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社員一人ひとりが知っておくべき給与の基礎知識ー最低限は会社が教える

 私たちが働いて得る対価である給与は、生活を支える重要な収入源です。しかし、多くの社員が自分の給与についての知識を十分に持っていないのが現状ではないでしょうか。自分のお金なのに、自分ではわかっていないというのは寂しい話です。おそらく、誤りがあっても多くの場合分からない場合も多いように思います。会社としても、社員一人ひとりが給与に関する基礎知識を身につけられるよう、教育を行うことが望ましとおもっています。


 給与は、私たちの生活を支える重要な収入源であり、自分の労働に対する対価でもあります。給与について正しい理解を持つことは、自分の権利を守り、適切な経済生活を送るために欠かせません。しかし、給与明細を見ても、支給項目や控除項目の意味がよくわからない、税金の計算方法が複雑でわかりにくいなど、給与に関する知識不足を感じている人は少なくないでしょう。

 会社は、社員が給与について正しい理解を持てるよう、入社時研修や定期的な社内セミナーなどを通じて、給与に関する教育を行うことが望ましいと言えます。給与計算の仕組みや税金の基礎知識、社会保険料の役割など、体系的に学ぶ機会を提供することで、社員の財務リテラシーを高めることができるでしょう。


月例給与

 まずは、月例給与について理解を深めましょう。月例給与は「支給」と「控除」に分けられます。

 支給には、基本給や各種手当、時間外手当、交通費などが含まれます。基本給は、職種や等級、勤続年数などによって決定されます。手当には、役職手当、家族手当、住宅手当など、様々な種類があります。時間外手当は、残業や休日出勤など、所定労働時間を超えて働いた場合に支給されます。交通費には課税対象となるものと非課税のものがあることも知っておく必要があります。課税対象となる交通費は、通勤手当として支給され、所得税や住民税の対象となります。一方、非課税の交通費は、業務上必要な移動に対して支給され、税金がかかりません。また、企業によってはDC(確定拠出年金)の支給控除が行われる場合もあります。DCは、自己責任で運用する年金制度で、将来の資産形成に役立ちます。

 一方、控除には所得税や社会保険料などがあります。所得税は個人の収入に応じて決まり、扶養家族の数によっても変動します。所得税は、課税所得に税率を乗じて計算します。課税所得は、収入から各種控除を差し引いた金額です。控除には、基礎控除、配偶者控除、扶養控除などがあります。税率は、課税所得の金額に応じて設定されており、課税所得が高くなるほど、税率も高くなります。社会保険料は、健康保険や厚生年金保険、雇用保険などで構成され、会社と社員で折半して負担します。健康保険は、病気やケガをした際の医療費を補助する制度です。厚生年金保険は、老後の生活を支える公的年金制度の一つです。雇用保険は、失業した場合に一定期間、生活を支援する給付金を受け取ることができる制度です。住民税は、前年の所得に基づいて計算され、原則として給与から天引きされます。住民税は、都道府県民税と市区町村民税から成り、居住している地域の行政サービスを支える重要な財源となっています。

賞与

 次に、賞与について見ていきましょう。賞与は、企業の業績や個人の成果に応じて支給される特別な報酬です。賞与に対する源泉所得税は、月例給与とは異なる計算方法で決定されます。前月の課税所得と扶養数に応じて税率が適用されるのです。つまり、賞与の支給月の前月の課税所得と扶養数を基に、賞与に対する源泉所得税が計算されます。社会保険料については、標準賞与額という概念があります。賞与支給額の1,000円未満を切り捨てた金額が標準賞与額となり、健康保険と厚生年金保険の保険料計算の基礎となります。賞与は、支給額が大きいほど、源泉所得税や社会保険料の負担も大きくなる傾向があります。

年末調整

 年末調整は、1年間の所得税の過不足を精算するために行われます。年末調整では、収入から所得控除額を差し引いて課税所得を算出し、税額控除を適用して年税額を確定します。所得控除には、扶養控除や生命保険料控除、地震保険料控除などがあります。扶養控除は、扶養家族の人数に応じて控除額が決まります。生命保険料控除は、生命保険料や個人年金保険料の一部が所得控除の対象となります。地震保険料控除は、地震保険料の一部が所得控除の対象となります。住宅ローン控除のように、税額控除の対象となるものもあるのです。住宅ローン控除は、住宅ローンを利用して住宅を取得した場合、一定期間、所得税から控除される制度です。

確定申告

 確定申告が必要になるケースもあります。医療費控除を受ける場合やふるさと納税をした場合、副業等で他に所得がある場合、証券会社等で特別徴収していない株式の収益がある場合などです。医療費控除は、一年間に支払った医療費が一定額を超えた場合、所得税から控除される制度です。ふるさと納税は、自分の選んだ自治体に寄付をすることで、所得税や住民税から控除される制度です。副業等で得た所得は、確定申告によって所得税の計算を行う必要があります。株式の売却益など、証券会社等で特別徴収していない収益についても、確定申告が必要です。確定申告は、国税庁のWebサイトから行うことができます。詳細な手順は、国税庁のWebサイトや税務署で確認することをおすすめします。

まとめ

 以上が、社員一人ひとりが知っておくべき給与の基礎知識の概要です。給与は、私たちの生活を支える大切な収入源であり、自分の権利を守るためにも、正しい知識を身につけておく必要があります。会社は、社員教育の一環として、給与に関する知識を身につける機会を提供することが求められるでしょう。社員の皆さんも、自ら学ぶ姿勢を持ち、給与について理解を深めていただきたいと思います。給与に関する知識を深めることで、自分のキャリアプランや資産形成の計画にも役立てることができるはずです。

 給与について正しい理解を持つことは、自分の人生を主体的に歩むために欠かせません。会社と社員が協力して、給与に関する知識を高めていくことが、より良い職場環境の実現につながるでしょう。


給与に関するセミナーに出席しているさまざまな職員が描かれたオフィスシーンです。デジタルボードで給与の成分について説明しているプレゼンターや、テーブルを囲んで注意深く聞いている参加者たちが描かれています。画風は柔らかく、プロフェッショナルなトレーニングルームの雰囲気が感じられる作品になっています。


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