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【超ショートショート】(86)~愛、それはメドレー~☆『熱風コンサート』メドレーより☆

恋のはじまりは“LOVE SONG”

僕が君を見たあの日からずっと、
好きと言えずにいた。
とうとう僕らは、
大人になるために、
それぞれの未来に向かって別れる日。

ほんの友だちの悪戯で、
僕は君を抱きしめてしまう。
その時、君は僕の腕の中で、
友だちにわからないように、
しがみついた。

僕らは、別れの瞬間に、
SOULの瞳でキスを交わした。
いつか本物のキスをする約束を指切りするように。

僕は大人に、
大人になるように言われるが、
大人には見えない、
〈しゃかりきなコロンブス〉というタイトルの
物語を書いたら、
大人たちは、自分の子供時代を振り返り、
「よく書けたな!まさに今が青春だな!」
なんて、嘘のように誉めてきた。

僕が、少しだけ大人になりかけている頃、
偶然、君と再会した。

そして、どちらからでもなく、
そのままデートとなり、
お台場の潮風公園で、
夕暮れを過ごすことになる。

僕はドキドキする心臓の鼓動を、
君に聞かれないように、
身体を固めると、
君が、手を重ねてきて、
「大丈夫?」と。

僕は、もっとドキドキし出す鼓動を止められず、
いや、もう止めるつもりもなく、
君の「大丈夫?」という、
そのキュンとなる可愛さに、
「抱きしめたい!」の衝動を
どうするかで迷った。

私が、彼と初めデートしてから、
「また会おう」という言葉を信じて、
待ち続けた。

やっと大人のスタートに立つ頃、
同窓会が再会した。

もう学生の頃のように会えなくなるから、
今のうちに同窓会しようと、
集まった旧友たち。

もちろん君もいた。
あの偶然再会して、デートした日以来、
久しぶりに君を見つめた。

2次会のカラオケ。
友だちがわざとデュエット曲を仕込んだ。
イントロが流れると、
僕と君が押し出され、
マイクを渡され歌えと言われて、
歌った“ふたりの愛ランド”

1次会で、君が、
「今度、みんなでハワイに行きたいね!」
というから、僕はつい、
「そうだね!ハワイなう!」
とウケもしない答えをして赤面。
そんな僕を見てクスクスする君が、
堪らなく可愛かった。

それから数年後、
もう大人として認められる姿になる夏の頃。
日本はめずらしく夏泥棒にあったように、
冷夏を迎えていた。

僕は前に約束した「ハワイなう」のために、
夏休みに君を誘って、いざハワイへ!

その日の夜。
ホノルルのビーチで、
サンセットを眺めながら、
君が泣き出したのは。

「どうしたの?」
という僕の問いに、
君は首を振るばかり。
「だから、どうしたの?
僕なら平気だから話してごらんよ!」

すると君は、
涙目で僕を見つめて
「ごめんなさい。」と。

どうやら、職場の人にナンパされて、
断りきれずに、キスをしてしまったと、
君は後悔していた。

「でも、気持ちがないんだろ?」
「うん!(涙)」
「なら、もう泣くなよ!
俺がそいつを殴りに行ってやるからさ!」
「ダメ!人を殴っては!」
「あ~、冗談だよ!でも、君にもしもがあれば、
俺が助けに行くからな!」
「うん!(笑)」

彼が長期出張で海外にいた頃、
彼からラインが届いた。
「今日、会える?
昨日の続きをしよう!」

私がそのラインに返信すると、
彼が帰国後、白状した。

「ごめん。」
「ごめんって何が?」
「いや~、あの~、嘘ついたこと。」
「嘘?」
「うん。嘘ついてごめんなさい!」
「別にいいのよ!別れてあげても。」
「いや~、それは・・・」

君は、僕を精一杯に怒って見せた夜、
ベッドの中で一人で泣いていたね!
僕はソファから、そのすすり泣く君の声を聞いて、
後悔した。

君がどれだけ
僕のために尽くしてくれていたのか、
友だちからも、君のお母さんからも、
たくさん聞いていた。
「あの子はあなたの話を、出会った日から
ずっとしているんですよ!
あなたが好きだという女優さんがいれば、
その人の髪型やファッションを真似てね。
あなたがどこどこの大学に行くというと、
一緒に入学できるように、
夜遅くまで毎日勉強したのよ!」

