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記憶の中の映画たち(2)

「パーフェクトカップル」(Primary Colors)/アメリカ/1998年/監督マイク・ニコルズ/主演 ジョント・ラボルタ、エマ・トンプソン、エイドリアン・レスター〜あの晩、彼らがドーナツ屋のカウンターで語ったこと

#ネタバレ注意

「私の夫は、おたんこなす」・・・・(笑)
アメリカでこの作品が公開された1998年の3月は、
2期目の後半にさしかかったクリントン大統領にとって、
自らを窮地に追い込んだ「モニカ・ルインスキースキャンダル」が
発覚した直後で、連日メディアの報道が過熱していく中、
ホワイトハウスはその火消に躍起になっていたときでした。

この作品は、1992年の当時アーカンソー州知事として、
大統領選挙に出馬したクリントンとその陣営の選挙戦の模様を
つぶさに取材した元ニューズウィークの記者による
「プライマリーカラーズ〜小説大統領選」をもとに映画化したもので、
ビル・クリントンを擬したと思われる主人公ジャックス・タントンが、
接するものは皆その魅力に取り憑かれるも、毀誉褒貶の激しさと、
既婚者であってもあちらこちらで女性に見境なく手を出す無節操さに
辟易とする周囲をよそ目に、予備選挙から党大会での指名獲得までの間、
対立候補からのネガティブキャンペーンを退けながら選挙戦で
奮闘する若き大統領候補とその妻、側近、選挙スタッフを巡る人間模様を
コミカルなタッチで描いた政治ドラマです。

南部のとある州の知事で、大統領選に名乗りを上げた民主党の若き候補者
ジャック・スタントン役は、その頃、立て続けに話題作に出演し、
役者として脂が乗っていたジョン・トラボルタで、喋り方から髪の色まで
真似て、クリントンを彷彿とさせる演技を披露しています。
妻で、ヒラリー・クリントンに擬せたスーザン役には、95年に公開された
米英合作作品「いつか晴れた日に」で、英国アカデミー主演女優賞や
数々の賞を受賞した英国女優エマ・トンプソンが、人々に愛されるも
女性に奔放な夫に振り回されながら、夫と選挙戦での生き残りをかけて
奮闘する妻を演じています。
そしてもう一人、高名な公民権活動家を祖父に持ち、
自らも政治における市民の理想の実現を希求する学校教師で、
ふとしたきっかけでジャック・スタントンの
選挙スタッフのメンバーに加わる事になる
ヘンリー・バートン役を演じたのは、英国人俳優である
エイドリアン・レスターです。
物語冒頭、文盲の学生との対話集会の席で、
学生らによる体験告白を聞きながら涙を流す
知事ジャック・スタントンの姿に感銘を受け
選挙スタッフに加入、以後実務を統括する主要スタッフとして
また側近として粉骨砕身するも、次第にジャックの人間性や
選挙戦の生々しい実態に幻滅していく様子を、とてもメリハリが効いた
演技で、上手に演じています。

物語は、全国党大会前の各州で行われる予備選挙、党員集会が進む中、
党内の対立候補と激しい駆け引きを繰り広げる民主党候補者で
南部州知事でもあるジャック・スタントンとその妻スーザンが、
選挙戦やふりかかる数々のスキャンダル(ほとんどが女性関係だが)を、
信頼するスタッフや、新たにチームに加わったヘンリー・バートンと
力を合わせて乗り越えて行くストーリーです。
原作の小説も、あくまでフィクションの体裁は取り繕ってはいるものの、
描かれている選挙戦での誹謗中傷合戦の内容は、間近で選挙戦を
クリントン陣営の中で取材を続けていた番記者による、実際にあった
出来事さながらの生々しさで、この記者が、この小説を当初は
匿名(Anonymous)で出版した理由も頷けます。

序盤の話の展開は、ジャック・スタントン扮するジョン・トラボルタ
のまさにクリントン"然"とした演技も相まって、とてもスムーズに
進むのですが、予備選挙・党員集会の各州ごとの諸事情や慣習など
現地の選挙戦に関してある程度の知識がないと、話についていくのが
途中から難しくなり、且つ、作品自体が編集でカットされている部分が
あるようでうで2時間20分程度の劇場作品で描き切るのは少々無理が
あったかもしれません。

