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【第2回】視ることと考えること

 私は視覚人間です。耳で聞いた記憶よりもビジュアル記憶の方が残るというタイプです。

 ものを見るって行為が、意識して視るって行為になったのは、子供の頃から通っていたアトリエコパンの新妻先生の影響が大きいと思っています。絵を描くときに良くものを見なさいって教わります。それは、ひとの視野は約180度ありますが、集中して認識できるのはわずか2度の中心視という視野だと言われています。だからこの2度の視野で何かを視て初めて分かる、または気付くことがあるのです。

近年はおふろカフェまでできている。仕事帰りにお風呂に入ってだらだらと過ごしている

 アトリエコパンでは毎週、新妻先生が用意したモチーフや、屋外に出て石巻の日常の風景を描くことがありました。日常の風景って当たり前のもので、絵の題材としては地味だなって思いつつ、分かっているつもりで描いても、実際の風景と何か違います。自分の画力が劣っていることもありますが、目の前の風景を理解していないことが問題でした。写実的に描くことばかりに気を取られていたのですが、ある時、そこにあるものの本質とは何かってことに気が付きました。

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東日本大震災から12年が過ぎた。被災と復興事業はかつての風景や日常生活を大きく変えており、その変化に向き合う必要性も出てきた。「石巻Re―…

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