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大総合商社で金太郎飴にならない方法③〜「認知されること」の重要性〜

全5回でお送りしている本シリーズの第三弾です。今回は、認知されること、つまり”Awarenessの重要性“についてお送りしたいと思います。

宝塚歌劇団における「Awareness」

自己紹介欄にも書きましたが、私は宝塚歌劇団の大ファンです。小学3年生から大学入るまでくらいはほぼ全公演見ていて、それ以降は好きな作品を選んで観ています。

宝塚歌劇団は5つの組に分かれており、各組にトップスターと呼ばれる人がいます。このトップスターの下に二番手、三番手、、、とある程度の所まで明確に序列があり、それは公演毎に変わるものでは基本的にありません(組み替えや退団を除く)。

そして、宝塚歌劇団の一つの大きな特徴は「All for トップスター」であることです。多くのミュージカルは、「All for 作品」でしょう。でも、宝塚は違います。照明、主題歌、レイアウト、衣装、、、、全てがトップスターのために存在します。

驚くべきことに、宝塚の照明は序列によって変わります。当然トップスターには最も明るい照明が当たり、二番手はその次、三番手は。。。となります。なので、トップが舞台のどこにいようとも必ず分かります(演出上の工夫がある場合を除く)。

逆に、どんなに華やかでも、序列が低いと中々に気付くのは難しいです。なので、其々のファンクラブは、ファンの方々に対して「いつ・どこで・どう出てくるか」を事前に記した紙を配布するんですね。

天海祐希、檀れいと「Awareness」

と言っておきながら、いきなり反例を記します。それが、宝塚の最年少トップ男役記録と最年少トップ娘役記録を持つ、天海祐希さんと檀れいさんです。

彼・彼女を若かりし頃に見たことがある方々は、口を揃えてこう言います。「どこにいても、どこにいるか分かった」と。つまり、余りに華やかすぎたので、個別の照明なんて当たっていなくても、「認知できる」んですね。

そうなると、最早宝塚のコンセプト・作品作りにおいては「邪魔」な存在です。違うところに目を向けて欲しいのに、彼らに視線が集まってしまうわけですから。

じゃあ、どうするか。照明が当たるところに移す、つまり出世させるしかないわけですね。ドンドン真ん中に寄せて行った結果、最終的にお二方とも最年少トップになった、というわけです。

こういう人たち・こういう世界を9歳から見てきたので、私にとって「Aware/Acknowledgeされないと、どうにもならない」というのは、全てにおける大前提、でした。

その人の「選択肢」に入ることの重要性

宝塚のことだけで1,000文字も書いてしまいました(反省)。

しかし、これは一般社会にも十分共通することだと思っています。僕は「知られる」ということを、良く「選択肢に入ること」と表現しています

日々生きていて、選択肢に入ってない選択をすることは、あり得ませんよね?

もし私が、Aさんにとってとても有益な情報を得たとしても、私がAさんに連絡することは出来ません。当たり前ですよね。

ここで、私の事例を一つ挙げると、自分の部と私自身の知名度が低いと見るや、自分の部と自身の功績をまとめたプレゼン資料を作り、社内の約20の部を廻ってプレゼンしました。

知り合いや同期がいる部の場合は、その人にお願いして会議をアレンジしてもらい、そういう繋がりがない部には、社内電話帳で調べた電話番号に直接電話し、「初めまして!細田と申します!」から会議をアレンジしてもらいました

最初は怪訝な顔をされますが、結果的に各回大いに盛り上がり、十分に部名と個人名を覚えていただいたと思います。

その結果、その後、人事部の方からは、大型人事セミナーのプレゼンテーターのお話を頂き、広報部の方からは、東洋経済や経済産業新聞の取材に紹介を頂き、財務部の方からは、、、、と非常に多くのお話をいただけるようになりました。

そうしたら、その記事を読まれた方々や、私のことを口コミで聞いた方から連絡をいただき、、、と、ドンドン輪が広がっていきました。

プレゼンをした瞬間に「あ、こういうのあるんだけど、どう!?」という話になることはありません。しかし、プレゼンした相手に覚えてもらい、「あ、この話、あいつに振ってみようかな」とその人の「選択肢」に入ることが、何より大事なのです

実はアピールを待ってる、上の方々

偉い人たち、決定権を持っている人たちというのは、得てして忙しいです。そして、同時に多様な案件と大量の部下を抱えています。

そうなると、その人たちが聞く各個人の評価は、自分の直属部下からの「間接情報」になります。しかし、その情報は既に多くの人の主観に塗れており、信頼度は必然的に落ちています。一方、その多忙な方々は、全部下一人一人と面談する時間などは無いので、必ずしも正確ではないと知りながら、仕方なくその「間接情報」を頼りに人事戦略を練っているわけです

そんな人たちが「俺、すごいんすよ!!」と部屋に飛び込んできたらどうでしょう。勿論「はあ!?」となりますが、実はそれこそが彼らの求めていた「直接情報」であり、嬉しくないわけがありません。もしかすると「まあ。。。。話くらいは聞いてあげてもいいけど?」的なツンデレ対応はされるかもしれませんが。

つまりここで言いたいのは、「アピールは横とか斜めだけでなく、職制上で上の人達に対しても堂々とやっていって、いいことしかない」ということです。

じゃあ、なぜアピールしないのか

ここまで書いたことは、文字にしてみるとめちゃくちゃ当たり前のことに見えます(いつもそうですが)

では、大企業・大総合商社の人はどうかというと、本当に驚くほどアピールしない。差別化を図り、自分がより大きな仕事ができる能力を身につけたとしても、いい仕事をしたとしても、誰にも言わない。ただ知ってるのは、自分のラインの数人だけ。。。。

それでは、その数人がその人の代わりに拡声器を使って宣伝してくれない限り、その成長や功績が誰かに伝わることはありません。

何故か。私が想像する、「アピールしない理由」は以下の通りです。

①そもそも「アピールする」という発想がない
②アピールした事に対するネガティブな反応が怖い
③アピールの仕方がわからない。

特に②が大きいのでは、と想像します。確かに、人間の有する最も濃くて根が深い想いは「嫉妬」であり、アピールする、ということはわざわざそれを食らいに行くようなものです。そして、その嫉妬的反応は一瞬で来ます。

一方、そのアピールに対して「おっ」と思った人の反応は結構遅れてきますし、来ないこともあります。そうなると、常に「ポジティブな反応<<ネガティブな反応」という構図になってしまうから、嫌になってしまう気持ちはわかります。

私も、会社に入ってから12年間、嫌というほど攻撃されてきました。でも、途中で気づきました。攻撃された瞬間はダメージを負いますが、その傷口は浅く、そしてしょうもないものだと

一方、アピールしたことで新たに繋がったヒト・モノは、非常に有意義であり、自分の人生を新たに切り拓いてくれるものだと。

それに気付いてからは、誰に何を言われようとも、単に傷つくことはなく、意味のある批評・批判だけに耳を傾けられるようにしました。

第三章の終わりに

大企業・大総合商社が、もっとアピールする人で溢れれば、より成果・人物の評価のクオリティが上がり、社員がよりモチベーション高く働けるようになる、と信じています。

もしこの投稿を読んで、「Awarenessを高めてみようかな」と少しでも思っていただけましたら、今日から、明日から試してみていただければと思います。きっと、人生がより充実したものになりますし、周囲の人も幸せになります。

ではまた次回!!

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