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見えない、見えにくい世界を理解

歩行体験や誘導実践 定員上回る53人参加

 視覚障害に理解を深める「目の不自由な方とボランティアのための歩行体験サポートセミナー」が21日、石巻市蛇田公民館で開かれた。定員は30人だったが、それを上回る53人が参加し、盲導犬の歩行体験などを行った。

誘導の方法などを体験しながら学んだ

 セミナーは、NPO法人「一歩を楽しむ石巻」(若山崇代表理事)の主催。平成30年に始まり、今年で7回目となった。前半の知識編は、日本盲導犬協会仙台訓練センターの大谷孝典さんが講話で視覚障害への理解を呼び掛けた。

 大谷さんは「言葉はここ、そこ、あそこを使ってはいけない。物や相手を中心に説明し、時計の文字盤に見立てて位置を伝える『クロックポジション』も有効」と助言。視覚障害の種類や程度によっても支援の方法が違うことも伝えた。

 後半は、障害者や高齢者の支援を行うNPO法人ビートスイッチが、視覚障害者を誘導するときの具体的なやり方を伝えた。肩に手を置いてもらうか、ひじの上をつかんでもらい、脇を締めて先導すると動きが伝わりやすいという。会場では白杖や盲導犬の歩行体験もあり、見えない、見えにくい世界への理解を深めた。

 一歩を楽しむ石巻の高橋憲子副代表は「相手の立場になり、不安を与えない対応がとても重要。誰もが安心して暮らせる社会のために、困っている人には積極的に声をかけてほしい」と話していた。
【渡邊裕紀】


優しく見守り支える心を

釜小で盲導犬キャラバン

 「盲導犬学校キャラバン」が23日、石巻市立釜小学校(赤平光秀校長)の4年生約80人を対象に開かれた。日本盲導犬協会仙台訓練センターの豊田まどかさん(普及推進担当)とPR犬のラブラドールレトリバー「ラス君」が、まちで視覚障害者や盲導犬を見かけた際の接し方を伝えた。

仙台訓練センターの職員とPR犬のラス君が講師を務めた

 キャラバンは「誰もが暮らしやすい社会の実現」に向け、同センターが主催し、長年盲導犬育成を支援する石巻ヤクルト販売㈱が協賛。本年度は圏域の小学校12校で実施する。

 盲導犬は視覚障害者の外出をサポートする存在だが、「曲がり角や段差、障害物を教えてくれるあくまで補助役で、道案内や信号の色の判別などはできない。ほとんどの判断はユーザーが耳から聞こえる情報をもとにしている」と豊田さん。「いろんな音にあふれる雨の日などは盲導犬ユーザーの危険も増す。見かけたら『ユーザーさんこんにちは』と気軽に声をかけ、もし困っているようならできる範囲で助けてあげてほしい」と話した。

 盲導犬と接する際の4つの約束も強調。「犬に声をかけない、触らない、顔をのぞき込まない、食べ物を与えない。かわいいなと思う気持ちはぐっと胸にしまい、優しく見守ってほしい」と伝えた。

 新沼ららさん(10)は「盲導犬は上手に道案内もできるイメージだったが違った。もしユーザーさんが困っていたら『大丈夫ですか』と声を掛け、道案内してあげたい」と話していた。【山口紘史】


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