

自分が周りから知られていないなら余計に、自分の作品について自分で語らなくては、誰にも自分の存在に気づいてもらえません


謙虚になる瞬間

ただね、「できます!」と手を上げて仕事を請け負ったら最後、絶対に逃げられない、という事は忘れてはいけないんですよね。

受けてから「やっぱり無理かも」と思ってももう遅いのです。そこから死に物狂いでクライアントの求めるレベルまで自分を引き上げられなければ、下手すればそこで終わります。

そこで相手の要求にこたえられたらホンモノ、ということですね。(と書いていて、自分も耳がアイタタッてなります)


自信を持って仕事を請け負い、だんだんと周りから認められるようになったら、その時には、少し謙虚になるといいのかな、と思います。周りから一目置かれて称賛を浴びてばかりだと、奢ってしまいがち・・・なのかもしれません。

あの人、以前はあんなに感じよかったのに、変わったなぁって人、います。

そして、よく言われることですが、一流の人って謙虚な人が多いなぁって感じます。長く売れている人は人柄も良いものです。

そんなわけで、まだまだ発展途上の私は、自信を持ってイラストや文章を載せていきたいと思います。


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