安藤昌教

普段は「むかない安藤」として、ものをむかずに食べる活動しています。デイリーポータルZで…

安藤昌教

普段は「むかない安藤」として、ものをむかずに食べる活動しています。デイリーポータルZで執筆中。

最近の記事

人も木も、根を張ると動きたくない

僕がいま住んでいる茅ヶ崎という町は、東京ほど人がいないので、近所を歩いているとたいてい誰か知り合いに会う。 この「歩いていて知り合いに出くわす度合い」みたいなものが、その街での暮らしやすさの大きな要素になっていると思うのだ。 くわえて、あそこに行けばあの人に会える、みたいな、もう少し確実性の高い出くわし度もある。たとえば、仲のいいお店の人とか子どもの学校の先生とか、いつも挨拶をする交番の人とか。 この二つの度合いを足した数がある範囲に収まっていることが、暮らしやすさには

    • 後味の悪い小説を読んだ

      すごく後味のわるい小説を読んだ。 避けられない理由から悲しい状況におかれた主人公が、最後に救われるかと思ったら何も起きずに泣いて終わるのだ。 読んでる途中から(これはつらいな)と思っていたのだけれど、フィクションなんだから最後はどうにかしてくれるだろうと期待してもいたのだ。でもそんなことなかった。 本も映画も、心の成長に、とかインプットに、とか、目的を考えながら読むことなんて特になくて、僕は単に娯楽だと思っているのだけれど、ということは、である。嫌な気持ちになる作品を、

      • 旅立ち

        息子が春から大学生になる。 北海道の大学に行くので家を離れることになった。はじめての一人暮らしである。 僕も高校を出てから一人暮らしをはじめたので、今の彼が抱える期待と不安はわかるつもりだ。意外だったのは親の心境である。なんとこんなに寂しいとは。 あの時、そういえば僕の親もひどく寂しがっていた。母にいたっては僕が家を出てからしばらく泣いて暮らしたと言っていた。自分の新しい生活でせいいっぱいだった僕は、そんなこと言うなよな、と少し重荷に感じていたものだ。人生は二週目に入る

        • おまけでついてきたレンズが超いい

          日記でも書いてみるかと思い立って数日前に書いて、一日しか続かないの我ながら自分らしくていいなと思いました。写真は毎日なにかしら撮っているのでそれを載せて行けばいいのかもしれない。まあいいや、書きたい時に書きたいことだけ書いていきます。 ベッサだったかな、何かのカメラを買った時におまけで着いてきたTTArtisanの50mmf1.4というレンズが手元にあって、これきっと新品で買っても5万くらいだと思うんだけど、これまでに使った何十万もするどのライカレンズよりもよく写る。 い

        人も木も、根を張ると動きたくない

          ウルトラピアス

          娘がピアスを開けたいのだが勇気が出ないのでおとうさん、ウルトラソウルを歌ってよ、と。 わかった、本域で歌うからキュー出ししてくれ、夢じゃないあれもこれもー、からでいいんだよね?よし、ゆーめーじゃないー (僕)ウルトラソウ! (娘)へい! 娘が結婚するときには親として秋桜とか糸なんかを歌っちゃったりして、なんて思っていたのだけれど、うちはウルトラソウルだな。へい!で思い切って嫁に行くといい。

          ウルトラピアス

          信越五岳トレイルランニングレース100mile/20230916-18

          結果はゴール手前でタイムアウトでした。33時間、159.3kmこの数字は最後までずっと手首の時計を見ながら走り続けていたので忘れない。 タイムアウトの原因は完全に僕の時間配分ミスである。言い訳もない。準備不足。 二日目の夜、「ラスボス」瑪瑙山をクリアしたあと、最後のセクションはゴールまで7キロの林道である。最低1.5時間残しておけばなんとかなると思っていた。今考えるとそれすら甘いんだけれど、それでも。 なので最終のエイドステーションで「残り13kです!頑張ってください!

          信越五岳トレイルランニングレース100mile/20230916-18

          ものすごく上手いりんごの絵、実はあれ本物なんじゃないか

          ■ものすごく上手いりんごの絵を見た 先日、SNSでものすごくリアルなりんごの絵を描いている人がいた。 これがものすごくリアルなのだ。隣に色鉛筆が置かれていたので、きっと色鉛筆で描いたのだろう。まじか。なんでその才能おれには備わっていないんだ。 一瞬嫉妬に燃えたが、よく考えたらあれ、本物のりんごだったんじゃないのか。本物のりんごだったから本物に見えただけじゃないか。エウレカである。発見したときは裸のまま通りを走った。 つまりこういうことです。 うむ。すっごくリアルなり

