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茶碗に湯を通して

なんちゃって茶人、Himashunです。

一応表千家です。もうまるでお稽古もお抹茶のある生活も遠ざかっていますが、10年前には京都の家元で修行したこともあります。

お茶は煎茶の方が大好きで、煎茶道なら今はやってみたいなあ。南画家たちは必ず煎茶道具を携帯していたそうだから。

実は今年はちょっと野点をどこかでやろうと思っています。

登山の際には野点セットを持ち歩き、山小屋で一緒になった方にお茶を振る舞うこともあります。

その野点の場所なんですが、東京文京区の小石川植物園にしようかと考えているところ。

あすこは入場料がいりますが(500円)、桜の森があるし、地元の人以外はあまり来ず、またお酒も禁止なのでマナーもいいです。

前来た時に、いつかここで!と思っていましたが、今年やろうと思います。

まあ、一人で勝手に自服(自分で点てたお茶を自分でいただく)するだけですが、声をかけてくれた方にはお振舞いしようかと考えています。

で、今日はその野点に使う道具を引っ張り出してきたのです。


今回の野点で使う茶碗三人衆です。

これらは祖父母の持ち物でした。

去年祖母が亡くなり、私に茶道具の数々がとりあえず引き取られることになりました。

多くは祖父が旅先で集めたもの。メルカリで売っても一万にもならない、普段使い程度のものしかありませんが、思い出の品々です。

今日はこれらでお茶を点てることとしましょう。


お菓子も用意しました、召し上がれ。

島根は松江の和菓子屋、彩雲堂さんの「若草」です。

茶人大名、松平不昧公が作らせた、大変歴史あるお菓子。

求肥(ぎゅうひ)というプニプニしたお餅みたいなものが中に入っていて、上品な食べ心地です。

鳥取の境港に住むいとこがお彼岸の贈り物にこの前届けてくれました。


さて、紹介しましょうか、茶碗三人衆。

なんの茶碗か当ててごらんなさい(命令)。

ヒント、めっちゃ有名なものばかり。

茶道をやっているか、焼き物を知っていればわかるかも。


まず、このかわいい縞々のお茶碗。

これはちょっと難しいですね。

土は備前っぽい感じですが、形・絵付けは全然違います。

答えは絵唐津。

そう、佐賀県唐津にある唐津焼の茶碗です。

そんなに古いものではありませんが、絵唐津らしい一見稚拙に見えるヒョロヒョロ描きの筆に味があります。

祖父母旧蔵品の中ではこれが一番使いやすくて好きです。

高台はこんな感じ。

見ての通り味気もない、普段使いらしい茶碗のお姿です。

ご飯でも盛ってみてもよさそうかも。


見込みです。

唐津でもかなり灰色がかった色合いをしており、割りに珍しい気がします。

お茶をやっていた時は、この茶碗の絵付けがスイカみたいだと皆で話題にして可愛がっていました。


これは、見ての通りですね。

国宝茶碗も生み出した名陶、志野焼です。

鼠色をしているので鼠志野という種類のものです。

絵付けはなく、志野特有のあばたをつけ寸胴の、ダイナミックな作りになっています。

口縁です。本当に厚い唇の持ち主であります。

かなりずっしりとした重みがあり、けっこうなお湯が入ります。

なのでお濃い茶でよく使っていました。

もちろん薄茶でも冬はけっこう美味しくいただけます。

高台はちっちゃい。

高台付近は微妙に赤く染まっており、紅志野っぽさがあります。

三人目は、これも簡単ですな。

萩焼でございます。

深川窯の新庄寒山のお作。

寒山はリーズナブルな茶碗が多いですが、割りにこれは良い釉薬を用いています。

萩は七化け。使う混むほどに景色が変化します。

側面の釉薬流れの部分。

二つの筋が高台まで落ちていっています。


見込みには( )みたいな線が入っています。

これは重ねて窯で焼いた時にできた跡と思われます。

が、むしろわざと後からこういう線を入れて風情を出させた可能性も。

周囲には萩特有のポツポツ斑点が入っています。


高台です。黒焦げてかっこいい。

すぐ上には寒山の印が。

かなり薄手の作品で、その割には荒々しい景色を持っており、そのギャップが◎。


抹茶もご紹介。

宇治小山園さんの「一笑の昔」です。

小山園さんは表千家も裏千家も御用達の一番メジャーな茶園さん。

加賀棒茶で有名な丸八さんのネット通販で買いました。

艶のある味わいですので、お家で飲むのが良いタイプかも。一般受けもしやすい味です。


茶筅です。奈良は生駒の高山茶筅でございます。

今日開けました笑、なので今は湯につけておきます。

なので今日は野点セットの茶筅を使う感じで。

久々に野点セットも出しました。

こいつを小石川植物園に持って行きます。

山でバイトしていた時は、たまに自服で飲んでいました。

ちょうどお籠に入る大きさのミニ茶碗。

前通っていた茶道教室の茶飲み仲間がろくろを回す人で、作っていただいたものを転用しています。

味気はないですが、本当にぴったり籠に入ってくれてありがたいです。

さて、お抹茶タイム。

抹茶をこし器でこします。

それから抹茶をお茶碗に入れましょう。

片手で失礼、シャカシャカ攪拌します。

裏千家と表千家ではここでの指導が違います。

表ではあまり泡が立たぬようにするのが作法。


では、どうぞ召し上がれ。

今日は書斎のテーブルでやってます笑

もう一杯いただきたいと!?

よろしい、では次はお気に入りの絵唐津のスイカちゃんで。

ちょっと抹茶を多めに入れさせていただきましたぞ。

お湯も多めということで。

ちょいお下品ですが笑

お召し上がれ。

やっぱりお茶は美味しいですね。


小石川植物園へは一回下見に行く予定です。

桜が開花する来週当たり、良い場所を探しにいってみて、大丈夫そうだったら本番をやってみたいと思います。

皆様も是非、抹茶のある暮らしをお過ごしあれ!

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