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#エネルギー に詳しくなって、電気代を削減しよう:(1)「電力」と「電力量」の違い

はじめに

突然ですが、最近は猛暑のせいか、特に、電力需給ひっ迫のニュースが多いです。たとえば、経済産業省は今年の6月にも電力需給ひっ迫注意報というものを出しています。

電力需給ひっ迫というのは、端的に言えば「電力の需要に対して、供給が追い付かない」という意味のはずです。しかし、別の方によれば、むしろ

「電力」需給はひっ迫しているが、(消費)「電力量」は急減している

のだそうです。

電力の需給ひっ迫問題においては、年間電力量の追加が必要とはされず、そもそもそれが何の対策にもならないということが直感的に分かりにくいのも確かではある。正確な理解には、電力と電力量の違いの理解に加えて、電力系統における強い制約「同時同量則」についての理解、さらには、最近の日本の消費電力量が大きく減っていることなど複数の事実の確認が必要になるからだ。

日本の年間消費電力量は急減、電力需給ひっ迫は「タイムシフト」で解決か
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00138/071201084/

つまり、「電力量」には余裕があると言っています。それではひっ迫しているもの=電力とは何なのでしょうか?

「電力」と「電力量」の違い

実は、電力と電力量は違うものなのです。この違いについては、以下の記事がわかりやすいです。

電気によって電動機が動いたり電灯が点灯したりしますが、その力の大きさを電力といい、単位はキロワット(kW)を用います。一方、電力の使用量を表しているのが電力量で、単位はキロワットアワー(kWh)を用います。
○電力(kW)は、発電や電気の消費の瞬時の大きさで、下図左のグラフの高さで表されます。電力需給ひっ迫時に求められるピークカット対策とは、この最大電力(=高さ)の抑制を意味します。
○電力量(kWh)は、発電や電気の消費の総量で、下図右のグラフの面積で表されます。

第4回: 知っておくべき電力・電力量の違いとは
https://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/top/column/energysaving/energysaving004.html

電力とは「電気消費の瞬時の大きさ」です。たとえば、電子レンジが800W、ドライヤーが1200Wと書かれていますが、この値です。瞬時(1秒間)に使う「パワー(※)」を指しています。これに対し、電力量とは「その電力をある時間ぶん足し合わせた量」になります。

電力と電力量のイメージ
https://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/top/column/energysaving/energysaving004.html

参考:「パワー」と「ワーク」の違い

ちなみに、上で「パワー」と書きました。パワーという語は、日ごろ何気なく使いますが、物理の用語としてはきっちり定義が決まっています。物理の場合、「電力」はパワーですが、電力量はパワーではありません

「force」や「power」や「力」という語は、日常の用語ではいずれもどれかに関連するような意味に対して曖昧に使われる(抽象的な、たとえば「軍事力」というような意味にも使われる)。一方、力学の専門用語としては「power」は「仕事率」、「force」は「力」で、まったく別である。次元も異なり、仕事率の次元は M1L2T−3 であり、力の次元は M1L1T−2 である。

https://ja.wikipedia.org/wiki/仕事率

では、電力量は「パワー」ではなく何なの? と言えば、電力量は「仕事=ワーク」になります。

おわりに

今回は「電力」と「電力量」の違いについて書きました。

「電力」と「電力量」の違いを知ると、電気代の削減に役立ちます。

このシリーズは「#エネルギー に詳しくなって、電気代を削減しよう」と題し、以下のような記事をあげていく予定です。

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