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F1選手キミ・ライコネン

 他人の沼を勧められ足を踏み入れたとしても、
 同じ感覚同じ方向性でハマらなくても良いという話。


言うも言うたり

  「僕と付き合ってくれるからには、
   F1は観ておいてもらわないと」
  などとのたまわれたわけだ。
  知り合ったばかりで付き合い立ての後の配偶者から。

  貴様の沼に私を付き合わせるからには、

  「どうして同じコースを約2時間も掛けて、
   何十周もぐるぐる回るのですか?」


  という素朴な初歩的質問にも、
  怒らず答えてくれるんだろうな?
  と試してみたら、

  「ゆきこさん。
   それは相撲取りに対して『どうして土俵で戦うの?』
   って訊くようなものだよ」
  と呆れはしたが怒りはしなかったわけだ。

  何せ、よりにもよってアラン・プロストの映像に、

  「この人が、セナ?」

  と本気で間違えて訊くレベルだったからな。
  相当な忍耐力の持ち主である事は理解した。


視界に飛び込んだ兄ちゃん

  ところで生まれて初めて見せられたF1レースの、
  表彰台3位には、
  3位のくせに、なのか、
  3位ごときでは、なのか、
  ニコリともしやがらねぇ兄ちゃんがいたわけだ。

  それがキミ・ライコネンだったわけだ。

  「何この人」
  「ああ。彼はアイスマンと呼ばれていて、
   滅多に笑わない事で有名なんだ」
  飲んでたコーラ吹き出すかと思ったぜ。

  何を世界で20人前後しかいねぇ、
  F1ドライバーにまで上り詰めていながら、
  クールキャラ気取っていやがるんだ貴様、

  超絶可愛いじゃねぇか……!

  これがまたマクラーレン時代の、
  当時は放送されていた地上波では、
  「シルバーアロー」とか呼ばれていた、
  ライコネンのマシンはまぁレースに出る度出る度、

  壊れる!
  壊れる!
  あとちょっとってとこで、壊れる!

  そんでバックヤードでふてくされた感じに、
  チョコアイスかじってやがるww

  モナコ戦の時なんか、
  自前のクルーザーに乗り込み優雅に海とか眺めやがった。
  (この模様は「トラブル報告義務違反」として、
   後ほど大人が真剣に叱られていたけれども、
   その当日当時は爆裂的に面白かったwww)

  ライコネンに限った事ではないが、
  世界中の人が同時に叫び、泣き、手に汗を握り、
  手を叩いて大爆笑していると察せられる事こそ、
  国際スポーツライヴ中継の醍醐味と言えよう。


引退したとて忘れ難い

  そこからはもうF1と言うよりライコネンを観ていた。
  セカンドネームがマティアスと知ってからは、
  自前のバイクにもそう名付けるアホっぷりだ。

  もちろん公式自叙伝が、
  日本で出版された時も即買いしたぜ。
  腹が立つほど頻繁に冷笑されるのだが、
  北欧人特有の金髪碧眼に惚れ込んだわけでは断じて無い!

  私が男性であったならば皆さんと同様、
  純粋にヤツが面白いからだと理解できるだろう!
  なぜ女性というだけでビジュアル重視だと思われるか!

  引退レースのマシンすら中盤で壊れたんだぞ!
  有終の美を飾れよ!!

  
ああしかしそこが好きだった。
  たまらなく大好きだった。
  彼と共に働いたスタッフ達もきっと彼が大好きだった。

  マシンさえ壊れなきゃコイツ、
  超絶ドライビング上手ぇよな? って
  免許すら持っていなかった頃にも察し切れたくらい、
  車体操作能力が繊細かつキレッキレだったから!

  一度は他の選手のリタイヤも影響した、
  わずか1点差で、
  年間チャンピオンにまで躍り出たんだぞ!

  「そんな運任せのチャンピオン良くないよね」
  って翌年からポイント計算方法が変わりやがったが、
  その瞬間はシビレにシビレたぜ!

  同じくF1ファンだった職場の先輩から、
  「お前の呪いかぁ!」と決め付けられたぜ!
  んなわけねぇけどそういう事にしてやったよ!

  引退したとて笑顔で送り出せる。
  彼の全盛期と同時代に、
  居合わせた事自体が喜びだからだ。

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