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第1951回 鳥島に棲む鳥

①https://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/325_Izu-Torishima/325_index.htmlより引用の伊豆諸島の鳥島

   鳥島という島は日本の海域に四島あるといいます。鳥島としか表記しない鳥島は、伊豆諸島の島で、2020年10月1日時点で東京都に属しています。二つめの鳥島は、南鳥島といい、小笠原諸島の島。本州から1,800キロメートル離れた日本の最東端として知られています。東京都小笠原村に属します。三つめの鳥島は沖ノ鳥島で、太平洋のフィリピン海上に位置する小笠原諸島に属する孤立島です。サンゴ礁からなる島であり、東京都小笠原村に属します。四つ目は硫黄鳥島です。沖縄県における最北端の島で県内唯一の活火山島。この中では伊豆諸島の鳥島が話しの舞台となります。

②-1.https://www.birdfan.net/2015/06/12/35647/より引用のアホウドリ(体長約91.5㌢)

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②-2.https://www.birdfan.net/2014/11/07/31055/より引用のクロアシアホウドリ(体長約78.5㌢)

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②-3.https://www.birdfan.net/2015/07/17/36428/より引用のコアホウドリ(体長約81㌢)

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   現在にこの火山島に生息する野鳥はアホウドリクロアシアホウドリコアホウドリカンムリウミスズメオーストンウミツバメオナガミズナギドリの六種がこの島で繁殖活動を行っています。この鳥島は火山島で、第四紀に活発な活動をしている活火山であり、記録に残っているだけで1871年、1902年、1939年、1998年、2002年に噴火が確認されています。属しています伊豆諸島は全島が国の天然記念物に指定されています。そんな環境の中で、島の六種の野鳥のうち、特別天然記念物アホウドリの生息地としても有名です。この場合のアホウドリは三種すべてを指します。

③-1.https://www.birdfan.net/2013/08/09/23874/より引用のオナガミズナギドリ(体長約38〜46㌢)

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③-2.https://www.birdfan.net/2015/05/15/35003/より引用のオーストンウミツバメ(体長約25㌢)

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   アホウドリは150年ほど前には北大平洋西部の島々に分布していて、個体数は少なくとも数十万羽いたと考えられていますが、現在、全世界で伊豆の鳥島と尖閣諸島および小笠原諸島聟島列島でしか繁殖に成功して生息していないようです。またアホウドリはミズナギドリ目アホウドリ科に属しています。つまり③-1.の写真のオナガミズナギドリの仲間です。それに③-2.の写真のオーストンウミツバメも仲間となります。すべてはミズナギドリに属します。ミズナギドリの仲間に共通する特徴は、上クチバシに開く鼻腔と先端が鉤状に曲がったクチバシ、海面近くを羽ばたきとグライダー式とを混ぜて前進する飛翔法は、このミズナギドリの仲間に共通しています。また洋上の鳥島のような島に大きな集団を作り、岩の割れ目や穴土中に掘った横穴などに営巣し、一腹ただ一卵を産み、長い期間をかけて養育する繁殖様式についても共通します。鳥島はミズナギドリの楽園です。

④-1.https://www.birdfan.net/2017/03/31/51450/より引用のウミスズメ(体長約26㌢)

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④-2.https://www.birdfan.net/2019/03/22/69110/より引用のカンムリウミスズメ(体長約24㌢)

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   伊豆諸島の鳥島に於いて、ミズナギドリの仲間ではないのに、この島で繁殖しているウミスズメの仲間がいます。それはこの島に生息しない④-1.の写真のウミスズメとその仲間は、主に千島列島からアリューシャン列島、アラスカ西部などの島嶼部で繁殖しますが日本でも天売島、三貫島などで少数が繁殖するとみられますが、鳥島に生息する④-2.の写真のカンムリウミスズメだけが黒潮や対馬海流の影響のある暖帯海域に生息しています。知られている繁殖地の北限は、石川県の七ツ島、南限は伊豆諸島の鳥島に生息域と言うことです。

⑤-1.https://www.mnc.toho-u.ac.jp/v-lab/ahoudori/Photo/photo03/55.htmlより引用のアホウドリのつがい(左がオス、右がメス共に体長約91.5㌢)

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⑤-2.https://zooing.honpo21.net/archives/936より引用のアホウドリのコロニー

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   伊豆諸島の鳥島は、東京から約600㌖南に位置する火山島です。かつては、アホウドリが島を覆うほど多数繁殖していましたが、明治維新後、羽毛採取のための乱獲が行われ、その数は激減しました。乱獲はアホウドリ採取禁止となる1933年まで続き、年間20万羽、推定約500万羽が殺されました。その後、一度は1947年に絶滅宣言が出されましたが、その僅か四年後の1951年に鳥島でごく少数が再発見されました。その後60年以上にわたり保護活動が続けられ、現在では約3.500羽にまで回復しています(⑤-1.と-2.の写真参照)。アホウドリは漢字表記でも「信天翁(天を信じて運を天に任せている翁という意味で、自分では魚を捕らえられないため、他の鳥が落とした魚を待つ鳥と思われていた)」「阿呆鳥(人間に対する警戒心が薄く、仲間が1㍍くらい先で殺されても逃げないほど、警戒心のない鳥だったことから)」などとされますが、実際にはミズナギドリの仲間は皆んな、体長の割に翼が長く、向かい風が吹かないと気流に乗って飛べなかったので、人間にすぐに捕まえられるしかなかったからです。鳥の楽園に欲のために入り込み、罪もない鳥たちを虐殺する人間は悪です。

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