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【質問箱】トランス女性が産婦人科を受診すること について トランス男性の私が回答する

ども、Hikaruです。

いや、タイトルよ笑
というところですが。

私は X(旧 : twitter)にて @hikaru_acht というアカウントでポストをしながら、質問箱という 匿名で質問を受付する ネットワークサービスも活用しています。

性同一性障害への無知•無理解は まだまだ解消されないところ、特にトランス女性については ネット上で ヘイトが目立ちます。
すると、私は トランス男性なんですが 何故か トランス女性に関する質問が 上記の通り来る訳ですね。

質問者は 性同一性障害の当事者かは分かりませんが、純粋に疑問に思ったことを 当事者に訊いてみたいところ、直接質問することは失礼だと思ったために、ヘイトでも何でも 大抵の質問は答えている私でいいから訊いてみたかったんでしょうか。

トランス女性が産婦人科を受診すること について どう思うか

今回の質問

下記、回答に沿って補足します。

このような質問は 問題提起 自体 当事者に失礼な可能性が高い

始めに、質問者に その気がなかったにせよ問題提起 自体 当事者に失礼な可能性が高いことを説明

最終段落でも述べていますが、性同一性障害の当事者にとって「当たり前」であることを、さも異常事態かのように 「問題」提起することは 当事者ににとって失礼です。
質問者としても 失礼にあたるかもしれない、という考えはあったために、匿名で行える質問箱を利用したことでしょう。

しかし質問箱の性質上、その問答は 質問者と回答者である私の二者だけでなく、不特定多数の第三者の目に晒されるため その質問も、また回答にあたり注意が必要です。

もしこのような質問をする場合は

「私は始めて そのような事実を初めて知り、正直驚きましたが あなたは 驚きましたか」

「私は当事者だから このことについて批判されることにショックを受けました」

など せめて質問者の立場を明らかにして、純粋に知りたいだけであって傷つけるつもりがないことや、回答者がすべき回答範囲を限定する方が 誤解がないと 私は考えます。

トランス女性が 産婦人科を受診するまでの過程を知る必要があります

トランス女性が受診する背景には
治療する内容や医療機関の不足が挙げられることを説明

トランス女性は何も 本人のこだわり的な主張で産婦人科を受診している訳ではありません。

「トランス女性」という言葉は非常に広義であるから、この段落では トランス女性のうち、性同一性障害(MtF)と診断されて 女性ホルモン治療を受けている方や、上記にあります性別適合手術を受けて 生殖腺を除去した方を、私は 念頭に置いて回答を試みました。

後ほど さらに補足しますので ここでは若干語弊のある説明となること予め述べます。

トランス女性は 生殖腺を切除すると、完全に性ホルモンの供給を 身体の中では失うことになるため、何かしらホルモンを補充しなければ 性ホルモンが欠乏するという症状が生ずることになります。

その治療として行われる 女性ホルモン治療は よく考えてみれば 卵巣が欠損している女性や不妊症の女性のホルモン治療と同じことをすることになるため、産婦人科への受診が可能となる ということです。

またこれも 後ほどさらに補足する内容で 語弊があるのですが、生殖腺を切除する前は 性同一性障害の診断書を取得した、いわゆるジェンダークリニックにてホルモン治療を受ける場合が多いです。
しかし性別適合手術を終えた当事者の受診を 医療機関として受け続けるだけのキャパシティーがないために、他の科で 同じ治療を受けられるなら 移動して欲しいという 医療現場からの要望もあります。

当事者も 知識ある医師に診てもらいたいと思う方が多いところ、専門の医療機関の不足から、移動を余儀なくされている実情があることも 理解する必要があります。

専門の医療機関が不足していることは 性同一性障害の当事者にとって極めて困難な問題です

トランス女性が産婦人科を受診する背景には
深刻な専門の医療機関の不足の問題があります

皆さんは 性同一性障害をキチンと診療できる と言われるクリニックが全国に いくつあるか ご存知でしょうか。

1998年に設立された学会ですが、26年経った現在(2024年5月1日時点)でも 十分な知識があると認定された医師は39名しかいません。
単純に考えても、47都道府県あって1県に1名もいない状況です。

いわゆる GID学会 認定医でなくとも性同一性障害の診断や治療を受けることはできなくはないのですが、実際は 性同一性障害の診断や治療のために 当事者が殺到する状況です。
医療機関によっては 患者を受け入れるキャパシティが無いために、当面初診受付を休止したり、毎年 初診受付を抽選にするなど 間口を狭める他なくなっているところもあります。

上記の状況では、医療機関としては 本当にその治療を必要な人への治療のみに留め、他の科での同等の診療で十分足りる場合は 患者に移動をお願いする他ありません。

結果トランス女性は 望まなくとも産婦人科を受診することがあります。

専門医が不足する状況は 性同一性障害の当事者にとって 極めて困難な問題です。

日々の通院による金銭的負担や時間的負担の軽減も 必要です

専門の医療機関が少ないということは
通院にも過大な負担があるということ

先述では 性別適合手術を受けた後に 産婦人科へ受診するケースについて述べましたが、そもそも 遠方から性同一性障害の診断書を取得に医療機関へ受診する方は依然として多く
未手術の場合、治療の内容に寄りますが 注射1本を2週間〜4週間に打つとして、毎度 移動に金銭と時間を割くことは負担が大きいです。

このため専門医から「ここまで通うことは難しいでしょう」と産婦人科へかかるよう 促される場合が実際にあります。

適切な医療を受けることよりも、金銭等の事情から、なんでもいいので医療を受けたいから受ける という状況です。

私は 手術を受けていないトランス男性ですが、当初 ホルモン治療にあたっては 埼玉県のから千葉県の専門医のクリニックにかかっていましたが、注射1本打つのに片道2時間かけており、当時バイトをしていない18歳の高校生でしたので、お年玉等の所持金は どんどん無くなっていくばかりで心的ストレスがありました。

また就職直前から東京都の専門医のクリニックを受診していましたが、岩手県へ転勤となり 専門医への通院は金銭的に不可能となったため、居住地付近の泌尿器科へ電話を一つずつかけて「紹介状があるなら」と なんとかクリニックを見つけることができました。
地方で見れば 専門のクリニックが無いところはザラです。

専門医を受診しろ、と言うのは簡単ですが 実際は 困難であることを理解する必要があります。

「女性の生殖腺が付いてないのに、一体どこを診てもらうんだ」という無理解

無理解を突きつけられるのは心が痛みます

性同一性障害当事者の多くは ただ普通に、元々の性別を悟られることなく生活したいのですから、あえて目立ったり、意地でもと こだわり的な主張をしてまで 女性•男性スペースに侵入する訳ではありません。

トランス女性が産婦人科を受診することを 意味不明であるとか、ケシカランとか主張する方がいらっしゃいますが、トランス女性の治療や 性同一性障害の当事者が置かれた状況への理解があれば、わかる話です。

根ざしているのは 無知•無理解であり、私はこれらが解消されることを切に願っています。

追記 :
転勤により専門医を受診できなくなったため、新しい居住地で ホルモン治療を受けたとき実経験を書きました。よければご一読ください。


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