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「非同期ワーク」を試した2年間を振り返る

こんにちは!プロダクトマネージャーのひまらつ(@himara2)です。

私が働いているmicroCMSという会社では「非同期ワーク」を推進しています。非同期ワークとは朝会などの同期的な集まりを極力減らし、SlackやNotionなどで非同期にコミュニケーションを進める働き方です。
そんな非同期ワークを導入して約2年が経ったので、このnoteで振り返りを書いてみます。

非同期ワークに切り替えた理由

microCMSはフルリモートワークの会社で、メンバーは全国各地からリモートで働いています。非同期ワークを考えるきっかけになったのは「microCMSはリモートワークではあるけど、同期的に働いているのではないか?」というエンジニアメンバーの声でした。

当時は毎朝10時の朝会をはじめ、定例のミーティングがいくつかありました。ミーティングがあると作業時間が分断されるだけでなく、ミーティング前は会議に遅れないように気をつけたり、ミーティング後は作業の状況を思い出すのに時間がかかったりと、前後1時間くらいは低パフォーマンスになってしまいます。

この問題を解決するべく、各個人が集中できる時間を増やす目的で非同期ワークが導入されました。

私はプロダクトマネージャーなので他チームと連携することが多い方だと思いますが、現在定例らしきものは週に5本、合計4時間だけです。エンジニアメンバーだともっと少ないと思います。

こう書いているとなんだが会話のない冷たい雰囲気に感じるかもしれませんが、チームの雰囲気はかなり良いと感じています。定例はないですが、困ったときはテキストやSlackのHuddleをつないで助け合っているし、coffee-chatという雑談の仕組み(後述)もあり、孤独になりづらいように配慮されています。

Notionベースで議論する

プロダクトマネージャーの仕事のひとつに仕様を決めることがあります。以前は関係者を集めて内容を説明し、その場でコメントを求めていましたが、いまはNotionベースで会話しています。

流れとしては「Notionにドラフトを記述 → 関係するメンバーにSlackでメンションしてコメントをつけてもらう → 確認して修正、必要あれば深掘り」という感じです。

Notionのコメント機能でドラフトにフィードバックをもらっている画面
Notionのコメント機能でドラフトにフィードバックをもらう

このやり方が良いのは、最初に他の人が読んで理解できるレベルのドラフト(たたき台)を用意する必要があることです。ドラフトのクオリティが高いと良い議論ができ、新しい観点のコメントをもらえますが、ドラフトがまとまっていないと何にコメントにしたら良いか分からず前に進みません。
ドラフトを作る際、曖昧な部分が多すぎて良いドラフトを作れないことがあります。その場合はまだターゲットやユースケースの理解が不十分ということなので、不足している情報を調べたり、メンバーに声をかけて壁打ちしてもらったりして理解を深めることにしています。

Slackメッセージは相手に伝わるように書く

非同期コミュニケーションでは、認識の齟齬をできるだけ減らすことが重要です。齟齬を減らすために気をつけていることは以前noteに書いたので読んでみてください。

上記のnoteに書ききれなかったことに「曖昧な表現は避ける」があります。表現を柔らかくしようと「〜っぽい」「〜かも」などの言葉尻にして曖昧にしてしまいがちですが、そうするとメッセージがぼやけるので気を付けるようにしています。
考えを述べるときやお願いするときは優しい表現で良いですが、事実は断定系で書くのが基本的には良いでしょう。

タスク管理ツールでチーム連携を自動化する

microCMSではClickUpというタスク管理ツールを導入しており、メンバー全員のタスクが見えるようになっています。

ClickUpの画面
ClickUpで全員のタスクを見える化している

ClickUpにはAutomationという機能があり、タスクのワークフローを組むことができます。例えば新しい機能がリリースされた時、それをお知らせするブログ記事を公開しているのですが、以下のようなAutomationを設定しています。

