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子供の頃、友達の家に行くと、いつもおっぴさんが「あがらいん」と言って、ナスの漬物をおやつに出してくれたことが記憶に残っています。なぜおやつに漬物なのかと疑問に思いましたが、「あがらいん」って言葉が自分を優しく受け入れ、自分の居場所となったことがうれしかったのかもしれません。気安く「あがらいん」と言われると、他人の家でも敷居が下がり、心地よい自分の居場所になってしまうから不思議ですよね。 子供の頃には学校をはじめ、遊び場所や秘密基地や友達の家など自分の居場所と感じるところ
「カワイイ」という言葉が万国共通の言葉になっていますが、オジサンには???が付くような「カワイイ」のジャンルがあるようです。「不気味カワイイ」もオジサンたちには理解を超えた感性を持っていないと共感できないものの一つだと思います。 私の研究室は建築デザイン手法の研究をテーマの一つにしていますが、男子学生が「カワイイ指標を用いた建築形体の研究」という修士論文を書いたことがあります。建築をカッコイイということはありますが、建築がカワイイと表現する時代になってきたのかと感じまし
ドラえもんやちびまる子ちゃんのマンガには原っぱに土管が置いてあるシーンが出てきます。昔は誰の土地か分からない原っぱや空き地で子供たちが遊んでいましたが、最近はあまり見ない風景となりました。 私も子供の頃には原っぱで遊んだ記憶があります。隠れる場所があれば缶蹴りや秘密基地をつくって遊んだり、捨ててある自転車やテレビの分解したパーツを宝物にしたりして、原っぱは想像力を拡げる大切な場所だったと思います。誰の土地か分からないけど地主がいたはずですが、子供たちには寛容だったのでし
私は旅が好きです。初めて訪れるまちはとにかく歩き回って、ぶらぶらと町並み、建築やそこに住む人たちの生活の営みの一端を見て回ります。一日に十何キロも歩くことがざらです。 初めて長距離を歩いたのは、小学校2年の頃に矢本小学校から鹿妻の自宅までの帰り道だったと思います。いつもは仙石線で登下校していたのですが、1本乗り遅れると1時間以上待たなければいけない。そんなに家まで遠いとも思っていませんでしたが、歩いても歩いても、なかなか家にたどり着けません。近道だと思ってあぜ道を歩けば
私は視覚人間です。耳で聞いた記憶よりもビジュアル記憶の方が残るというタイプです。 ものを見るって行為が、意識して視るって行為になったのは、子供の頃から通っていたアトリエコパンの新妻先生の影響が大きいと思っています。絵を描くときに良くものを見なさいって教わります。それは、ひとの視野は約180度ありますが、集中して認識できるのはわずか2度の中心視という視野だと言われています。だからこの2度の視野で何かを視て初めて分かる、または気付くことがあるのです。 アトリエコパンでは
はじめまして。私は建築家です。芝浦工業大学建築学部の教授とスタジオトポスという建築設計事務所を主宰しています。いわゆる二足のわらじを履く日々を送っています。初めて会った人から「ご専門は何ですか」とよく聞かれますが、「インテリアや建築の設計から、まちづくりや景観計画などをしています」と答えることがあります。 一般的にインテリアや建築、都市計画やまちづくりなど扱うスケールが異なる分野にそれぞれの専門家がいるのですが、私自身はスケールに関係なく一連のつながった日常の中を観察し