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夫婦のニーズに基づく解決策の探求ー(L.E.T.)メソッドIIIを用いた具体的アプローチ事例

 L.E.T.(リーダーシップ・エフェクティブネス・トレーニング)の「No-Lose 対立解決法(メソッドIII)」は、対立を解決するための効果的な手法です。個々のニーズを尊重しながら、全員が参加する協議を通じて、共同で問題解決に取り組むプロセスです。詳細は以下に記載しています。

 今回は、具体的事例として夫婦が直面している問題を明確に定義し、お互いのニーズを理解することから始めます。そして、創造的な解決策を幅広く検討し、最良の選択肢を選定します。最後に、具体的なアクションプランを策定し、実行に移します。


ゼロステップ(準備段階)

 この初期段階では、「話し合いのテーマ」と「話し合いの目的」を明確に定義します。ここでは、対話の枠組みを設定し、参加者が話し合いに積極的に参加しやすいように、前向きな環境を整えることが重要です。目的が明確であればあるほど、話し合いは効率的に進行し、成果を得やすくなります。

問題とニーズの特定

問題の定義の深堀り
 まず、夫婦それぞれが問題を自分の言葉で表現します。ここでは、問題を個人的な非難としてではなく、解決すべき具体的な課題として捉えることが重要です。夫と妻はそれぞれ、自分の感じているプレッシャーやフラストレーションを率直に共有します。

  • 夫の言い分
    現在の仕事の負担が大きいため、家庭での負担を少しでも減らしたい。このプロジェクトが一段落するまで、家庭内の役割を少なくしてほしいと思っています。仕事での成功は私にとって非常に重要ですが、同時に家族との時間も大切にしたいのです。

  • 妻の言い分
    私も仕事を持っているため、家事と育児の大部分を一人で担当するのは困難です。もっと夫にも家庭内の責任を分担してもらいたいのです。家庭と仕事のバランスを取ることが私の優先事項ですが、夫の仕事上の目標も理解しています。」

    ニーズの明確化
     お互いにニーズを詳しく説明し、相手のニーズに対して理解と共感を示すことが重要です。このステップでは、感情をオープンにし、双方が何に最も価値を置いているかを理解します。夫婦はお互いの立場に立って考え、相手の視点を受け入れるよう努めます。

  • 夫のニーズ
     職場での成功とプロジェクトの達成、そして仕事からの回復時間。家族との質の高い時間を過ごすことも重要。

  • 妻のニーズ
     家庭と仕事のバランス、公平な家庭内の責任分担。夫婦間のパートナーシップと相互理解。

解決策のブレーンストーミング

 双方のニーズを満たすために、ブレーンストーミングでより多くの解決策を考えます。ここでは、従来の役割分担にとらわれず、柔軟で革新的なアイディアを出し合います。以下にさまざまなアイディアを示します。

  • フレキシブルワークアレンジメント
    夫が特定の日にリモートワークを行い、その時間を使って家庭の責任を分担する。これにより、仕事と家庭のバランスを取りやすくなります。

  • 家事支援サービスの利用
    家事を外部のサービスに一部委託し、特に繁忙期に家事の負担を軽減する。これにより、夫婦はより多くの時間を仕事や家族との時間に充てることができます。

  • 時間帯の役割分担
    夫が朝の準備を担当し、妻が夕方の負担を担う。これにより、両者の負担が分散され、一日の中でそれぞれの強みを生かすことができます。

  • ウィークリープランニングセッション
    週ごとに家族会議を設け、その週の家庭の役割を計画し調整する。このセッションでは、夫婦の予定を確認し、柔軟に役割を割り当てます。

  • 一時的なパートタイム労働の検討
    夫または妻が一時的にパートタイムで働き、その期間を家庭に充てる。これは、特に夫の仕事が繁忙な時期に有効な選択肢となります。

  • 子供のケアの外部サポート
    子供のアフタースクールプログラムや週末のアクティビティを増やし、両親の負担を軽減する。これにより、夫婦はより多くの時間を仕事や自分の時間に充てることができます。

  • 家族の時間の優先
    週末を家族時間として確保し、その時間は家事や育児を平等に分担する。家族の絆を深めるための大切な時間を確保します。

解決策の評価・決定

 解決策の善し悪しを1つ1つ評価していきます。今回は、夫婦で話し合った結果、以下の選択肢が最良と判断されました。これらの選択肢が、お互いのニーズを尊重しつつ、現実的に実行可能な解決策であると判断しました。

  • フレキシブルワークアレンジメント
     夫が週に2日はリモートワークを行い、その日は朝の子供の準備と夕方の家事を担当する。これにより、夫は仕事と家庭のバランスを取りやすくなり、妻の負担も軽減されます。

  • 家事支援サービスの利用
     週に1回、プロのクリーニングサービスを利用して家事の負担を軽減する。これにより、夫婦はより多くの時間を仕事や家族との時間に充てることができます。

行動計画の立案と実行

 上記解決策について、それぞれ、具体的行動計画を立てて実行に移します。

  1. リモートワークのスケジュール設定

    • 夫は職場と交渉し、毎週月曜と水曜にリモートワークができるようにアレンジします。

    • 夫はリモートワークの日には、朝の子供の準備と、夕方の家事(例えば、洗濯と食事の準備)を担当します。

    • 夫はリモートワーク中も、仕事の生産性を維持するように努めます。

  2. 家事支援サービスの手配

    • 妻は地域の信頼できるクリーニングサービスをリサーチし、週一で家庭内の大掃除を依頼します。

    • サービスは特にキッチンと浴室の清掃に焦点を当て、その他の日常的な掃除は夫婦で分担します。

    • 妻はサービスの質を定期的にチェックし、必要に応じて変更を加えます。

評価と調整

 夫婦はこの新しいスケジュールを1ヶ月間試行します。1ヶ月後、夫婦はその効果を評価し、必要に応じて調整を行います。例えば、リモートワークの日数の調整や、家事サービスの頻度の変更などが考えられます。夫婦は定期的にコミュニケーションを取り、お互いの満足度や懸念点を共有します。夫婦は上記の計画に基づき、即日から実行に移します。夫はすぐに職場にリモートワークの交渉を始め、妻は家事サービスの手配を行います。両者はコミュニケーションを密にし、計画の進行状況を定期的にチェックします。

 このアプローチにより、夫婦は共に納得のいく解決策を実行に移し、家庭内の責任分担に関する対立を減少させることが期待されます。また、このプロセスは夫婦間の協力と理解を深め、より強固なパートナーシップを築く基盤となります。

 メソッドIIIを使用することで、夫婦はそれぞれのニーズを尊重しながら、問題を積極的に解決し、より良い関係を築くことが可能です。このプロセスを通じて、夫婦は相互理解を深め、より充実した家庭生活を送るための具体的なステップを踏むことができます。夫婦は、このアプローチを他の問題解決にも応用し、継続的に関係性を改善していくことができるでしょう。

家庭でのニーズの対立解決方法(メソッドIII)が描かれており、夫婦が構造的な議論に参加しています。リビングルームが舞台で、会話に夢中になっている夫婦が描かれています。壁の時計が遅い時間を示しており、忙しい一日の後でも解決策を見つけるための彼らのコミットメントを象徴しています。


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