風立ちぬ、いざ生きめやも [Le vent se lève, il faut tenter de vivre]

画像1 ふと口を衝いて出て来たそんな詩句を、私は私に靠れているお前の肩に手をかけながら、口の裡で繰り返していた。それからやっとお前は私を振りほどいて立ち上って行った。まだよく乾いてはいなかったカンヴァスは、その間に、一めんに草の葉をこびつかせてしまっていた。・・・・お前は私の方をふり向いて、なんだか曖昧な微笑をした。【堀辰雄:風立ちぬ】

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