さてこの物語の中盤あたりで、夜更けに、ジャック・スタントンの
選挙スタッフ一行が宿泊しているホテル近くのドーナツ屋のカウンターに
トレーナーにジャージ姿のジャック・スタントンが、一人腰かけて
店員と談笑しているシーンがあります。

おりしもジャックは、かつて妻スーザンのヘアドレッサーだった女性との
不倫騒動が持ち上がっていて、スーザンとスタッフはその対応に大わらわ
でした。ジャックはそんな妻やスタッフ達の怒号が飛び交うホテルの
部屋から一人抜け出し、このドーナツ屋にやってきて、店員と世間話に
興じていました。

ドーナツ屋の店員は、名前がダニーという三十代ぐらいの男性で、
ジャックとカウンター越しに会話をしています。それを宿舎の窓越しに
見つけたヘンリーが、ドーナツ屋にあらわれてジャックの隣に座ると、
ジャックはヘンリーにダニーを紹介します。そして、この後、
三人が交わす短い会話は、三者三様、皆それぞれ置かれた立場と
それぞれ抱えている問題が窺えて印象的です。
以下そのまま引用します。

ヘンリー「Hey, Governor」(どうも・・知事・・)
ジャック「Henry my man…sit down..have some coffee」
               (よう・ヘンリー・・座んなよ・・コーヒーでも飲みな」
ヘンリー「No..I'm okay..You gonna get some sleep tonight?」
               (いえ大丈夫です・・今晩はもうお休みになられますか?)
ジャック「Hmm Absolutely…Don't you worry about me」
               (もちろんそうするさ・・私のことは心配しないでくれ)
    「I was just going over some ideas with Danny here」
              (ちょうどダニーといろいろアイデアを検討していたんだ)
    「Danny Scanlon…this is my friend Henry Burton」
              (ダニースキャンロン・・こちらは私の友人のヘンリー・バートン)
ヘンリーはダニーとカウンター越しに握手をする
ダニー 「Can I get you something, Mr.Burton?? Apple fritter??」
              (バートンさん・・何か召し上がりますか?
                 アップルフリッターはいかかです?)
ヘンリー「No Thanks」(いや結構)
ジャック「You know that Danny here works here every-night..
                   twelve-hour shirt…$5.25 on hour..」
     (ダニーは毎晩ここで働いているんだ・・
      12時間交代で・・・時給が5.25ドル)
ダニー  「But like I was telling the Governor…I don't mind 
                     but I would mind if I couldn't work…
                    How about an apple fritter?」
                  (でも知事にお話したように・・別にいいんです
      それより失業するほうが心配ですよ・・・ 
       アップルフリッターはどうですか?)
ヘンリー 「Not for me」(私はいい)
ジャック 「What was the best game you saw all year, Danny
                                                                      college..Not pro 」
                   (今シーズンのフットボールで最高だった試合は??ダニー
      プロじゃなくて大学)
ダニー  「Utah versus San Diego state..」(ユタ対サンディエゴかな)
ジャック 「Yeah..I saw that it was great ground game 」
                   (あぁ・・私も観たよ・・とても素晴らしい試合だった)
ダニー  「Yep..You gotta have a good ground game…..
                       You do apple fritter??」
                   (そうですね・・またいい試合が観れますよ 
       〜ヘンリーに向かって〜 アップルフリッターどうです?)
ヘンリー 「No ..I just said..」(いらないって・・さっき言った)
ジャックはさえぎるように・・
ジャック 「I..I'll have one..Dan..but just one ..Okay..」
     (私が・・私がもらうよ・・ダニー・・ひとつだけでいい・・) 
ダニーはトングでケースの中のアップルフリッターをつむと
紙にくるんでジャックの前に置く
ダニー  「I will make some fresh coffee and if you want some, you call me」
               (私は新しいコーヒーを淹れてきます・・
                    何かあれば呼んでください)
ジャック「All right Danny Thank you」
       (わかったよダニー・・ありがとう)
ダニーは右足をかばうように歩きながら、奥の部屋に入っていく
ヘンリー 「You look tired Governor..Maybe it's time to go home」
              (お疲れのようです知事・・お休みになられたほうが・・)
ジャック 「They're gonna kill me with trash」
                 (ゴミネタに潰されてしまうな・・)
ヘンリー 「Not if you don't let them」
                  (大丈夫です・・そうはさせません)
ジャック 「It's my own fault…It's my own goddamn fault..
                      I didn't keep it together..」
     (私の落ち度だ・・まったくとんでもない私の落ち度だ
       うかつだった)   
ヘンリー 「We can still win this thing..we're going to win it」
                  (我々はまだ乗り越えられます・・大丈夫です)
     「But the hits you're taking are nothing compared to
                                            what average folks are going through」
                   (普通の人たちが抱えていることに比べたら
         こんなことはたいした事ではないはずです) 
ジャック 「Hmm」(あぁ・・)
ヘンリー 「Losing their job..losing their homes..
       Keep that in your mind 」
                   (仕事を失い・・家を失い・・
                                覚えておいてください)
ジャック 「Yes」(そうだな)
ヘンリー 「Keep the folks in your mind」
                  (彼らのことを忘れないでください)
ジャック 「It's about them」(彼らのことだよな)
ヘンリー 「Year..it's about them..it's about history」
     (はい・・彼らのことです・・
      それと〜これから変えるべき〜歴史のことです)
ジャック 「Well..that's truer for Susan than it's for me..
                             it's always been about them」
                 (私なんかのことよりそれが大事だ・・
              いつもそのことばかりだ)
     「Like this fella, Danny Scanlon…..
                   Worked everyday since he was 14
                  Couldn't get insurance
                  Couldn't get his leg fixed right
                   Doesn't complain
                   Doesn't do anyone any harm
                   Achin to do good
                  God if you let a man like that go down, 
                  you don't deserve to take up space at this planet do you?」
     (ダニーみたいに、14のときから毎日働いて
      保険ももらえず
      足も治療できず
      不満もこぼさず
      人を傷つけたりせず
      真面目に頑張っている
      そんな人たちを失望させたら、
                        私はこの地球のどこで生きていけばよいのだ・・)
ヘンリー 「We won't let him go down」
      (失望させたりなんかしません)

