1タップの愛に溺れる

1タップの愛に溺れる

1タップの愛をください

別に愛してくれなくてもいいから
なんなら私のことを知らなくてもいいから

ただ、ただ、見てくれているだけで
私は生きていていいような気がするので
その心地に溺れていたいのです

私がつぶやくことに
私が書くことに
私が撮った写真に
私が歌った歌に
私が関わったものに

ハートや星がつくだけで得る安心感は
冬の夜の布団のようにぬくぬくとしているのです


1タップの愛をください

別にフォローしてくれなくてもいいから
なんならプロフィールまで見なくてもいいから

でも、でも、気にしてくれているだけで
私は誰かに必要とされていると思い込んで
その勘違いに盲目でいたいのです

私の赴くままに
私の綴るままに
私の映ったものに
私の口ずさむままに
私の愛したものに

拡散や引用がつく度に得る高揚感は
走った後の心臓のようにドクドクとしているのです

0が1になるのが嬉しくて
あの人の名前が表示されるのが嬉しくて
1が10になるのが嬉しくて
初めましての人が表示されるのが嬉しくて
10が100になるのが嬉しくて
色んな人の中で話題になるのが嬉しくて
100が1000になるのが嬉しくて
もはや自分の声がどこまでも届くようで嬉しくて

ただ、分かってるよ
興味あるのは「それ」なんだよね
私の普通の「おはよう」は人気がでない
分かってるけれど、どこか、足りないと思ってしまう
その自分の隙間を埋めたくて

だからね


1タップの愛をください