深夜特急オン・ザ・ロード
TBSラジオで平日23時半から放送されていた、斎藤工さんが朗読する『深夜特急』がついに昨日終わってしまった。私はリアルタイムでは殆ど聞けなかったが、翌日以降radikoで一度も欠かさず聞いていた。
最初は4/3〜半年間と告知していたのに、結局10ヶ月間に延長された。TBSラジオサイドは放送しながら、やべこれ全っ然終わんねーとなっていたのか。テキストが全て揃っていても、やり始めたら計算では割り切れなかったのか。それもいいなあと思う。
この番組はラジオで放送してかつ、オーディブルで聴ける小説作品になるという試みであり、今文庫の1~3巻まではオーディブルで聴くことができる。
同じくこの放送を聞いていた、私よりもずっと沢木耕太郎さんが好きな方が、最初は「斎藤工の声が甘すぎて沢木さんのイメージとちょっと違う」とか、「途中からだんだん慣れてきたし、斎藤工がすごく上手くなってる」と言っていて、私はあまりピンときてなかったのだけれど、今日オーディブルに再加入して第一巻から聞いてみたら、終盤の頃とのあまりの違いに驚いた。
最初の頃の斎藤工さんは完全なる「朗読の上手い人」であり、これだけを聴いていたら別に違和感はない。
でもラジオの深夜特急....中盤くらいだろうか、もう斎藤工は完全に若い頃の沢木耕太郎だった(知らないけど)。臨場感がまぶしい。旅は時に心細く不安、しかし景色は美しくご飯が本当に美味しそうで、人の優しさやずるさにこちらの気持ちも大きく揺れ、ああでもこれは70年代の話なんだなあとふとした瞬間に驚いたり、まあとにかく最高なのだ。
自分は本を、特に小説を誰かに読み上げてもらうことには、自分で読むこととは全く違う価値があると、ここ数年ずっと思っていた。
自分が読んでいるだけでは気づかなかったこと、もっと違う景色が見えたり、それは単純に発見でもあるけれど、時に癒しでもある。小さい子が本を読んでもらって嬉しいみたいな感覚にたぶん近い。
でもこの深夜特急×斎藤工の朗読はそれを超えた、そしてドラマや映画では感じられない音声特有の効能で、小説のひいては旅の奥行きを体感することができたなあと思う。TBSラジオ、素晴らしい試みだなあとただただありがたい日々だった。
またオーディブルで聴いていこうと思うけれど、後半、文庫の4巻以降が登場するのが楽しみである。
オーディブルは30日間無料体験があり、一度(でなく何度も)やめた人でも時期によって3ヶ月間半額とかになったりするので(私も何度か再加入している)、ぜひ一度登録してみてはどうでしょうか。
・オーディブル
・ラジオ深夜特急公式サイト
いろいろな方にインタビューをして、それをフリーマガジンにまとめて自費で発行しています。サポートをいただけたら、次回の取材とマガジン作成の費用に使わせていただきます。