見出し画像

盗難見舞金制度が不要である理由

ロードバイク向けのロック(鍵)には盗難見舞金制度がある商品がある。
しかし、自分は盗難見舞金制度を不要だと思ったので、理由を3つ書く。


●受け取り条件が厳しい

 盗難見舞金制度があるロードバイク向けのロック(鍵)を販売している会社は、自分が調べた限りだとABUS(アブス)とCROPS(クロップス)の2社がある。
どちらも似たような条件なので、比較的有名なABUS(アブス)の条件を書くと以下のようになる。

①ロックの購入から2週間以内に自転車本体の事前登録を行う必要がある
事前登録を知らない、忘れていた場合は見舞金を受け取れない
②自転車本体とロックの購入日時と金額を証明するレシートがそれぞれ必要
レシートを保管していない、紛失した場合は見舞金を受け取れない
③申請用紙、盗難現場の写真、盗難届証明書、身分証などの提出が必要
これらの手続きが面倒で、見舞金の額を考えると労力に見合わない事がある
④切断されたロックが必要
窃盗犯が切断したロックを持ち去られた場合、ピッキングやダイヤル合わせで盗難された場合は見舞金を受け取れない
⑤付属していたキーすべてが必要
1つでも紛失した場合は見舞金を受け取れない

このように見舞金を受け取る条件が厳しいので、受け取れない可能性が高いように思う。
特に④の切断されたロックを持ち去られた場合は被害者側で対応のしようがない。

Tips
・CROPS(クロップス)の方が、条件が良い

商品の値段と比べて見舞金が高い
ピッキングでの盗難も見舞金が支払われる
キーが1個以上あれば良い
(規約により確認)

●商品の値段が割高になる

 盗難見舞金制度は保険的な性質のものである。
保険の役割は、稀な大きな被害を確実で小さな保険料の支払いに変える事であり、期待値的には同じである。
また、保険の事務運営にかかる費用の分だけ、その期待値よりも割高になる
なので、保険に入る事は、期待値的にマイナスである。
(それでも稀な大きな被害を回避できる事に保険の価値がある。)
よって、稀な被害の金額が小さければ、保険は不要である。
盗難見舞金制度の場合は、見舞金の額が高くても12万円である。
その程度であれば、貯金で対応できる小さな金額である。
なので、盗難見舞金制度がない代わりに、その分安い同等品を買う方が確実に得である。

Tips
・保険料相当額、どの程度割高なのか?
 保険料相当額は保険金×年間保険料率×保険期間で求めれる。
保険金は盗難見舞金に当たるので、5~12万円になる。
年間保険料率は、自転車盗難保険だと車両価格の3%弱になる。
(盗難のみが対象となる保険、ZuttoRideのずっと自転車盗難車両保険より)
保険期間、盗難見舞金が支払われる期間は購入後3年である。
なので、保険料相当額は12~5万円×3%弱×3年=4千~1万円程度になる。
この内、保険の事務運営にかかる費用は3割から5割と言われている。
(保険業界の用語では付加保険料と呼ばれる、公開情報が少なく正確性は不明)
この情報から計算すると、少なくとも1千~5千円程度は割高であると推測される。
(実際の価格を調べるとそれ以上に高いように思える)

●プロの盗難は防げない

 ペンチやボトルクリッパーなどでの切断であれば、それなりのロックで対策できる。
しかし、油圧カッターやサンダー(ディスクグラインダー)の切断対策になるロックはほぼない。
(一応市販されているが、非常に重くなるのでロードバイクに使う事は実用的でない。)
とはいえ、油圧カッターやサンダーは高価であり、気軽に買える物ではない。
なので、アマチュア窃盗犯の盗難には、それなりのロックで十分といえる。
だが、油圧カッターやサンダーを使うプロの窃盗犯には、現実的な対策がない。
バイク(自動2輪)の窃盗にも使われるこれらの工具は、バイクに使われる頑丈なロックも切断できる。
当然、それに劣るロードバイク向けのロックは簡単に切断されてしまうので、切断対策にならない
つまり、自転車から離れた状態で確実な盗難対策は存在しない。
(オルターロックも数分で破壊できるので、有効な盗難対策といえない。)

 ・それなりのロックについて
盗難見舞金制度がある商品でも、ペンチやボトルクリッパーなどの対策として十分でない物がある。
ブレードロックはリンク部分を攻撃されると弱いので、対策として十分でない事が多い。
Bicycle Security Labという評価サイトを見ると、焼入れ6㎜チェーン以上であれば十分に思える。

●まとめ

見舞金を受け取る条件が厳しく、切断されたロックが持ち去れたという被害者側で対応できない事由で受け取れない場合もある。
見舞金制度は期待値的にマイナスであり、金額も小さいので貯金で対応した方が安い。
プロの窃盗犯に狙われると切断できないロックはないので、盗難は防げない。
以上、3つの理由から盗難見舞金制度は不要だと自分は思う。

余談

・自分が最終的に購入した商品
見舞金制度がなく安い
アマチュア窃盗犯の対策にはなる
地球ロック出来る長さがあり重すぎない
この条件で探した所、以下の商品を見つけた。

Kaedear(カエディア)のバイク向けチェーンロック KDR-LK1-1000

セールで3千円と安く、大きな不満はなく、期待通りに使えている。
しいて不満点を挙げると2点ある。
他社製品でも同じだが、シリンダー周辺のプラスチック部分を攻撃されると弱そうに見える点
ホイール前後とフレームを含めて地球ロック出来るほどの長さがない点
(1000㎜が900gなのに1500㎜が1000gと表記されていた。
シリンダー部分が異常に重い計算になり、重量の正確さを怪しんで1500㎜の方を買わなかった。)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?