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『内弟子時代の逸話』


合気道本部道場に住み込みで修行してた頃の話。


事務所の朝当番だったある日、白光真宏会の方が、いつものように、朝稽古前の植芝吉祥丸道主に
背後から手かざしをしています。

稽古時間が近付いたので、
一足先に白光真光会の方が2階の道場に上がると、
吉祥丸道主が、すーっと私の横にやって来て…
「僕はねぇ、気なんて分からないんだよ…。」
と言って2階の道場へ上がって行かれました。

「何故、私に言うー?」と思いながらも
吉祥丸道主の正直ぶりに驚いた瞬間でした。


またある日、合気会の役員で、
開祖の時代から稽古している方に、
開祖の時代の稽古と今の時代の稽古って
違ったりするんですか?と聞いてみたら、

「開祖の時代には、型なんて無かったんだよ。」「開祖は二度と同じ技をやらないんだよ。」
「今の型はね、吉祥丸道主が作ったんだよ。」
それから、声を潜めて
「開祖の目は緑だっだんだよ。」
まさかと思ったので「白目がですか?」と聞いたら
「黒目のとこだよ」と言います。
「光の加減とか?」と聞いても
「それは無い。ずっと緑なんだよ。」と断言。
「えーホントにぃ!?」ってな感じで
貴重なお話を聞かせて頂けました。


次は、まだ大統領前のウラジーミル・プーチン氏が
SPを数人従えて、合気会の本部道場に、
お忍びで体験稽古に来られた時の話。

受けの相手に抜擢されたのは私でした。
当時のプーチン氏は、
小柄でかなり生真面目な印象。
冗談なんて絶対言えないような人に見えました。
体験稽古の最中も、ガチガチに緊張してたので、
柔らかく合わせて受け身を取った覚えがあります。

それにしても、今のプーチン氏をTVで見る度に、
「本当に同じ人かなぁ?」と感じる私がいます。


最後に、殆ど覚えている人はいないでしょうが、
30年前のテレビCM、黄桜生の合気道編にて
女優、有森也実さんに投げられていた
スタントマンは私でございます。
デカくて柔らかいヤツということで抜擢。

先ずは本番前のカメリハで、
有森也実さんの代役の方を相手に、
50本くらい受け身を取り、
その後、有森也実さんとの本番撮影。

ただ、
足元が、フローリングの上に角材か何かを組み、
その上に畳を敷いた感じだったので、
結構な硬さなのが問題でした。

高く飛びつつも、受け身の後は静止してて欲しい
という指示だったので、
初めはプロレス的な受け身にアレンジ。
上手く衝撃を回避できていたのですが、
私の顔が映るという理由(何故いかんのだ!)で、
背中を向けた横向きで、
ビタっと静止するように指示変更が…。

「これでは衝撃の逃がしようがないではないか!」
と思いながらも、仕方がないので
本番までやり遂げました。
ひたすら片方だけの受け身を…。

悲劇は翌日やって来ました。
朝稽古の時、開脚のストレッチをすると
右足の付け根の筋がガムテープみたいに固くなっていることに気付き驚愕。
そのうち治るかな?とその時は思ったのですが、
回復に成功したのは、ごく最近のことです。
30年もかかってしまいました。




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