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【第6回】あがらいん

 子供の頃、友達の家に行くと、いつもおっぴさんが「あがらいん」と言って、ナスの漬物をおやつに出してくれたことが記憶に残っています。なぜおやつに漬物なのかと疑問に思いましたが、「あがらいん」って言葉が自分を優しく受け入れ、自分の居場所となったことがうれしかったのかもしれません。気安く「あがらいん」と言われると、他人の家でも敷居が下がり、心地よい自分の居場所になってしまうから不思議ですよね。

 子供の頃には学校をはじめ、遊び場所や秘密基地や友達の家など自分の居場所と感じるところが多かったのに、大人になると付き合いが広がる割には、自分の居場所と感じる場所が少なくなるような気がします。誰でも日常的には自宅と職場、または学校の2か所を移動する生活を送っていますが、それぞれの関係性とは離れて、心地よい自分の第3の居場所を「サードプレイス」と言います。

塩尻市のえんぱーくで勉強する学生たち

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