          ものすごく上手いりんごの絵、実はあれ本物なんじゃないか

          OSJ KAMI 100メモ

          かろうじて完走できたので偉そうなこと書きます。 兵庫県で開催されたkami100というレースに参加してきました。1周37キロの山岳コースを3周する周回レース。制限時間は25時間。いつもなら帰りの電車か宿で、その日のうちに振り返りのメモを書いているんだけど、今回は帰りの電車が混んでいて座れなくて、半分気を失いながら帰ってきたので今になって思い出しながら書いています。 レースを終えて3日が経ち、今率直に思うことは「もう一度行きたい」という気持ちです。kami100よかった。本

          OSJ KAMI 100メモ

          UTMF2022 / 2022.04.22-24

          長い登りのあと誘導をしてくれていた運営スタッフさんの足元に倒れ込んだ。 「すみません、ちょっとだけ休ませてください」 真夜中なのにびっしょびしょのTシャツがしぼれそうである。このまま横になれば泥だらけになるし虫もいそう。でもいい、知らん。 ヘッドライトを消すと暗闇の中を風が吹いていた。給水所を出るときに1.5リットル持ってきたはずの水はあと半分。次の給水までしんどい登りはあと2つ。もつだろうか。 集中力を欠いて気持ちがネガティブになってきているのでカフェイン入りのジェ

          UTMF2022 / 2022.04.22-24

          ハイテンション認知症介護03

          2022年2月12日21時15分 父が旅立ちました。 去年の年末に入院してから、結局父は自宅には戻ることなく、最後は眠るように息を引き取りました。病室には僕と父との二人でした。 話を2021年までもどします。父は2021年の12月に発熱のため入院しました。 12月25日 医師との面談 12月16日に誤嚥性肺炎による高熱で入院した父は、いまは熱も下がり、容態も落ち着いているとのことだった。一安心である。 というのも入院する前の父は、自分で歩いてトイレまで行くことがで

          ハイテンション認知症介護03

          今年撮った10枚の写真で2021年を振り返る

          今年撮った写真を見ながら今年の自分を振り返りました。 今年は後半になって緊急事態宣言が解除され、県をまたいだ移動がしやすくなった。いまのうちに!と遠地取材をたくさん入れる。 やっぱり遠くに行って知らないものを見たり食べたりするのって良いですよね。近所も好きだけどさ。 伊豆大島には富士フィルムのGFX50Rというカメラを持って行った。でかくて遅いけど写真はすごくきれい。ペンタックス67をメインで使っていた頃を思い出した。 大阪でははじめて太陽の塔へ行った。僕が生まれる前

          今年撮った10枚の写真で2021年を振り返る

          ライカでいちばん人気のなさそうなレンズが欲しかったのだ。

          このところいろいろとややこしいことがあり、むしゃくしゃしてレンズでも買ってやろうかということになった。 いまあたかも誰かと話し合って決めたみたいに書いたが、単に僕が帰りの電車で決めただけである。頑張ってんだからそのくらいいいだろう、と。でもどうせ買うならライカ買うぞおれは。知らんからな。 で、買った。話はこれでおしまいなんだけど、せっかくなので新しく買ったレンズの自慢というか紹介をさせてください。 Summarit f2.5/50mmライカのレンズは高い。なのでいざとな

          ライカでいちばん人気のなさそうなレンズが欲しかったのだ。

          ハイテンション認知症介護02

          「いまお父さんといっしょに死のうと思ってたところよ」 憔悴しきった母の声は電話越しにも小さく縮んでいた。認知症の父は徐々に生きる力を失いつつあり、父を支える母の負担は増え、僕はいやんなって酒ばっかり飲んでいる。そんな2021年の年末である。 2021年10月 要介護度が3から5へ 父の要介護度が前回認定を受けた3から5へと上がった。前回の認定は2020年のはじめだったと思うので、この1年半の間に2段階上がったことになる。上がったというより、いろんなことができなくなったか

          ハイテンション認知症介護02

          KOUMI100/2021.10.8-10

          長いレースを走り終えると、まったく別の人になってしまったような気分になることがある。今回のKOUMI100もそうだった。この感覚は2日経った今でも続いているので、もしかしたら本当に別人になっちゃったのかもしれない。 KOUMI100とはKOUMI100は1周35キロのコースを5周する100マイル=175キロのトレイルランニングのレースである。僕は2016年と2018年にも走っているので、これが3回目の挑戦となる。 KOUMI100 コロナでいろいろなレースが中止になる中

          KOUMI100/2021.10.8-10

          ハイテンション認知症介護

          これは認知症を患っている父と僕たち家族との、ここ3年くらいの記録です。 プライベートな話なので、たくさんの人に見てもらいたいというよりは、こういう経験を必要としている人に読んでもらえたらと思っています。 はじめに介護に関する話は正直言って面白いものではない。かといって、こうした問題は誰もがいつかは直面することであり、避けようのない話でもある。 避けられないなら、いっそハイテンションで向き合ってやろう。そう思うことにした。 この記事のタイトルを「ハイテンション認知症介護

          ハイテンション認知症介護

          noteに何書こう

          有料にできるみたいだからとんでもないこと書いてもいいのかもしれない。

          noteに何書こう