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中学生バレーボールのフィジカルトレーニングについて

こんにちは。
東京、埼玉、岐阜でパーソナルトレーニングジムSharezを運営している岡崎秀哉(@hide_sharez)です。
今回は、スポーツ指導に関する内容について記載したいと思います。

とある中学生のバレーボール部のフィジカルトレーニングを担当させていただくことになり、どんなサポートをさせていただくか、プランを考える機会がありました。
その際の指導内容の考え方について、今回はまとめていきたいと思います。
まず、大前提、僕はバレーボールは競技として経験はありません。
ですので、まずバレーボールという競技について詳しくない状況だったので、バレーボールについてフィジカル的に理解することから始めました。(戦術的なことやテクニック的なことは専門外ということでここでは一旦外して考えています)
自分の経験した競技を指導する方がもちろんやりやすいですが、経験していない競技を指導する機会もトレーナーとしては多々あると思うので、その際の参考にもなればと思います。
また、今回は強豪校とまではいかない普通の公立の中学校が対象なので、トレーニング環境もあまり整っておらず、基本的な種目を中心とし、ウエイトなどを用いない種目を中心に考えています。

1.バレーボールについての理解を深める

バレーボールの動画をネットで見たところ、バレーボール競技において発生する動作としては以下のものがあると考えました。

■バレーボールにはどんな動きがあるのか?

その場でのジャンプ動作(アタック、ブロック、トス)
助走ありのジャンプ(両足踏切、アタック、サーブ、ブロック)
助走ありのジャンプ(片足踏切、移動しながらのアタック)
ダッシュ(短い距離で全方向、レシーブ)
飛び込み(レシーブ)
打つ動作(スパイク、サーブ)
止める動作(ブロック)
トス、レシーブ動作(オーバー、アンダー)

シンプルに言うと、バレーボールにおけるフィジカルトレーニングでは、これらの能力を高めていくことを目的とします。
また、全て単純な動作ではなく、ボールや相手に合わせた動作になるので、単純に自身のフィジカルを高めるとともに、それらを外的な要因に対して反応し、発揮できるようにトレーニングしなければいけません。
そういった意味では、フィジカルといっても筋肉云々だけではなく、眼球運動、視覚情報に対する反射(入力した情報を中枢で正しく選択処理した上での動き)など感覚器や神経へのアプローチまで行うのがフィジカルトレーニングといえます。

■どんな順番でトレーニングすべきか?

フィジカルトレーニングの取り組みの順序としては、特に中学生という段階を加味しても、まずはボールや相手の動きなどを一旦置いておいて、動きそのものにフォーカスし、動きを正しいものに導いたり、改善していくことを優先して取り組む必要があると考えています。
ボールや相手に対して反応して動作することは一旦別に考え、トレーニング進めていった方が良いと思います。(分習法)
その後、それぞれの高めたものを感覚統合するトレーニングに取り組んでいくイメージです。
また、普段の部活動、普段の練習の中で、ボールや相手に対する反応などを高める要素は含まれている部分もあるので、そういった側面からも我々が担当するフィジカルトレーニングにおいては、まずは動きを改善する、高めるというものを優先的に取り組むべきだと考えます。

2.動きの分類から見るフィジカルトレーニング

上記で自分なりに羅列したバレーボールにおけるいくつかの動きをもう少しわかりやすく分類し、動きを分解し、その上でどのようなフィジカルトレーニングが有効か方向性を考えていきます。

■ジャンプ系のフィジカル強化

バレーボールにおけるジャンプ動作には、両足、片足、助走あり、なしとありますが、順番としては、まずは助走なしのその場でのジャンプの強化に取り組みます。その能力が向上すれば、自然に助走ありも高まる可能性もあるので、助走ありのジャンプ強化はその後に取り組む流れが良いと考えます。
さらに細分化すると、ジャンプ動作は主に股関節、膝関節、足関節の動きを連動させて地面に力を加え、その反力をもらいながら出力方向に大きな力を生み出すものです。ですので、最初に股関節、膝関節、足関節を連動させた正しい動作の運動学習から始め、次にそこに徐々に加重し、出力強化に繋げるという流れが望ましいと考えます。その後に負荷を下げ、ジャンプトレーニング、プライオメトリクストレーニングなどに移行し、より実践的な設置時間、短時間での出力がうまくできるようにしていきます。
これらを両足から入り、片足でも実施していき、最終的に、コート内での助走込みのジャンプ動作のトレーニングに繋げていくイメージです。

