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Travel with Betty ベティとの旅 【Traveling car moving living room 旅の車 は移動リビング 1 】
日が暮れてからしばらくはルーフレールに取り付けたオーニングの下で木々の稜線を見ながらウイスキーを飲っていたが、いつものリミッターが効き、ボトルをしまった。外にいる間は森の輪郭と夜空を見て、焚き火をつついて坐禅のように無になるか、あれこれ妄想思索する。寒さを感じる頃クルマに戻るわけだが、それからの夜は長い。電波がある場所ではタブレットの画面で世界とつながり、ない場所ではキーボードに向かい見てもらうあてのない文章を打ち込む。パウダーのコーヒーをオレンジのリキュールで溶かし、そこに
Travel with Betty ベティとの旅 【Traveling car moving living room 旅の車 は移動リビング 2】
このドイツの大型ワンボックスカーは3.7lのパワーで、高速走行も楽。張り付くように路面を駆る。道路が走る者に同じスペースを許すのなら、より大きい車内空間で移動したほうが快適だ。リビングのソファが移動する感じがいい。だから後席のシートはすべて外した。空いた長いスペースにはヘリノックスのコットがジャストサイズ。ハリのいい寝床には、低反発シートをひき、タオル地のシーツでくるむ。軽いダウンのコンフォーターで、スリーピングコーナーは完成。床には厚く柔らかなラグマット。そこに愛用のアーム
Travel with Betty ベティとの旅 【Kamakurayama is a neighborhood villa鎌 倉山はご近所別荘1 】
隙間から差し込む光に起こされ、カーテンを開けると、山並みの先の海原は9時の日差しを受け輝いていた。少し寝すぎた。足元では早く外に出たいと訴えるベティがまとわりつきクンクン言う。この20フィートのキャンピングトレーラーは、自宅のある鎌倉の町から数キロ離れた鎌倉山の月極駐車場に置いてある。旅に出るときはここまでクルマで来てジョイントして出て行くのだが、何にもない週末は自転車でやって来て、この中で過ごしたり、鎌倉山をベティと散策して過ごす。トレーラーには前の旅で買い込んだ食材の残り
Travel with Betty ベティとの旅 【Kamakurayama is a neighborhood villa鎌 倉山はご近所別荘 2】
ベティの犬種はドーベルマン・ピンシャー。決して緩むことなくいつも何かに気を配っている。時にそのガードマン体質が人に恐れられ、凶暴な獣のように扱われるが、飼っているこちらからすると、感情豊かで犬としての性質をバカ正直に継承している真面目な親友にしかおもえない。ドイツのドーベルマンさんがいろんな犬をかけ合わせて作り上げたときに、理想形としたのはそのバカ正直に飼い主を守る姿だったに違いない。この種ができてからはドイツ軍や各国の警察犬として活躍している。散歩のときには始終あちこちをク
Travel with Betty ベティとの旅 【Kamakurayama is a neighborhood villa鎌 倉山はご近所別荘 3】
鎌倉山と言っても、森林のトレイルを歩くわけではなく、ある実業家が開発した住宅地の道を歩くのである。ただしいわゆる住宅地の家並みではなく、一般的な区画割り住宅の数倍の大きさの屋敷が点在する景観を想像いただいた方がいい。遠く海を望む傾斜地を取り入れた巨大な敷地の生垣伝いに歩く。ほとんど歩く人には出会わない。ここには各界の成功者のほか、山を下った大船に映画の撮影所があったことから、かつては役者も居を構えた。春は目抜き通りが桜のトンネルのようになり、夏は育った樹々が日陰を作り、秋は色
Travel with Betty ベティとの旅 【森の中の白子そしてアリたち Milt and ants in the forest】
大体グーグルマップはデフォルトを使うが、航空写真モードやグーグルアースで拡大気味にすると簡約化されることなくありのままが見えてくる。試しに房総半島をご覧いただき緑多いエリアを拡大するとタラの白子みたいな模様が浮き上がってくる。それはすべてゴルフ場。どこへ動かしても白子がスクリーンに登場する。地上を車で走っていてもゴルフ場の看板は目にするが、景色は森。だが、俯瞰するとその木々の向こうに広大な緑絨毯が敷き詰められているとは想像も及ばない。さらにマップを拡大すると宮殿のようなクラブ
Travel with Betty ベティとの旅 【多様時代の他容】Acceptance of others in the diversity era
余裕は人を寛大にする。窮している人を優しく見つめ、時には手を貸す。追い込み、詰め、さらに窮させることはしない。余裕というのは資産のことではない、心の置き方のことだ。お金はどこまであっても際限なく上を目指すようだ。心も上を目指すが、ある時点から他者が空気に変わる。他者は比較対象ではなく自分の周囲に在るもの、つまり存在として欠かすことができずありがたいものだが、別段意識せずに受け入れているもの、なのである。 不意の事故や災害に見舞われ不遇を余儀なくされている人は沢山いる。また個
Travel with Betty ベティとの旅 【有給休暇 〜 自分しかできない仕事はない しかしその人生は自分しかできない】Paid vacation ~ There is no work I can do only This life can only be my own
土日と平日の違いは、大半の人が働いているかいないかの違いで、それを気にするかしないかの違いなのである。会社が休んでもいいよと言ってるのに日本人がなかなか休まないのは、休んで街に出た時のスーツを着た人達だらけの外にいるような疎外感である。いっそ自然の中に行ってしまった方がその気持ちを味わわないで済むのだが、もう刷り込まれた平日という観念から逃れられず湖畔の眺めの中でも、仕事のことが頭から離れず、いっそ平日は働いておき、みんなと一緒に休もうということになる。 休みというのは与え
Travel with Betty ベティとの旅 【空気のいい書斎で】In a good air study room
住みよいところに人が暮らし道ができ、集落が繋がる。往き来が増えるとそこにインフラが敷かれる。便利なものはどんどん取り入れられ、そこにさらに人が集まってくる。 水や食料を確保しやすい場所、交易に出やすい湾を有した臨海部に人が集中するようになる。自ずと生活環境の拡大と引き換えに 土地固有の景観が失われていく。 平安の京都は燃料の木材を身近なところから確保したことで、東山界隈はハゲ山だったとか。 鴨川は便利なゴミ捨場で、桂川の流れの先には巨椋池がありゴミ累々、暗黒のような様相だった