映画「パーフェクトカップル」より

ここに登場するドーナツ屋の店員ダニーは、
恐らくジャックと旧知の間柄なのでしょう。
二人の会話にもあったように、ダニーはわずか時給5ドルで、
夜勤もいれて12時間交代で、毎晩働いているそうです。
その大変さを気にかけてくれる知事のジャックに、ダニーが返し言葉は
「働けるだけマシです」でした。

ビル・クリントンが民主党の党大会で、正式な民主党大統領候補として
指名を受けた1992年6月は、前前年から続く景気後退の影響が残っており、
とりわけ国全体で高水準で推移する失業率への対応が、
この年の大統領選の大きな争点のひとつでした。 
ダニーの言う"働けるだけまだいい"とは、裏を返せば
一旦、職を失えば、たとえ厳しい労働条件の職であっても、
就けるかどうか疑わしい・・それぐらい当時のアメリカの
失業問題は深刻だったのでしょう。

この三人の短いやりとりの中で、ダニーは三回、
ヘンリーにアップルフリッターを勧めます。
これは来店したのなら何か頼んで欲しい・・それとも
ちょうど出来立てでおいしいから食べてほしいのか・・
この場面の中からだけではちょっとよくわかりません。
ヘンリーも最初「No Thanks」、二回目は「Not for me」、
三回目で「NO..I just said..」と段々と語気を強めます。
野暮ったい連中が多いジャックの選対スタッフの中でも、
ヘンリーは教養があり、実務に長けて、人当たりもいい、
それゆえジャックも側近として重用するのですが、
この手の有能な側近とか秘書とかの人間によく見受けられる、
自分にとって重要度の低い人やモノを、通り一辺倒に、
場合によっては粗略に、扱うような言わば冷淡さのようなもので、
この場面のヘンリーにもそんな属性を感じますが、
ただこの時は、恐らくジャックのスキャンダル対応に忙殺されて、
ダニーの心象にまで関心が及ばなかったのかもしれません。
一方ジャックは、ダニーとヘンリーの間で、
ひょっとするとダニーの気持ちを慮ってなのか、
一瞬気まずい空気が流れかける前に、
アップルフリッターを注文するあたり、
伊達に長年、州知事という大勢の人をまとめる職を担ってはいません。