スクワット動作の確認(下肢のみ → 腕振りあり)

スクワットジャンプ(腕は前で組む or 両手腰など → 腕振りあり)

連続垂直ジャンプ(ハードルジャンプ、BOXジャンプなどでもOK)
アンクルホップ

連続立ち幅跳び

助走ジャンプ(起こし回転を意識)

連続助走ジャンプ(ハードルジャンプ、BOXジャンプなどでもOK)

大まかに分解すると、上記のような流れで動きを習得し、強化し、徐々に自動化していきます。「起こし回転」は、バレーボールやバスケットボールなどのジャンプで特徴的なもので、助走をし、片足ずつタイミングをズラして接地し水平方向の力を垂直方向にうまく繋げるための理論です。これらを踏まえながら、足のつき方、タイミングの取り方などを伝えていきます。
今回は中学生が対象ということで、環境的な要因も踏まえてウエイトなどは記載していないですが、環境が整っている場合やレベルが高い場合は、スクワット動作がうまくできるようになったらウエイトを取り入れることももちろん有効です。

■移動系のフィジカル強化

バレーボールにおける移動系の動きは、様々な方向への切り返し、短い距離の様々な方向へのダッシュなどがあります。
コートが9m×9m、6人で行うことを考えると、かなり短い距離(3-5m程度)での移動を素早く行える力が必要なので、一歩目を速く動くことは大切です。
一歩目を速くするために大切な考え方の一つが「抜重(ばつじゅう)」です。
「抜重」は古武道から由来する言葉です。
球技系の競技において、競技力の高い選手は無意識的にその動きを実施しています。まずは、それを運動学習し身につけていく練習を行います。動画などを撮って、比較しながら進めていくと動きの変化を理解しやすいです。

この考えを身につけつつ、移動のトレーニングを行います。
バレーボールにおいては、前方、後方、左右、左右斜め前、左右斜め後ろと、主に8方向の移動があるとし、バレーボールの移動距離を考えると、各方向へ3-5m以内程度の移動を速く行う必要があります。
例えば、各方向5m程度の場所に目印を設置し、まずはその距離までのダッシュでの移動、ストップを行います。
スタート姿勢は、バレーボール競技を想定して、両足を軽く開いた中腰姿勢(パワーポジション)で行います。また、スタートのタイミングも最初は自分の好きなタイミングでスタートし、次に指導者の合図で行う、さらにボールの動きに合わせて行う、など感覚器も使う形に移行し、実戦に近づけていきます。
ダッシュからのストップがしっかりできるようになったら、ダッシュした後に動きの切り替えも加えて行います。
例えば、前方に進み、いろんな方向に切り返す、ジャンプする、しゃがむ、飛び込むなど変化を加えていきます。それらを後方に進んでから行ったり、左右に進んでから行ったり、斜めに進んでから行ったり、といろんなパターンで行います。(この部分は最後のレシーブ系のフィジカル強化と被ります)
これらを最初はコーンや目印をおいて、決められた位置で素早く正確に行う練習をし、次に指導者の合図に対して切り返す、ボールや手の動きなどを目で見て切り返す、など感覚器を使った実戦に近い形に移行していきます。

また、足の運びを速くするために、ハーキーステップや、細かいジャンプ動作など素早い足の動きを取り入れたトレーニングも有効です↓↓

上記の動画では、ラインを用いていますが、ラダーなどを使ったアジリティトレーニングも有効です。
さらに、切り返しの動作を速くするためには、片足重心になった時の安定性が重要です。安定したポジションでないと次の動作への切り替えが遅れてしまいます。
それらを強化するトレーニングのとして、片足で行うランジ系の種目やステップ系の種目が有効です↓↓

