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【書籍】会社は人間修業の道場ー染谷和巳氏の視点から

 『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(致知出版社、2020年)のp160「5月7日:会社は人間修業の道場(染谷和巳 アイウィル主宰)」を取り上げたいと思います。

 染谷和巳氏といえば、「鬼上司」シリーズの書籍が有名、『上司が鬼にならねば部下は動かず』(プレジデント社)は特に有名と思います。

 染谷和巳氏が「会社は人間修業の道場」という観点から、仕事を通じて成長する重要性について語っています。彼は、会社での苦労や挑戦を修業と捉え、それを乗り越えることで個人が成長するとしています。また、給料に関して、表面上の金額だけでなく、社会保険料や事務所の運営費用など、会社が従業員のために支払っている実際のコストを理解することの重要性を指摘しています。これらの視点から、仕事に対する感謝の心を持つべきだと述べています。

 彼はさらに、サラリーマンから独立して事業を始めることの困難さに触れ、安定した給料が保障されている現在の環境を大切にし、仕事に精いっぱい取り組むことの智恵を説いています。最後に、苦しい時期も修業と割り切り、それを乗り越えることで新たな世界が開けると励ましています。

生活できる給料が保障されているいまのこの環境に感謝して、精いっぱい仕事に打ち込むほうがよほど賢明だと私は思う。苦しい時は、甘え心を振り切り、修業と割り切って乗り越えるのだ。続けていくうちに新たな世界がきっと開けてくることだろう。

『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(致知出版社、2020年)p160より引用

 全体を通して、染谷氏は、仕事をただの収入源と見るのではなく、個人成長の機会として価値を見出し、それに対する感謝の気持ちを持つことの重要性を伝えています。また、自己責任と自己成長の精神を持つことで、困難を乗り越え、より大きな成功と満足を得ることができるというメッセージを強調しています。

人事の立場で考える

 染谷氏の「会社は人間修業の道場」という言葉は、職場での経験を個人の成長と発展の機会と捉えるべきだという強力なメッセージを私たちに伝えます。この考え方は、私がこれまで人事として従事してきて、様々な事象にも関係するところが多いです。企業は確かに従業員にとって成長と学習の場であり、個々のキャリアの発展だけでなく、個人の全体的な人間性の向上に寄与する環境を提供することができます。

人間修業の場としての職場

 職場は、単に給料を得る場ではなく、さまざまな挑戦、学習の機会、そして自己実現の場となり得ます。従業員が直面する困難や挑戦は、個人の成長の機会となり、耐え忍ぶことで精神的、感情的、そして専門的な成長を促進します。このプロセスは、染谷氏が述べるように、自分自身が一回りも二回りも大きく成長していることを実感できる瞬間につながります。

人事の役割

 人事の観点から、従業員の成長と発展を支援することは、組織の成功に不可欠な要素です。人事は、従業員が自己実現を達成できるように支援するための様々なプログラムやイニシアチブを設計し、実施する責任があります。これには、適切なトレーニングと開発プログラムの提供、キャリアパスの明確化、パフォーマンスマネジメントシステムの運用、そして従業員のウェルビーイングを支援する福利厚生の提供が含まれます。

組織と個人の関係

 染谷氏が指摘するように、組織と従業員の関係を単なる雇用関係として割り切ることは、双方にとって損失です。人事の立場からは、この関係をパートナーシップとして捉え、従業員が自己実現を達成し、組織の目標達成に貢献できるようにすることが重要です。従業員が自分の仕事に意義と価値を見出し、その結果として組織に対してもっと貢献したいと感じるようになれば、組織全体のパフォーマンスと満足度は向上します。

給与に対する考え方の変化

 染谷氏は、給与に対する考え方の重要性にも触れています。従業員が自分の給与が単に額面の金額以上の価値を持っていること、そしてその背後には組織の多大な投資があることを理解することは重要です。これは、従業員が自分の役割をより責任を持って担うように促し、組織への感謝の気持ちを育むことに繋がります。

まとめ

 人事としての私の経験からいえることは、染谷氏の「会社は人間修業の道場」という言葉に深く共感し、この考え方が組織と従業員双方にとって非常に価値あるものであるということです。職場での経験を通じて個人が成長し、発展する機会を提供することは、人事の重要な役割の一つです。これは、従業員が自己実現を達成し、その過程で組織全体が強化されるという、相互に有益な関係を構築する上で不可欠でしょう。もちろん、行きすぎには注意しなければなりません。

職場が人間の成長と発展のための道場であるという概念を象徴的に表現しています。伝統的な道場の要素とオフィス空間が融合されたメタファーを通じて、仕事を通じた自己改善と学習の旅を優しいアートスタイルで描いています。障害の克服、同僚間の支援的なやり取り、時間をかけてスキルを習得するというアイデアが、現代の職業生活と道場の規律ある尊敬の雰囲気の融合を反映しているのが見て取れます。感謝、献身、個人の成長の重要性を強調しています。


1日1話、読めば思わず目頭が熱くなる感動ストーリーが、365篇収録されています。仕事にはもちろんですが、人生にもいろいろな気づきを与えてくれます。素晴らしい書籍です。




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