プロダクトチームの機能開発のタスクがクローズされたら
→ マーケティングチームのタスクに『ブログ公開』のタスクを起票する

機能リリース時に毎回Slackで「ブログ公開お願いします!」と連絡するよりもスムーズですし、抜け漏れもありません。

ちなみに、さらなる省エネ化として何かをお願いするときにSlackを介さずにClickUpで完結させるというアイデアもありました。ClickUpでタスク作成して、それに相手をアサインすることでお願いを表現するイメージです。ただ、このやり方はやり取りが他の人に見えにくい、コミュニケーションが冷たい気がするなどの理由で根付きませんでした。社内メンバーで話し合いながら働き方を工夫しています。

働き方ハンドブック

非同期ワークは馴染みのない人も多く、入社してから少しずつ適応していく必要があります(面接の過程でも伝えていますが実際やってみると驚きがある)。microCMSでは基準となる考え方をまとめ、「microCMS社での働き方Book」として社内ドキュメントにまとめています。

非同期ワークや情報共有の考え方をまとめているNotionのページ
非同期ワークや情報共有の考え方をNotionにまとめている

内容はGitLabの働き方をベースにしつつ、自分たちの組織に合わせて改編しています。非同期ワークでは自分で判断して動くことが求められる機会も多いので、このように基準が明記されているのは良いことだと思います。

「ミーティング禁止」ではない

非同期ワーク = ミーティング禁止ではありません。実際やってみると意外にNotionやSlackでやり取りが完結する場合も多いのですが、やはり同期的な会話が重要なシーンも多々あります。

参考にさせてもらっているGitLabのハンドブックではSlackのやり取りが3回以上往復したら同期(オンラインミーティング)に切り替えると書かれていますが、この取り決めは有効だと感じます。
その他にも、議論を発散させたいとき、細かいニュアンスを把握したいときなどは同期ミーティングが効果的だと感じます。

ゆるい交流を大事にする

リモートワークは気を抜くと孤独感を感じやすい働き方ですが、非同期ワークではさらに人と話す機会が少なくなります。
microCMSではゆるい交流も大事にしており、以下などに取り組んでいます。

  • coffee-chat(定期的に社内の誰かと1on1が組まれ、雑談する)

  • 社内ラジオ(アニメや温泉、AIなどのテーマで1時間ほど喋る。他メンバーは作業用BGMとして聴いてたまに質問する)

  • zチャンネル(ゲームや映画、フィットネスなど趣味のチャンネルがあり、雑談する)

その他、エンジニアチームでは輪読会やもくもく会が自主的に開催されたりなど、非同期ながらも話しやすい雰囲気になっています。輪読会の詳細は以下で詳しく紹介されています。

非同期ワークの個人的振り返り

導入前のイメージと一番ギャップがあったのは「思ってた以上に非同期でやり取りが完結する」ということです。
難しい仕様を決めるとき、集まって話さないと無理だろうなと思いながらも非同期で進めてみると、Notionでのコメントのラリーで滑らかに決まっていくことがあります。こういう時、「同期ミーティングで話す」が自分のデフォルトの選択肢になりすぎていることを感じます。

ミーティングの質もあがってます。ミーティング開催時は事前に議題をNotionにまとめるのですが、他メンバーもミーティングで忙殺されていないので事前に資料を読み込む余裕があります。事前のチェックでコメントをつけてくれたり、ミーティング開始のタイミングですでに参加者全員が状況を理解できていたりしてるので、本題の議論に多くの時間を割けています。

難しい点としては、良くも悪くも自律が求められます。自分から情報を取りにいったり助けを求めたりするスキルが大事です。慣れるまでは上長との1on1や、他メンバーとのゆるい関係性などでサポートできると良いかなと思っています。

おわりに

非同期ワークについて振り返ってみました。課題はまだまだあるものの、目の前のことに集中する時間が増える良い働き方だと感じています。自分のペースで働きやすいため、フレックスをフルに活かしたり、休みも取りやすくメリハリをもって働けています。
試行錯誤を続けながら、全員で非同期ワークの上手い会社を目指していきたいと思っています。

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