年収200万でも味わえる美食論

はじめに

俺は美食とグルメを違う意味の言葉だとして扱っている。

美食とは、食において美を追求することだ。美とは、この世に完璧なものは存在しないが、完璧を追い求めるその過程を指す言葉だ。美食とは、完璧に美味いと自分が思えるものを探し続ける過程のことだ。

グルメとは、ミシュランの星をありがたがることだ。食べ物の値段をありがたがることだ。季節外れの高級品をありがたがることだ。金箔を乗せて食うことだ。

美食は200円でも楽しめる。

三輪そうめん山本「白龍」1束200円

これは1束200円の高級そうめん。揖保乃糸で50円くらいなのでおよそ4倍

1束200円を高級とみるか美味しいなら妥当と見るか。妥当と見ることができれば年収2百万でも無理せず食える高級品です。俺は年収400万以下時代からそうめんといえばこれですね

白龍のすごいところ
普通のそうめんの半分の細さ
コシは普通のそうめんより強い
のどごしのなめらかさも普通のそうめんよりすごい

糸のようなそうめんが喉をちゅるちゅるとすべっていくし、ちょっと噛むと糸のくせにシコヌルッとして気持ちいい。喉で食う贅沢。一度食ったら他のそうめんが食えなくなる。通販でも買えます

ちなみに白龍よりも高い「白髮」っていうのが三輪そうめんショップで横に見えると思うけど、俺は白龍のほうが美味いと思います。値段は白髮のほうが高いね。白髮をヨシとするのがグルメ、白龍が美味いと言うのが美食

グルメは多分中華思想だね。高いものがうまいっていうのは中華だから。白髮は、たいしてうまくない料亭とかでありがたがって使ってると思う。

美食は一番高いものをありがたがることじゃない。「値段に関係なくこれが一番美味い」と言うことこそが美食だ。

白髮の商品説明ページみても「細さの限界に挑戦」「未体験ののどごし」白龍の商品説明ページは「細さとのどごしに感動」。もうこれが物語ってるんだけど、白髮は細すぎるんだよね。まあ面白いから一回食うのはいいけど美味しさでいうと白龍が上だと俺は思う。

つゆはにんべんゴールドの濃縮をその日の気分や食べ方で濃さを変えるのが好き。

群林堂の豆大福 一個210円

東京三大豆大福の一つに数えられ、松本清張、三島由紀夫も好物だったという伝説の豆大福。

まあこれにはネタバラシがあって、単に群林堂の目の前に講談社があるから、近くで買える上等な手土産として講談社の編集が愛用しただけじゃないかと思うが。

俺はここの豆大福が日本一の豆大福だと思うので、たまに食いに行く。1個210円だが、究極の豆大福というものが食える。こういうのも美食だろう。”買いに行く”のではなくて”食いに行く

一番うまいのは、午前中のバンバン量産してるときに買いに行って、お土産の箱詰めとかを買いつつ、1個追加で、この場で食べますからそのままくださいと注文すること。

奥から作りたてのホッカホカのを出してくれる。これを本当に店の前ですぐに食う。ペットボトルのお茶を用意しておいて。これが一番美味い。

究極の豆大福。ふにふにと赤ちゃんのほっぺたのように柔らかく、ひっぱればどこまでも伸びそうなつきたての餅と、伝統を守りチョコのようにネットリとした上品でいてエロい甘さのアンコのハーモニー。

部下に買ってこさせていたらこの味は知らないだろう。群林堂の豆大福の本当の味を知らない。出来たてを出してもらってその場で食う美味さを。

あ、間違っても3個以上食べようとしてはいけない。2個以内におさめないと、とたんにおいしさが飽きに塗りつぶされる。豆大福はわざわざ遠くから買いに行ったとしても2個だけ食うもんだ。

これこそが俺の思う美食であり、この2つは「一般に出回ってるもの」と「美食」の格別の違いを1人500円くらいで味わえる。美食道の入門としてオススメ。


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