君に言い寄る男はたくさんいたそうだが、
君はいつも「好きな人がいる」と話し、
断り続けたそうだ。

「もしあなたとお付き合いできなくても、
あの子は、
あなた以外の人を愛することはないと思うわ。」
と、君のお母さんが話していた。

僕は、仲直りのお詫びに、
君の好きなケーキを買って帰った。

テーブルには、
「ごめんなさい。
しばらくひとりで考えたいの。
探さないでください。」

それから、僕は、
ダブル・ベッド代わりのシングル・ベッドの
左側を空けて眠る日が続いた。

僕が君にしたことは悪かったと
反省も後悔もしている。
でも、それで君を失うことは、
どうしても認めることができない!
僕のわがままなのは百も承知さ。
でも、君を失いたくない!

僕がそんな後悔の日々を過ごす頃、
友だちが電話してきた。
「もう彼女を迎えに行けよ!」と。

でも僕は君の居場所を知らないと話すと、
友だちは、
「今、一緒にいるよ!
毎日泣かれて大変なんだよ!
もう、どうにかしてくれ!(笑)」

君は、毎日、僕の家に帰って来て、
ドアまでは来れるけど、
家には入れずにいたそう。
「彼が怒っていたら怖いから」と
友だちが話した。

僕は友だちの指定した喫茶店に行くと、
久しぶりに君を見た。

シュンと肩を落としうつ向く君を、
僕は心配した。
だから、悪ふざけをして見せた。
「いやー!久しぶりだね!元気だった?
これさ、お詫びのプレゼントなんだけど、
開けて見てくれる?(笑)」

君は何の疑いもなく、
プレゼントの箱を開けた。

「ピュー!」と、
プレゼントから飛び出すおもちゃ。

君はのけ反り、
僕の仕掛けた悪ふざけにやっと気づくと、
「ギラッ!」と僕を睨み付けた。

「もう~!何なの?」
そう怒りながらも笑い出す君。

「ほら、僕を殴っていいよ!」
というと、君は、
「じゃあ、友だちも一緒に殴りに行こう!」
と、僕はふたりから柔らかい拳をもらった。

私は、彼の悪ふざけのお陰で、笑顔を取り戻した。
そして、
もう最初から許していることは言わないけど、
態度で許していることを伝えたつもり。

僕は君を家に連れ帰ると、
初デートしたときのように、
ドキドキが止まらず、
君はそんな僕に気づいて、
さっきの悪ふざけのお返しをするように、
身体を寄せて来る。

僕らは、その日、久しぶりにキスをした。
その時、僕は思った。
「君の唇ってこんなに柔らかかったのか?」と。
何でも君のこと、知り尽くしたと思っていたけど、
まだまだ知らないことがあるんだと思った。

君は、長い間、こっそり家に戻り、
掃除や家事をこなしていたこと。
僕は君から教えてもらうまで、
気づかなかった。

僕はいつも気づかないところで、
君の愛に支えられていた。
僕はどうやって、その愛に答えたらいいのか、
君を近くに感じるほど、
恥ずかしさに負けて、
「愛してる」
の言葉さえ、昔のように言えなくなっている。
でも、「君を誰よりも愛してる」


(制作日 2021.8.28(土))
※この物語はフィクションです。

今日のお話は、
2004年8月28日開催された
CHAGE&ASKA 25周年記念ライブ、
『熱風コンサート』の中の1曲、
『メドレー』曲の曲順通りに、
恋の物語を書いてみました。

(ニックネーム)
ねね&杏寿
(旧ひまわり&洋ちゃん)
(Instagram)
https://www.instagram.com/himawariyangchiyan/

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参考にした曲
CHAGE&ASKA
『25th Anniversary Special
チャゲ&飛鳥 熱風コンサート』
(2004.8.28(土)開催)
曲『メドレー』
・LOVE SONG・パラダイス銀河・Newsにならない恋
・ボヘミアン・ふたりの愛ランド・ふたり・嘘
・伝わりますか・シングル ベッド・YAH YAH YAH
・太陽と埃の中で
☆ライブDVD/Blu-rayの発売あり。

YouTube
【CHAGEandASKA Official Channel】
『メドレー』ライブ映像
https://m.youtube.com/watch?v=hi_9Ln6u15o



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