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【第3回】ズックとやんばい

 私は旅が好きです。初めて訪れるまちはとにかく歩き回って、ぶらぶらと町並み、建築やそこに住む人たちの生活の営みの一端を見て回ります。一日に十何キロも歩くことがざらです。

 初めて長距離を歩いたのは、小学校2年の頃に矢本小学校から鹿妻の自宅までの帰り道だったと思います。いつもは仙石線で登下校していたのですが、1本乗り遅れると1時間以上待たなければいけない。そんなに家まで遠いとも思っていませんでしたが、歩いても歩いても、なかなか家にたどり着けません。近道だと思ってあぜ道を歩けば、けっぽりしたり、防空壕跡で遊んだりして、好奇心の赴くままに歩くことの自由さを体感していたのだと思います。

ノラ猫が幸せなところは住みやすいまちだと思う

 靴はズックを履いていました。布製の運動靴ですぐ汚れるし、荒く使うと綻びやソールが剥がれたり、洗うと縮んでいずくなったりする靴でした。成長とともに新しい靴に履き替え、子供の頃の私の好奇心を支えてくれていたと思います。

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