ダニーが奥の調理室に行った後、
ジャックはダニーの境遇に対して、無力な自分を嘆きますが、
この時彼の口から語られるのは、
「14歳のころから社会に出て
(税金を払って)働きづめなのに、
公的な保険も利用できず
足の治療も満足にできない(ダニーは足に障害を抱えている)」
これは当時の、そして現在も"オバマケア"が一度は成立するも
その有名無実化、もしくは廃止を目論む議会の保守勢力による
執拗な攻撃が続く、アメリカが抱える医療保険制度の問題です。

国民皆保険制度を採用している国のなかのひとつである日本に
暮らしている私たちからすれば、国民の6人に一人が
公的な保険を受ける資格がなく、高額な費用を負担しなければ
利用できない民間の保険も加入できないといった状況が
実感として理解しづらいかもしれません。
このアメリカの医療保険制度を巡っては、100年以上も前に遡って
国を挙げて激しい議論が続いている問題で、そもそも
アメリカという国の建国以来、脈々と受け継がれてきた
「自由と自立」に重きを置く伝統的な価値観と
国民皆保険制度は「大きな政府・ソーシャリズム(社会主義)」
だとするイデオロギー的な見方。
そして、医師団体、保険業界などの団体による
既得権益を維持するための強力なロビー活動が
背景として深く根ざしていて、この話だけでも
一冊の本にまとまるぐらいとても奥が深く、
ちょっと話を読みかじった程度の私ごときが
軽々にその可否を断ずることなど到底できやしない問題です。
しかし、貧困にあえぐ人、病気や身体的なハンデをかかえた人、
子供や老人などで公的な支援が必要な社会的弱者が、
困窮の際、自己責任の名のもとに置き去りにされる現実は、
自由と平等を謳う国の荒涼とした実体なのでしょう。

ジャック・スタントンのモデルとなったビル・クリントンも、
1993年の大統領就任後、ファーストレディーのヒラリーと共に
既存の医療保険制度を改革し、国民皆保険制度の創設を目指したのですが、
前述した通りの伝統的な価値観とイデオロギー的な考えが背景にあり、
利害を有する業界団体の圧力と、民主・共和両党多数の議員による反対で
その実現に向けた試みはあえなく頓挫してしまい、
後の2009年にオバマ政権が発足するまで、
医療保険制度改革が日の目を見る事はありませんでした。

話を作品に戻します。
このドーナツ屋の場面で描かれていたように、
知事ジャック・スタントンは、ダニーのような市井の一市民にも、
暖かく接しながら、一方で国の抱える問題を憂いつつ
理想を語ることができる、魅力的な若き大統領候補なのです。
民主党全国大会で、当の正式候補として、指名を勝ち取るべく
順調に全国を遊説するジャックですが、またしても問題が発生します。
今度は行き付けのバーベキューレストランの娘で、
かつて自分の子供のベビーシッターだった黒人女性との不倫、
そしてその女性が懐妊して、子供の父親が実はジャックではとの疑いが
持ち上がり、またしてもヘンリーと選対スタッフは対応に追われます。

