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病気と病名

今回のタイトルは重く感じられるかもしれませんが、私がnoteを始めたきっかけの一つが、病気(=メニエール病)になったことでした。

これについては、自己紹介で詳しくお話ししていますが、「自分の気づきををnoteに書くことで、メニエールだけでなく、他の慢性的な病気などで苦しんでいる誰かの力になれたら」という思いは、noteを始めてこれまで、一度も忘れたことがありません。

そこで、今回は、"病気と病名"というテーマでお話ししたいと思います。

その他の話題ばかり書いていたので、突然どうしたんだ……と思われるかもしれませんが、今、病気で苦しんでいる方・ご家族や親しい人が病気で辛い思いをされている方の参考になればと思い、書く次第です。最後までお付き合いいただけますと、幸いです。


1.病気と病名

私は、メニエール病を通して、病気に縛られるような生活を経験しました。メニエール病を繰り返していた頃は、朝から晩まで、眠りに落ちる直前までメニエールの症状に苦しみ、症状がない時でさえ、再発を恐れて、いつも気が休まらなくなっていました。(詳しく書くと、それだけで一本記事が書けてしまうので、あえて短く書いています)

今、その頃のことを振り返ると、病気に縛られるような生活の発端となったものは、私の場合、病気への恐怖心の大きさではなかったかと思います。

そして、病気への恐怖心が膨らんだ背景にあるのは、病名(情報)に縛られていたことではないか、と思うのです。


2.メニエール病

私が最初にメニエールを発症したのは、大学1年の頃です。

その頃は、メニエールのことを全く知らなかったので、メニエール病ってどんな病気だろう? とネットで調べました。どんな病気か知ることで、病気を克服できるんじゃないか、自分の病気と上手く向き合えるようになるんじゃないか、と思っていたのです。

しかし、調べた結果、メニエールに向き合う心構えを手に入れるどころか、私はすっかり希望を失ってしまいました。

あぁ、メニエールで不登校になった人がいる……。会社を辞めた人も……。メニエール、完治は相当難しいんだな……。お先真っ暗だ……。

という具合に。

今の私が過去の私に言えることがあるとしたら、「ポジティブな気持ちになれないなら、調べるのはやめなさい」ですかね。

でも、当時の私は、自分で自分の首を絞めているとは、夢にも思っていませんでした。そして、再発を繰り返すたびに、どんどん、絶望的な気持ちになっていきました。聴力もじわじわと、着実に落ちてゆくので、自分は病気から逃れられない運命にあるのだとさえ思うようになっていったのです。


3.もう1つの病気

私にとって転機となったのは、今年に入って、メニエール以外の病気を経験した時のことです。(過去形で書いていますが、この病気も繰り返し発症しています)

この時、私は、完全に弱りきっていました

母に連れられて病院に行き(もう自力では最寄り駅まで歩くことさえできなくなっていたのです)、診察してもらい、病名を告げられ、会計を済ませ、処方された薬をもらうため、薬局で待っていました。

この時の私は、放心状態というか、あらゆる気力を失っていました。

もう何も考えられず、ただ、座っている
そんな状態だったのです。

診察室で渡された、病名の書かれた紙を眺めながら、私は自分の名前が呼ばれるのを待っていました。

その時、
ふと思ったのです。

もう、病気のことを調べるのはやめよう、と。
病院の先生を信じて、先生が仰ったことだけを心に留めて、むやみに調べるのはやめよう、と。

震える手で、病名の書かれたメモ用紙をバッグの底の方に押し込みながら、私は思いました。

いっそ、この病気の名前、忘れちゃおう

深く考えることができない状態だったからこその、思いつきかもしれません。

しかし、そう思いついた時、病名を忘れようと試み始めたその瞬間、初めて、病気と同じ土俵に立ったような気がしました。

自分は、病気に支配されてなどいない、と初めて確信することができたのです。



4.病気とフラットに付き合う

2つの病気を通して、私は、病気とフラットに付き合うことの大切さを学んだように思います。

フラットに、というのは、病名やネットの情報に縛られず、ただ、症状そのものと付き合うという意味です。

今年の初めに発症した病気に関しては、私は、家族と話す時も、友人と話す時も、日記に書く時でさえ、その病名を使いません

読者の皆様には申し訳ありませんが、noteにも書くつもりはありません。

本気で、忘れようとしているのです。

でも、その姿勢が功を奏しているのか、数か月にわたって薬を飲むことになったとしても、

いつまでこの薬を飲むんだろう?
治らなかったら、どうしよう?

という漠然とした病気への不安は、あまり感じずに済んでいます。(ゼロにはなりませんが、かなり少ないです)

この先どうなっていくかを考えず、
ただただ、自分の体と向き合う

病名なんて忘れちゃおう
くらいの気持ちでいいのだと思います。

もちろん、いろいろな病気があって、それぞれの人に様々な事情があるので、私の気づきが役に立つ方がどれくらいいらっしゃるかは分かりません。

でも、この考えで、一人でも気が楽になる方がいらっしゃったら、私の経験も無駄ではなかったな、と思うのです。


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