【詩】風鈴を追いかけて
手のひらにつたわって
腕をとおって
肩をすぎて
喉までとどいて
口からでた
「 好き 」
あ
。
でももう遅い
私の顔を凝視する君
風が運んでくる涼しさに
遠のいた煌めきが
戻ってきそう
無人駅に
等身大の影がふたつ
「 うん 」
アイスキャンディーみたいな
冷たい返事
なんて思って見たら
真っ赤な君が隣にいた
汗ばんだまま
古びたバス停まで歩いた
夏霞の中で
溶けてぽたぽた落ちていく
「 またね 」
小さく手を振る
うまく笑えない君は
まっすぐな瞳で
私を見つめていた
どこかで風鈴が鳴っている
画像:自作
「風鈴を追いかけて」っていう小説を以前書いていたのですが、その時のふたりをイメージして書いてみました。
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