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ミシンをかける時、あなたがそばにいてくれる気がする

前回、6歳の長女のエプロンが窮屈になってきたお話をしました。

やっとユザワヤで生地で可愛いらしい生地を買って、深夜に4時間かけて完成!

6歳姉が青、2歳妹がピンク
うしろはこんなかんじ

長女のエプロンはスナップボタンで、次女は着脱しやすいようにマジックテープをつけています。100均のスナップボタンは力がなくても手でつけられて、おまけに再利用もできるからおすすめ。

もうひとつ、便利グッズは「仮止めクリップ」。まち針が好きではない私はこれを大量に持っています。裁縫用じゃなくても、自分が使いやすい小さめのクリップを探すといいと思います。

私は実際に手で触れて得る感覚を大切にしています。不恰好さも含めて手作りのものは愛おしい。とくに「良い」と感じる作品には人柄があらわれる。私にはまだその「人柄」がうまく表現できていないなあと、幼い頃に母の友人が作ってくれたエプロンを眺めながら、あの頃を思い出したりする。そのセンスの良さに近づきたいと、ずっとずっと憧れている。

その人は私が中学に入学してすぐ肺がんで亡くなってしまった。洋裁の仕事をしていて、家にはミシン部屋があり、JUKIのミシンを愛用していた。白黒とグレーの猫を2匹飼っていて、部屋の真ん中には小学生の私より背の高い大きなサボテンが置いてあった。裁縫を教えてくれたわけではないけれど、裁縫の本を何冊かプレゼントしてくれたり、クッションやエプロン、ぬいぐるみを作ってくれた。あまり褒められる特技もない劣等生の私を、優しい声で穏やかに褒めてくれた。ミシンをかけていると、その人と気持ちを重ねられる気がする。

入院先の病院にもお葬式にも行けなかった。その人にはまだ小さい子どもがいたし、友人である母のほうが「よっぽど悲しいのだ」と、私が悲しんだりお葬式に行きたがることが「図々しい」と、その時は我慢をした。痩せ細って亡くなったために、私には見せられないと母が判断したせいもある。でも、お礼もお別れも出来なかったことや、感情を押し殺したことを、今でも悔やむ。泣きたかったな。

作ってもらったエプロンを抱きしめて、ミシンと向き合っていると、私の心の中にあの人がいるんだなと、なんだか強くなれる。カタカタカタと、ミシンの音はあの人が聞いていた音で、布をおくる手先はあの人と同じ。そうして、私の娘たちもミシンが大好きになっていて、あの人と私から、想いは娘たちに繋がっている。

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