見出し画像

女子校のバレンタインデーはすごいんだぞ!

今日はバレンタインデーでしたね。
春のような暖かさ、日差しもたっぷり。「告白日和」ってところでしたでしょうか。

バレンタインデーというとどんなイメージをお持ちですか?
女子から男子にチョコレートを渡す日、といったイメージが強すぎる日本のバレンタインデー。最近では自分チョコをメインに売り出すこともあれば、義理チョコはやめようと打ち出す大手メーカーも出てきて、捉えられ方も様々ですね。海外では男性が女性に花束を渡すっていう風習もあるとか。女性だから男性だからって、そんなの関係ないはずですよねぇ。

私のバレンタインデーは、女子の、女子による、女子のための、ビッグイベント!でした。バレンタインデーに男子が入ってくるのは大人になってからで。
というのも、私は小学校から12年間女子校に通っていました。
うちの学校は校則が厳しく、学校にお菓子を持ち込むことは禁止。
甘いものを口にするチャンスといえば…家庭科の調理実習や家庭部(調理部と言った方が一般的でしょうか)の活動のおこぼれをもらうとか、そんなくらいしかありませんでした。

ところがどっこい!
年に一度のビーーっグイベント、バレンタインデーだけは!唯一、教室に甘い香りが漂う、特別な、特別な日だったのです。

学生にとって、甘いものというのはなんとも魅力的で必要不可欠な存在。一口食べるだけで目の前がお花畑のように輝き、テンションも上がる!エネルギーが湧いてくる!こっそり放課後に食べたダースのチョコレートの美味しさは、忘れられない魅惑のお味。うんと甘くて、それでいて校則違反を犯しているビターな旨味も相まって、体の隅々までチョコの香りが染み渡ったものです。チョコの余韻を何度も何度も確かめて、一粒を徹底的に味わった黄昏時。

さて、話を戻しましょう。
バレンタインデー、別名:アタシたちの友チョコ戦争
(これは私だけの記憶ですので、全員がこうだった、女子校全部がこうだ、とは言えませんが、以下記憶を辿って綴ります。)
大きな紙袋をいっぱいにして、丁寧に小包装した手作り菓子を、休み時間交換しまくる!短い休み時間、教室には色とりどりのキラキラしたラッピングに包まれた個性あふれる友チョコが飛び交うようにして溢れかえります。
袋いっぱいにして持っていた手作り菓子はすっからかんのはずなのに、交換したお菓子で帰り道はまたパンパンに。
帰ってからゆっくり一つずつ、あの子はクッキー。あの子は生チョコだ。あの子は抹茶マフィン、去年もくれたなぁ。あの子はガトーショコラ、レベルが高いなぁ…なぁんて一人一人の顔を思い浮かべながらバレンタインデー後夜祭を味わい尽くす。これが私の女子校バレンタインデーでした。

どんなチョコレートを作って持って行こうか、レシピを考えるところから始まります。何日も何ヶ月もかけて、今年のメニューはどうするか考えます。昨年とは違うものか、同じものを作って定番化するか、部活メンバーとクラスのメンバーと違う種類にしていくか、いやもうむしろ焼くか固めるかそこから悩んで…。クラスメイトとの「かぶり」も意識しながら自分の勝負菓子を決めていきます。大変なのが、ラッピング。この包装も勝負ポイントの一つ。「こんなのロフトになかった!かわいい!!」なんて一言をもらいたい…驚きポイントをいかにして稼ぎ、数ある友チョコの中でも目立つ一品にできるかこだわります。だがしかし!!クラスの人数よりももっとずっと多い数の包装をしなければならないので、これがまぁ時間がかかるかかる。夜中までおばあちゃんが手伝ってくれて、小麦粉まみれになりながら必死に包みまくったこともあったっけなぁ…業者並みの作業量でした、おばあちゃんありがとうね。

学校に登校するときは、電車通学の中いかにこの宝物たちを安全に運ぶことができるのか神経を使います。いつもより少し早めの電車に乗ったりして。普段は早起きなんてできないのに、なんでこんなときは体がちゃんと動いてくれるんだろう。自分からほのかに甘い香りがする気がして(いや本当にしているのですが)、見慣れた通学路もなんだかワクワクしたものです。

さぁそして、いざ、決戦の時!我らの休み時間!!
この日は気合を入れるため、お弁当を少なめにする子もいたっけ。
昼休みのチャイムは決戦のゴング!いざ、友チョコ交換スタート!
毎年プロ並みにかわいいマカロンを作ってくれるあの子から、今年もゲット。
名前ありメッセージ付きのチョコレートを、あんまり仲良くないと思っていた隣の子からゲット。
派手にデコレーションをしたチョコレートを、普段は大人しい斜め前の子からゲット。
キャラクターが全面に出るそれそれの手作り菓子は驚くものばかり。美味しそうで、愛おしい。これ何?どうやって作ったの?そんな会話ができるのも今日だけ。

そして、女子校あるある、憧れの先輩に渡す後輩チョコ、これもまた楽しいのです。
もじもじしながらクラスの入り口にやってくる、小柄な下級生。
「バスケ部の〇〇さん、後輩きてるよ〜」その一言で、クラスのボルテージはまたひとつ上がります。みんな気にしないフリをして、こっそり盗み見を。後輩からチョコをもらった同級生は照れていて、他のクラスメイトはドキドキのお裾分けをもらったようで。人気の子にはクラスの前に行列ができることもありました。

そんなこんなで、甘い甘い休み時間はあっという間に過ぎていきました。

バレンタインデーは私たちにとって、コミュニケーションの一つ。
限られた中学高校時代を最大限に楽しむためのイベントでした。
今思い返すと、とってもとっても愛おしい記憶です。

いつからか、大人になってから、そんなバレンタインデーは「こうあるべき」がたくさんくっついてきて、当時のバレンタインデーとまた景色が変わってきた気がします。

私はこうあるべきから脱出して、こうしたい!を優先するバレンタインデーにすることを意識しています。今年はゆっくり買い物もできなかったので、番組でお世話になっている方に少しだけ、感謝を伝えるチョコレートにしました。笑顔のこうかんこができて、嬉しかったなぁ。

わたしにとっての2/14は、これから歳を重ねても、中学高校時代のバレンタインデーのあの熱と興奮を、そしてあのトキメキを思い返す日にすることにしよう、と思います。