そんな多事多端な中、世論調査での支持率は一時は下落するものの、
主だった対立候補二人のうち、一人の上院議員は、ラジオ番組で
ジャックと討論中に心臓発作を起こし、やがて選挙戦から脱落します。
もう一人のフロリダ州知事は、叩けば埃がでるのは相手も同じで
密かにヘンリーと選対スタッフを派遣して調査を試みた結果、
昔のコカイン使用疑惑と当時はまだタブー視されていた同性愛疑惑を掴み、
それらをマスコミにリークしようとしていた矢先に、
この対立候補調査に加わっていた、長年信頼の厚かった女性スタッフが
ジャックや妻スーザンの人倫に悖る卑劣なやり方に失望し、
自ら命を絶つ悲劇が起きてしまいます。
結局、それらをマスコミへリークする代わりに、
ジャックとヘンリーはそのフロリダ州知事のもとに出向き、
調査して把握した内容を伝えます。
自らの不利を悟った知事は、その場で選挙戦を辞退する決断をし、
更に今後ジャックを支持する意向を伝えます。
主だった政敵は去り、あとは民主党全国大会へ向けて
意気揚々と臨もうとするジャックに、
選挙戦の醜い現実に嫌気がさしたヘンリーは、
選対スタッフを辞める意思を伝えます。
ジャックは、一瞬動揺した様子でしたが、
平静を保ちながら「君の辞意は受け入れられない」と突っ撥ねます。
そして、いくつかのやり取りの後、いつもの陽気なジャックに戻り、
「この国を変えていこう、我々で歴史を創っていこうじゃないか」と
多くの人を魅了した笑顔で、穏やかにヘンリーに語りかけます。
意を決してジャックに辞意を申し出たヘンリーですが、
ジャックの言葉とその笑顔が、ヘンリーの琴線に響いたのでしょう、
何も言わず、ただ苦笑でもってジャックの問いかけに応じます。

時は流れて、場所は大統領就任舞踏会の会場。
アメリカ合衆国大統領となったジャック・スタントンと、
ファーストレディーとなったスーザンが、支持者に囲まれる中、
二人はダンスを踊っています。
やがてジャック・スタントン大統領は、選挙戦の早々から献身してくれた
それぞれなじみ深いスタッフ一人一人と握手を交わしていきます。
そしてタキシードに身を固めて立つヘンリーの右手を、
ジャックは両手で固く握りしめたのです。

冒頭でも触れましたが、一年近くに及ぶ選挙戦の中で繰り広げられる
多くの人間ドラマを、2時間23分の映画作品で描ききるには、
ちょっと無理があったように思います。
同じ時期にNBCのテレビドラマで人気を博した「The West Wing」
(邦題 ザ・ホワイトハウス)のように、ドラマシリーズのなかで
選挙戦が進むにつれ、選挙戦術も複雑かつ大がかりに展開していく模様と、
時にカリスマ的、時に軽薄、そして時に決断する複雑な性格のジャックと
それを取り巻く古参選挙スタッフを巡る人間模様を
じっくり描いたほうがよかったのではと思います。

とはいえ、物語の節目節目でバックに流れる
この作品の音楽を担当した、名ギタリストでもあるライ・クーダーの
ゆったりとして、そしてどこか切ないメロディーが、
一人の強烈な個性に振り回される周囲の人間の滑稽さと物悲しさに
時折出てくるアメリカの田舎町の風景と相まって、
この作品に厚みを加えています。

ジャック・スタントンのモデルとなったビル・クリントンは、
二期目も当選し、八年の大統領任期を全うしました。
その間、アーカンソー州知事時代から囁かれていた
彼の女性関係の軽率さ、無分別さは、大統領就任後に改まるどころか
二期目後半の、モニカ・ルインスキーのスキャンダルを引き起こし、
やがて大統領自身の弾劾裁判にまで発展したことは周知の通りです
(上院議員の大統領罷免に必要な賛成票が集まらず結果は無罪)。

来年は、アメリカの大統領選挙の年です。
現職で再選を目指すも、自らの高齢と国内外に多くの課題を抱える
民主党のバイデン大統領。
一方、政権奪還を目論む共和党は、筆頭のトランプ元大統領が
支持者による議会襲撃を扇動した罪などで起訴されたままで
候補者選びは混沌としているようです。

合衆国大統領の権威を失墜させたとまで評されたクリントンにも
作品中、ドーナツ屋の場面のように、側近と理想を語り合ったときが
あったときがあったのです。
来年の大統領選に向けて、今回名乗りを上げている各候補者も
一人一人同じような場面があるのではと、想いを馳せてしまいます。

以上最後までお付き合いいただきありがとうございました。
石本克彦

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