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「人事課題を解決したい」企業の方に対し、私がお尋ねする観点

 私は、地方企業様の人事課題の解決支援の活動をしています。その際、経営者の方、担当の方とも多くのコミュニケーションをさせていただいています。その際、話題として、人事関係(制度等)の話はもちろんですが、基本的な経営の状況の話もさせていただいています

 最近でこそ、「人事は経営の根幹の一つ」という経営者の方も多くなってきました。総論としては理解されているものの、なかなか深く突っ込んで議論をするのは苦労します。とはいえ、最初から「サーベイシート」のような、こと細かい資料を使っても、そのシートの一つひとつの項目を、自社に適用した場合、どのような意味をもつのかをご理解いただくのも大変です。そのシートによって本当に効果的なアウトプットが出るのかとも感じます。

 以下、コミュニケーションを実施する内容ですが、あくまで「一例」です。すべての項目を網羅的に確認するのではなく、必要に応じて共有した上で、課題解決を図っていくものです。なおこれらは、一概に「どれが良くてどれが悪い」ということを判断するものではありません。大切なのは自社の状況をしっかりと認識、共有することです。


経営上の基本的情報(例)

自社所在地と人口動向(都市部、地方?)

 特に都心部であれば、顧客も競合も多くなります。地方であると、地方ならではの特徴を活かしたサービスを展開しているかも知れません。

 自社はどんな業種なのかということも大切です。それとともに取引先(仕入先、顧客)がどの業種に属しているのかということも大切になります。その業界の中で、自社はどの位置づけにあるのか、現状はどうなのか、将来性はどうなのか。

社長のお考え・強さ(創業者・創業家、外部の方?)、役員構成、株主情報

 特に中小企業では、社長さんの力が非常に強かったりします。社長は創業者なのか、創業家(創業者のお子さんなど)なのか。あるいは外部の方なのか。外部の方でも、創業者が院政的に依然として力を振るっていたりすることもあります。

 さらに役員構成。例えば社長の奥様が副社長でお金を握ったりしていることも良くあります。また、その他の役員はどんな構成なのか。外部の方が多いのか、親類が多いのかなども大切です。そして株主構成も確認します。

取扱商品、業界における競争力

 企業としてもっとも基本的なことですが、自社の商品の力がどれくらいあるかということになります。業界による競争力があるのかどうかも大切です。これは、企業そのもの中核をなすものですね。

財務情報(BS、PL、CF)、現状および今後の動向

 財務状況は、基本的な状況でも確認はしたいところです。バランスシートの状況、状況直近の売上や利益率も大切ですが、キャッシュフローも大切です。「キャッシュ」については、次の項にある「資金調達」とも絡めて重要です。そして今後、それらがどのような状況になっていきそうなのかということも大切になります。

資金調達(自力、金融機関、VC他)

 資金調達手段は企業の力だけでなく、企業の「考え方」を示すことにもなります。自力で資金を調達すればいいというものでもありません。適度な借金も重要になります。金融機関からの調達であれば、金融機関との関係性についても重要になります。

システム(会計関係および人事以外のシステム、その他)

 会計関係のシステムを何を用いているのか(会計はやはり重要)。また、後述する人事関係のシステム以外のシステム、例えば購買、生産管理、その他自社の業種に直接かかわるシステムの導入状況を確認します。
 その他、コミュニケーションはどのように行っているのか。メールがない企業も少なくはなっていますが、その使い方は千差万別です。制度面を一緒に考えて行くとき、構築フェーズも大切ですが、より大切なのは、「展開」、「運用」フェーズになります。ここは忘れられがちです。

士業の方の関わり

 士業の方、具体的には会計士、税理士、弁護士、司法書士、社会保険労務士(こちらは人事関係でもありますが)、中小企業診断士の方とどれくらいのお付き合いがあるのか、業務の一部をアウトソーシングしているのかです。中小企業でも、会計関係は一部アウトソーシングしている企業は多いです。士業の方にお願いしている場合、分担して進める場合もあります。