移動系の強化にはこういった考え方、トレーニングで進めていくのが良いと考えています。

■アタック系のフィジカル強化

ここでいうアタック系は、スパイク、サーブなど、腕をスイングし、ボールに強い力を加える動作を指しています。これを強化していくには

肩関節の可動性を高める
脊柱、肋骨の可動性を高める
スイング動作を強化する

といった取り組みが必要です。より細かく考えると空中動作の話題などもありますが、初期段階として単純なものから取り組んでいきます。
まずは肩関節の可動性を高めることです。これは肩甲骨から動かす意識でストレッチを行うことが有効です。
シンプルで取り組みやすいストレッチをいくつか紹介します↓↓

脊柱、肋骨の動きを高めるストレッチとしてはやはり代表的で最初に取り組んで欲しいのがキャットアンドカウです↓↓

また、脊柱の伸展、屈曲に目が行きがちですが、脊柱の回旋、側屈、肋骨を使った呼吸動作も大事な動きです↓↓

最後にスイングを強化するためのトレーニングです。
スイングに必要な三角筋、大胸筋、広背筋、上腕三頭筋などを一遍に強化でき、尚且つどこでもできる種目として「ライオンプッシュアップ」「ライオンプッシュアップリバース」などは良い種目かと思います。
ライオンプッシュアップは、ヨガのダウンドッグのようなポジションもしっかり作ることで、脊柱、肩関節の動作の強化にも繋がるので一石二鳥です。
こちらの動画の難易度2まで↓↓

また、壁を使った逆立ちや、できる方は逆立ちウォークなども肩周りの筋力強化、肩周りの安定性強化にも繋がるので、ケガ予防の意味でもおすすめです。
もちろん、ダンベルやバーベルなどを用いた三角筋等を強化するショルダープレスなども有効です。

■レシーブ系のフィジカル強化

最後にレシーブ系のフィジカル強化です。この部分は移動系のフィジカル強化と重なる部分もありますし、組み合わせて行うような要素もあります。
レシーブ系の動きは様々な方向、高さで行うので、瞬間的に姿勢や動きを変える能力が求められます。
特にバレーボールの守備においては低い体勢も多いので、低いポジションでしっかりと身体を安定させられる下肢の筋力や安定感が必要です。
それらを強化する基本的な種目として、ランジ系のトレーニングを取り入れてみましょう。
具体的には、フロントランジ(前へ踏み出して深くしゃがむ)、サイドランジ(横へ踏み出して深くしゃがむ)といったものです↓↓

また、ジャンプ力強化にも用いられますが、深い床に近いポジションからのジャンピングランジも下半身強化として有効です↓↓

これらに加えて、「バーピー」も動きを素早く切り替えるトレーニングとして有効です。バーピー自体の動きを変えたり、バーピーとバーピーの間に移動を加えてもOKです↓↓

また、2人で行うものとして、馬跳び潜りなども着地後、素早く低い位置に移動し動くということで、ウォーミングアップなどに取り入れると良さそうです↓↓

レシーブにおける飛び込みなどは、まずその動き自体を練習し、ダッシュと共に行う形に移行し、ボールに合わせて行うようにしていく流れが良いと思います。

3.まとめ

今回はそこまで強豪校ではない、トレーニング環境も整っていない中学生という前提でバレーボールのフィジカルトレーニングについて考えてみました。あくまでこの記事は基本的な考え方をまとめたものであり、それぞれの種目のポイントや注意点、どんな意識で行うか、どんなロジックか、などは省いてまとめていますので、実際の指導においてはその辺りまで詰めて実施するイメージになります。
種目に関してもイメージしやすいようにいくつか紹介していますが、できるだけ、自重のもの、簡単なものを中心に説明をまとめたつもりなので、バレーボールのフィジカルを高めたい中学生や指導者の方の参考になればと思います。
パーソナルトレーニングジムSharezでは、一般の方のダイエット指導やボディメイク指導、コンディショニング指導だけでなく、スポーツ指導も行っています。
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