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目をあけてごらん、離陸するから/大崎清夏

「だって私たちには必要だったんだもの、何か、依りかかるに値するものー打ちのめされたときのための刺激物のようなものが。」(p.44)
「ひとりだと、何でも自由でいいでしょう、まあ、ひとはみな、ひとりですけど。そうでもないです、ひとりでも、いろいろなことに、とらわれちゃいますから。」(p.67)
「その街はガラパゴス諸島に最も近い港街だった。」(p.93)
「「読んでいる私」を完全に忘れていられるとき、私は読書の大きな喜びを享受する。それは多くの場合、沈黙の静けさとともに訪れる。」(p.115)
「見ることは、いつもことばより先にある。見ることは、いつも新しい朝のように、私たちに託されている。ことばはいつも遅れて来るが、そのくせすごい速さで世界を覆い尽くしてしまう。誰かの言葉で覆い尽くされた世界は息苦しいけれど、私たちは流転のなかにいるのだから、きっと雲が晴れるようにそこここでことばは欠け、ことばの意味もあちこちで欠けて、風が入ってくるはずだ。その風について精確に書き記すことができたら、もしかしてそれは詩なのかもしれない。」(p.140)

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