見出し画像

第1964回 カイツブリの浮巣

①https://blog.goo.ne.jp/ikerin77/e/64dab0a1ae574b0b8f9d65dc2c2b0a7cより引用のカイツブリの浮巣

   皆さんは①の写真のカイツブリという水鳥をご承知でしょうか。私は初めて見た時は可愛らしい、平泳ぎしながら、水中に潜ったと思ったら、浮かび上がった瞬間に小魚を咥えているなんて、などと思ってしまいました。いつかのNHKのニュース番組の一角で、動物園のトラの厩舎にカイツブリが紛れ込み、それをトラが狙い捕獲しようとしますが、その寸前でカイツブリは潜水し、難を何回も逃れる映像が流れた時に、アナウンサーが「かのアヒル…」と発言し、色んな野鳥を特集し、提供してくれています大放送局にしては、ちょっとお粗末かなと思った次第です。一般的に皆さんがご存知の水鳥はカモやハクチョウなどで、このカイツブリの様に、自由自在に潜水できる水鳥は、鵜飼で有名なウミウくらいのものかもしれません。

②-1.Twitterより引用のカイツブリ一家

画像1

②-2.https://www.birdfan.net/2019/03/15/68842/より引用の水上滑走のカイツブリ(体長約26㌢)

画像2

   カイツブリは、鳰(にお)、鸊鷉、鸊鵜(共にへきてい)という古名があり、古くから日本でも親しまれてきた水鳥です。日本では本州中部以南では留鳥として周年生息し、北部や山地のものは冬に渡去することから、北海道や本州北部では夏季に飛来する夏鳥となります。また日本の仲間にアカエリカイツブリカンムリカイツブリハジロカイツブリミミカイツブリと五種が生息致しますが、カイツブリはその中では一番小さいです。このカイツブリの名前の由来は、櫂(かい)のような趾(あしゆび)と瓢箪(ひょうたん)のような体の形などからという説があり、瓢箪のことを古くは瓢(つぶる)といい、この櫂と瓢の発音が転じて、カイツブリになったといいます。また「鳰の海」は琵琶湖の事で、この湖こそがカイツブリの生息地です。

③-1.https://www.google.co.jp/amp/s/gamp.ameblo.jp/kawasemi2030/entry-12241371204.htmlより引用のマガモの趾

画像3

③-2.https://squatyama.blog.ss-blog.jp/2009-11-09より引用のカイツブリの趾

画像4

   前項のカイツブリの名前の由来にもありましたようにこの鳥の趾は、③-1.の写真のようなカモとかハクチョウの趾のようなアヒルみたいな水掻きにはなっていなくて、③-2.の写真のような趾の各々が葉っぱのような形になっています。またその趾は身体の後部の尻あたりから生えており、歩くには非常にバランスが悪いのですが、趾を櫂のように使って潜り泳ぐことが出来ます。そのかわり、他のカモの仲間より地上で歩くには困難な状況なために、水上生活を選びました。また翼も身体の割には開帳幅が小さく、尾の本羽を欠き、機能的な尾を持たなく、飛べるには飛べますが、苦手で、②-2.の写真の様に水上で助走して飛びます。

④https://www.google.co.jp/amp/s/sarobetsu.exblog.jp/amp/237444474/より引用のカンムリカイツブリ(体長約56㌢)の求愛行動

画像5

   当たり前ですが、カイツブリの仲間は同じように な身体に櫂のような趾(弁足)を持ち、水中を潜水することができますが、カイツブリを除いて②の項の四種は、カイツブリが留鳥に対して、全てが冬鳥です。日本に飛来致しますカイツブリの仲間を含めた五種の中でも最も身体の大きな鳥が④のカンムリカイツブリです。この鳥は日本では、冬季に基亜種が九州以北に冬鳥として飛来しますが、青森県の下北半島や滋賀県の琵琶湖など本州の湖沼では少数繁殖が繁殖します。その繁殖期に見られますのが、④の写真の水上における求愛ディスプレイのダンスです。繁殖期には縄張りを形成し、雌雄が「カッカッ」と鳴き頭部をもたげながら接近し、向かい合って左右に頸部を振ります。その後に羽づくろいをしたり、互いに巣材を回収するという複雑な求愛行動を行ない賑わせます。

⑤http://sugisanforest.blog.fc2.com/blog-category-5-2.htmlより引用の親鳥不在中の浮巣

画像6

   繁殖期は4月から9月と長く、秋から冬に繁殖することもあります。水辺に浮き巣を作って繁殖します。「ケレ、ケレ、ケレッ」と大きな声で鳴く時が恐らくメスに対しての求愛行動かもしれません。他のカモなどの水鳥は地上にて営巣しますが、このカイツブリだけは歩くことが、③-2.の写真のような趾なので、水上に作ることになります。水上に作られる巣のことを浮巣といい、葦の葉や茎、枯葉などで水草の茂みの水上に作ります。⑤の写真はカイツブリの親鳥が不在中の浮巣の模様です。雌雄のつがいは産卵した卵を露出させないように、卵の上に枯れ草を被せ、天敵から自分等の卵を守るという工夫も出来る営巣です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?