人事関係の基本的情報(例)

 上記のような会社の基本的情報も把握した上で、人事関係の情報により近づいていきます。もし人事関係の情報を確認していく中でも、改めて会社情報を深掘りすることがあります。

組織(本社・支店・工場の有無)

 自社の組織の状況です。本社や支店工場があるのか、全体としてどれぐらいの組織になっているのか、間接部門がどれぐらいあるのかなどになります。組織図を見ながら確認させていただきます。組織の作り方は、会社の考え方そのものを表しているといっても良いくらい大切な要素の一つです。

社内の雰囲気

 やや抽象的な話ではありますが、「一言で言うと自社はどんな雰囲気なのか」ということになります。全員にインタビューすることはできませんが、直接やり取りをした方から総合的に判断していきます。経営者だけではなく、もし従業員と話す機会があれば、この点の話は確認させていただいております。

役員の管掌部門

 役員がどのような部門を担当しているのかということになります。管理部門や製造部門、販売部門などになります。ここも企業の考え方が出てくるような感じになります。例えばですが、管理部門に権限の強い役員がいた場合、生産や営業よりも財務面を中心に回っている、とも推測できます。

従業員(従業員数、職種、正社員・非正社員・人材派遣等、学歴(大卒・高卒)、年齢階層、採用・退職動向)

 従業員に関する情報です。正社員、非正社員がどれぐらいの比率なのかということは、企業の人材に対する考え方に非常に大きくなります。また、現在は、採用が非常に大変な時代にはなっていますが、採用の競争力はどうなのかということも重要です。採用の手法などもお聞きします。

報酬レベル(特に地方企業の場合、地域競争力があるか、新卒は初任給も重要、退職金)

 最近は賃上げの話題が非常に多くなていますが、自社が賃金に対し競争力があるのかということになります。特に地方は、地域における競争力が大切です。新卒は「初任給」も重要になります。新卒の場合は、示されるのはどうしても初任給が中心となりますので、ここに競争力があるかということが重要になります。

制度の有無・運用(就業規則、報酬体系、人事・評価、福利厚生、教育、その他制度)

 中小企業だと「制度がない」企業も結構あります。制度をどれぐらい現状を持っているのか、あまり厚すぎる制度で運用に手が回っていない、というのでは本末転倒です。運用とのバランスというのも非常に重要になってきます。制度が厚ければ良いのでなく、自社の状況とのバランスがしっかりとれているのか、ということが重要です。

採用(新卒、中途)、採用手法(紹介(縁故)、ハローワーク、エージェント)

 採用のどのように行っているのかということになります。新卒中心か中途中心か。
 また、手法についても重要です。例えば、「縁故(コネ)」というと裏口入学のような悪いイメージがあります。しかし、とにかく人材を確保するし、企業の競争力を増していくという意味では、現在の社員によるスクリーニングが働くとすれば決して悪くはないともいえます。エージェントは高額にはなりますし、確実に定着するというものでもありません。

システム(人事関係システム)

 人事関係のシステムです。人事システム、給与計算システム、勤怠システム。これらは、システムを入れていない企業も多いのではないかと思います。人事台帳、勤怠などはExcelなどで実施している企業も多いでしょう。クラウドのシステム、アウトソーシングしている企業もあるかと思います。

障害者雇用、女性活躍、健康経営

 障害者雇用率は年々上昇中、また、女性活躍についても大企業だけでなく中小企業も意識して取り組んでいくことが求められつつあります。健康経営も重要。これらは、仮に現時点においては、企業規模(資本金や従業員数など)法的には対応しなくても問題なしといえども、意識しておくことは重要です。従業員数が増加するなどで法的な対応が必要となった際、すぐに対応できるようにはしておきたいものです。


 これ以外にも多くの観点があります。少しずつ話をさせていただきながら、課題設定→実施をしていくことになります。


(人事・組織活性化の応援家:hidemaruの自己紹介)

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